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♪愛の花咲く道     1973.08
  作詞:山上路夫 作曲:加瀬邦彦 編曲:宮川 泰
  演奏:オールスターズ・レオン
  録音:1973.05.10 キングレコード音羽スタジオ

    

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★ ★★★* ★★★★

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この曲の感想はほんとは誰かと交代したいのが本音。
これ、あまり好きじゃないんです。
もちろん、ピーナッツが歌っているものを聴かないというわけではないんだから、
不得意というべきかな。歌の善し悪しじゃなくて、私と相性が悪いだけ。

最初はギター二つでジャンジャカと始まるのだけど、これがまず面白くない。
ギターのジャカジャカが嫌いなんだ。理屈抜きに嫌なんだ。
ギターって私ら素人だって弾くじゃないですか、身近じゃないですか。だから
何もレコードから聴きたくない、安っぽいぞ、と思ってしまう。
もちろん、同じようなジャカジャカだってプロは全然違うことはわかってるけど、
ピアノでダン、ダン、ダン、ダン、とか、チェンバロでチロリロチロリロ..と
始まる方が、ああ、素敵な音楽が始まるぞ〜という期待感がある。

ギターで始まるのであれば、そこから以後流れるメロディーが「銀色の道」みたいな
比類ない名曲であらねばならないのではないか。無茶を承知でそう望みたい。
じゃあそんなに存在意義のない曲なのか、というと、それはまた違うのだと思う。
この曲調が肌に合う、大好きだという方だって絶対にいる筈。
これぞピーナッツの隠れた名曲だと宣言される人を私は否定しません。それが音楽。
誰もが皆、支持するなんてのは、平凡だという見方だってある。
あまり好きではないからこそ、大ヒットしてくれたら良かったのにと感じます。

NHKふるさとの歌まつり/BS日本のうたで地元の合唱団と一緒に歌うコーナーが
ありますよね。ああいうので歌うと似合うと思う。男声合唱団がいいなあ。
そんなケチな夢じゃなく、ミッチ・ミラーとやるとか、「第9」なみの大所帯で
 ♪だけど今日も 愛の花咲く時を 願いながら行こう 私の道を
とやったら、それはかっこいいでしょうね。
この歌はそういう風に分厚い和声を付加させやすいシンプルな旋律だと思います。
同LPに入っている「さよならは微笑んで」と作詞、作曲、編曲、演奏が全く同じで
曲想や雰囲気も良く似ていますが、出来は「さよなら..」の方が上ではないかな〜。
「さよならは微笑んで」は、8ヶ月後にB面ですが、シングルリリースされてます。

(関係ない蛇足の話)
先日、NHKで氷川きよしが「高校三年生」を歌いました。これ、良かったです。
こういう歌だったんだよな〜、としみじみ感じました。
技巧に走る必要のない、メロディー自体がそもそも素晴らしい、そういう歌の方が
私は大好きなんです。
(関係ない蛇足の話_その2)
今日、夕方から中学校のクラス会準備委員会みたいな集まりを横浜でやったのですが、
中学生当時私の前に座っていた女の子(今はおばさん)は現在、世田谷にお住まいで、
ザ・ピーナッツさんの御自宅とは生活クラブとかいうグループ地区が同じだそうです。
でも、お見かけしたことはないとのことでした。

---------------------------------------------2001/11/18(Sun)投稿

<ウシオさんからのレス>

インファントさんの交代の要請を受け、ちょろっとだけ僕の感想を書かせて
いただきますと・・・。
好きなんです、この曲。僕とは相性がいいみたい。
実はアルバム「ジャスト・ナウ・ピーナッツ」の中で一番好きなんです。
インファントさんがお嫌いだとおっしゃるギターの「ジャンジャカ」や音の湿度、
さりげない音遣いなどに微妙な隠し味として当時の洋楽のエッセンスが
取りこまれている、そんな感じです。
とにかく、この頃のピーナッツ、試行錯誤が続いていたのかな。
流行歌手としてヒット曲を出さなきゃいけない、そんなことをご本人達よりも
スタッフサイドが強く思っていたのかしら。
ピーナッツのお二人は、そんなことにとらわれず、自由に歌っていたかったん
じゃないかなあ。
どうでしょう、インファントさん?

<インファントの吸収犬 >
こうこなくては...好きな方がいなくては、山上さんや加瀬さんが不憫です(笑)。
スタッフ(新陣容というべきか?)は単に上手さで定評のデュオとはならないように、
やはり流行の先端を行く歌手でありつづけてほしいといった意欲的な作品提供を
していたのだと思います。シングル発売は困難でもアルバムでなら..とかね。
私は、どんな些細な言動や素振りも見逃すまいと心掛けて見てはいたのですが、
ピーナッツは自分達はこういうものをやりたいのだ、とか、何が好きで何が厭だとか、
全く言わない人達だったと思います。
作詞、作曲、編曲、演奏、振付け、演出など周りの才能の豊かさに感心することが
多くて、とても自分達の考え方など及ばないといった謙虚さだったとも思います。
これも希有な才能です。スポンジシンガーですよ。吸収型の天才だったのではないか。
それでも本当に好きなジャンルというのは、これは絶対にあったと思いますね。
それは何となくわかるような...わからないような。
でも、仕事って本人の意識とは別な面で才能が評価されたりしますでしょ。
本人だけがわかっていないなんてこともあるのが面白いです。
私も昭和53年に今の職種へ配置転換されたんですが「絶対に嫌です」とはっきりと
意思表示したのに無理矢理...これが合ってたんです。お仕事毎日結構楽しんでます。
他人の目は正しい。これだけは間違いないですね。

ラ星さんからのレス>(1)
ちょっと前の話題ですみません。
>インファントさんがお嫌いだとおっしゃるギターの「ジャンジャカ」や音の湿度、
さりげない音遣いなどに微妙な隠し味として当時の洋楽のエッセンスが取りこまれている、
そんな感じです。
(ウシオさん)

はい、このイントロ、アルバート・ハモンドの「カリフォルニアの青い空」(’72)や、
ジョージ・ハリスンの「マイ・スイート・ロード」(’70)を連想させます。
それらのギターは適当にくだけた感じで「あ、なにか始まるな。」というノリなのですが、
「愛の花咲く道」は、音楽学生のように、律儀にそろい過ぎているような。
当時、フォーク・ギター一本で世に出て行くシンガー・ソング・ライターが相次ぎ、
専門の音楽教育を受けなくてもミュージシャンを名乗る事が出来るのだ、というのが
音楽好きの若者にとって、とても新鮮な出来事でした。
そういったものへの敬意とアンチ・テーゼが、宮川さんのアレンジに感じられるのですが、
なんだか、少しまっとうに行き過ぎたように思われます。
シンプルに始めて、次第に大勢で盛り上がって行くという構想だったのでしょうが・・・。
もっといろいろ遊んでも良かったのでは?

>NHKふるさとの歌まつり/BS日本のうたで地元の合唱団と一緒に歌うコーナーが
ありますよね。ああいうので歌うと似合うと思う。男声合唱団がいいなあ。
そんなケチな夢じゃなく、ミッチ・ミラーとやるとか、「第9」なみの大所帯で
 ♪だけど今日も 愛の花咲く時を 願いながら行こう 私の道を
とやったら、それはかっこいいでしょうね。
この歌はそういう風に分厚い和声を付加させやすいシンプルな旋律だと思います。
(インファントさん)

(そう!“岩手県の歌”など、岩手弁まるだしの大合唱でかなり面白かったですよね。)
作曲の加瀬さんには、重箱の隅をつつくようで申し訳無いのですが、
1972年に公開された「ハーダー・ゼイ・カム」という全編(?)レゲエの映画に、
ジャマイカの男声三人コーラス、ザ・メロディアンズが歌った「バビロンの河」
という美しく力強い曲が出て来て、ちょっとした話題になりました。
後にリンダ・ロンスタット(素晴らしいアカペラ。)を始め多くの歌手がカバーし、
ボニーMのレコードが、イギリスで5週連続第一位を獲得した曲です。
で、・・・割と似てるんです。
旧約聖書から題材を取った歌で、ゴスペル・コーラス盤も出ているようですが、
インファントさんの感想、ドンピシャだと思います。
ミッチ・ミラー合唱団の名前が出て来て、僕は涙が出そうでした。

なら、もっと早く書けよって?すみません。
NHKの「ミッチと歌おう」という番組で、どれほど、歌の楽しさ、
歌声の力強さを教えてもらった事でしょう。
あのクインシー・ジョーンズ(80年代最大のプロデューサー、ミュージシャン)が、
「音楽には、良いものと、そうでないものが有るのみ。良いものとは、希望を与える音楽。
たとえ、恋を失なったという歌でも、希望がなくては。」と言っていましたが、
本当にそうだと思います。
「愛の花咲く道」も、希望あふれた歌だと思います。ただ、もう少し
腹の底から湧き上がる力強さといったものがあれば・・・。

<インファントの警部犬>
クインシー・ジョーンズといえば、あのウィークエンダーじゃなくって..あれだ、
アイアンサイドのテーマ。すんげえカッコイイですね。(それしか知らない:笑)
あんな音楽が脳に浮かぶというのは普通じゃない、異常です、鬼才なのかしらね。

ラ星さんからのレス>(2)
>それしか知らない
いえいえ、インファントさん、多分いやというほど聴いていらっしゃると思いますよ!
十代の頃からライオネル・ハンプトン楽団でトランペットを吹き、
カウント・ベイシー楽団ではペットの他、作・編曲、指揮を30年以上担当。
プロデュースしたアーティストは、
デューク・エリントン、エラ・フィツジェラルド、サラ・ボーン、ペギー・リー、
フランク・シナトラ、マイルス・デイビス、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリン、
ダイアナ・ロス、チャカ・カーン、ポール・サイモン等など。
マイケル・ジャクソンの「スリラー」「バッド」や、あの「ウィ・アー・ザ・ワールド」
のヒットが大きいもんで、ポップスの人という印象が強いのですが(「愛のコリーダ」も)
ジャズ、ソウル、ポップス(なんと、レスリー・ゴーア「涙のバースデー」なんかも)、
他にテレビや映画の音楽なども数多く手がけ(スピルバーグ監督の「カラーパープル」等。
僕は、レイ・チャールズが歌った「夜の大捜査線」のテーマがいいなあ。)、
グラミーのノミネート77回、受賞26回という、
50年間第一線で活躍中のとてつもない人です。(ああ、くたびれた。)