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♪アメリカ   1968.12
   作曲:L.Bernstein 編曲:宮川泰 演奏:オールスターズ・レオン
   録音:1968.09.05 キングレコード音羽スタジオ
    

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★★★ ★★★★★ ★★★★★

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「ダンス天国(メドレー) 」という題のいかにも宮川先生の思いつきと思われる
寄せ鍋のような調理法で楽しく聴かせます。
踊り明かして〜シャル・ウイ・ダンス〜ダンシング・イン・ザ・ダーク〜アメリカと
一曲ごとにきちんとしたフルオーケストラサウンドでそれはお見事です。
こういうことをやったら宮川泰&ザ・ピーナッツは天下一品、抜群でありますね。

極め付きはさよならコンサートのザ・ヒット・パレード〜メドレー。
伊東ゆかり&中尾ミエ共演でなんと27曲がメドレーで歌われます。(驚異)
ギネスブックもの?ではないかと思いますが、まさにアレンジの天才だと思う。
それをタイミングも音程も乱れずにこなしてしまう歌手陣も凄いとは思わない?
(これがスタジオ録音のアフレコじゃなくライブレコーディングなんだからね)
今活躍している新進の歌い手さんたちに、こんな離れ技が出来るかなあ〜。

ダンスといえば、土居甫さんがザ・ピーナッツのダンスセンスを評して、
「センスがすごくいいの。同じフリでも、お尻一つ振るにしてもスゴく下品な奴と
品の良いのがいるんだけど、ピーナッツはそのセンスがすごくいいの」
たとえば、四小節振り付ける。次いで五小節めに入るとき、
「次に移る動作をするじゃない。われわれがよく<アンド・ワン>っていうんだけど、
その流れがピーナッツはすごく綺麗なの」(「スターダストをもう一度」より)

歌唱だけではなく、踊りにもこのような面があるんですね。見逃しがちだけど。
何をやっても「しなやかに」こなしてしまう天性の素質なんでしょうね。

踊れる歌手というのは当時と違って今は沢山おられるような感じがします。
でも、なんか違うんだな? 定型化しちゃってるんだもの。
歌って踊るというザ・ピーナッツが良いお手本を示した筈なのに、一つの曲に
振り付けられたラジオ体操のように覚えたことを繰り返してるだけ。
ピンク・レディーの伝統を引き継いだというわけなのだろうな。
魅せるという要素もザ・ピーナッツから派生した歌手の一つの伝統でもある。
だけど、可愛いだけ、綺麗なだけ、セクシーなだけ、かっこいいだけ..ETC..
昔より普通の人に近くて身近で良いのかもしれないけれど憧れがないよなあ。

主題に戻って「アメリカ」という曲なんだけど、一時大流行したよね。
だって、これ、ご存知、「ウエストサイド物語」の中の一曲。
名指揮者でもあるバーンスティンさんが天啓を受けて作ったと勝手に推測する。
過去、一時的に名作をどっと作ってしまう作曲家って例が多いと思いませんか?
なにか神秘的な神さまのお告げとか、宇宙の大いなる意志とかが働くのかな?
人間のDNAに刷り込まれている音楽素材が表出するので万国共通でその良さが
判るのじゃないのかな。そういうインスピレーションが舞い降りないで作ると、
音符をこねまわしたつまらない演歌やJ-POPが出来るのかも知れないよ。

 プロローグ〜ジェットソング〜なにかが起こりそう〜体育館でのダンス
〜マリア〜アメリカ〜トゥナイト〜クラプキ巡査への悪口〜アイ・フィール・プリティ
〜ひとつの心〜クインテット〜ランブル〜クール〜あんな男に=私は恋してる
〜恋は永遠に
すごい、すごい、こんなにたくさん、しかも有機的につながってミュージカルを
構成してるんだもんなあ。神業だとしか言いようがないじゃんか。

今はDVDとかで家ですぐに画像も再現出来るけど、昔はサウンドトラックのLPで
聴くしかなかった。でも、耳だけで思い描くことが案外素晴らしいことなのかも?
独身生活と彼女居ない歴が超長くて仕事が終わると何もすることがなかった時代。
そんな時に同類独身友人と男ペアで映画やコンサートを観に行きました。
彼女と行ったらそれはそれは楽しいんだろうなとか何時も憧れていたんだけど、
そうだとすると気分はデート目的だからそれは不純であって(笑)終わってから、
男同士でお茶を飲みながら色々と感想を語り合うというのも乙なもの(どこが?)。
だから、けっして映画ファンでもないのですが、ミュージカル映画は大好き。
若い時代の時間はなが〜く感じられるので、その時期がとてつもなく長かったです。
灰色の青春時代とも言えますが、この映画の彩りが逆に強烈な印象で残っています。