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♪愛は永遠に  1966.05
   作詞:岩谷時子 作曲・編曲:宮川泰
   演奏:レオン・サンフォニエット
   録音:1966.03.23 キングレコード音羽スタジオ

  

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★★* ★★★★ ★★★★

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とこしえに...タイトルからしていかにも岩谷時子さんらしいです。
こういう書き方はもっともらしくて実は何も表現してない狡い逃げ方でダメか。
難しいんです。この岩谷時子&宮川泰コンビの作品の持ち味を言い表すのって。
ここ一週間くらい通勤電車の中で首をひねってました。
少女趣味というのが近いかなとは思うのですが、この言葉も印象が分かれるしね。
愛おしい詩と曲と言えば適切かなあ。健全な哀感とでも言いましょうか?
世俗的でどろどろした刺激的な歌詞。人生の苦労を一手に引き受けたような歌詞。
そういうしぶとさがない。キャッチフレーズがない。汚れがない。そこがいい。
人間が素直でないと。なかなかこのような穏やかな詩は書けないのではないか。
可憐な女学生(死語?)がノートの片隅に書いた詩のようで、とっても愛らしい。

宮川先生も完璧にチャイコフスキーの生まれ変わりみたいになってしまっている。
こいうのがお好きなんだろうなあ。文句あんか〜、宮川だ。(青島、谷風)
この周波数に、またピーナッツが、その歌声が、パシッと乗っているんだ。
たまりませんわ。この世界に入り込んだら最後、抜けられませんよ墓場まで。
ドリーム・ボックスほかで未発表曲の「あの空の向こうには」が入ってました。
商品として売り出せなかったであろうことは一聴瞭然。流行歌にはならないよね。
これが、1966.03収録だから「愛は永遠に」はこれのバージョンアップでしょうね。
捨て難いフレーズが幾つか使われてます。それをしつこく使い回ししたいその思い..
実に良くわかるんだな、この感覚。ああ..文章も千々に乱れてしまいます(笑)。

ヒットした宮川作品も勿論いいのだけれど、流行らなかった曲にこそ神髄が窺われる。
宮川作品に駄作はない。捨てるところなど何もない。宝の山だと思っていますよ。
ただの音符を並べただけなんだけれど、宮川節には暖かい心情が滲み出ているんです。
音楽の形式としてはきちんと常道を踏まえている。人間の感性を苛立たせず自然だ。
だけど平凡ではない、心惹かれる旋律が非凡だ。この曲も例外ではありません。
お得意の編曲においても、弦のピチカートが多用されて、儚くも美しい演出が素敵だ。

あの大ヒット「恋のバカンス」では、まだ譜面を見て練習して間もなく吹き込んだと
いうような感触をどことなく感じるんだけど、全然流行らなかったのにこっちの方が
ピーナッツの歌はメロディーを的確につかんでいて実にしなやかに歌いこなしている
と思います。こういう出しゃばらない曲にはそれなりの存在意義を感じてなりません。
こういうのを、いいな〜、と聴いていると、世間から取り残されてしまったような、
物悲しさまで身内に漂って、超然とした世捨て人の気分を満喫出来ます(笑)。
自分だけ違う時計で生きているようで、むしろ痛快でもありますね。