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♪アモ・ソロ・テ(あなただけが) 1964.03
AMO SOLO TE
作詞:あらかはひろし 原曲:Slillman Mancini,Berlini 編曲:宮川泰
演奏:レオン・サンフォニエット
録音:1964.01.8 文京公会堂
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★★ | ★★★★* | ★★★★★ | ★★★★* |
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皆さんもマンボの王様ペレス・プラードとその楽団をよくご存知だと思いますが...
そのペレス・プラードさんを、この曲では(多分?)宮川さんが演じていますよ。
さあ、問題です。インファントは何を言いたいのでしょうか?
そのヒントは、まず曲を聴いて下さい。
注意して聴きますと、
<1分55秒>あたりと<2分05秒>くらいに、右チャンネルで、ほら、
「ア!」っていう声が聴こえてきませんか?
ピーナッツが、♪あなただけのあたしを! と歌うと、
カウベル(金属のベル状の打楽器)を、コン コ コ コン コ コンと叩きます。
その二つ目の「コ」で「あぁ」と唸っているんです。
これは意図して録音したのではなく「入ってしまった」のだと思います。(笑)
宮川先生は夢中になって指揮するとレコーディング中でも歌ってしまうのが名物とか。
普通はマイクが先生の方へは向いていないので殆ど入らないし、演奏の音で埋もれて
しまうのだと思いますが、この曲の上記の箇所はカウベルしか鳴っていないんです。
最初に書いたペレス・プラード楽団の演奏では「ア〜〜、ウ!」というかけ声が
すっかりお馴染みになっていますが、きっかけはやはりわざとではなかったとのこと。
あれは「行け!」とかバンドに気合いを入れたのが録音に入ってしまったのだとか。
昨今の録音では指揮する必要もない(?)ので、考えられませんが、これはとても
面白い「音の記録」です。
こんなにムキになって指揮しなけりゃ駄目なもんなのでしょうか?
これもご存知、ジャッキー吉川とブルーコメッツの録音エピソードを読みましたが、
当時はやはり「一発録り」しか出来なかったようです。
あの腕達者なグループが歌も演奏も満足出来る録音をするには8時間もかかったとか。
オーケストラをバックにした場合(結構多いのだ)はもっとかかったらしいのです。
つまり、重ね録りが出来なかった。誰かがドジったらやり直ししかない。
いや、正確に言えば、出来ないのではなくて、重ねるとノイズが倍増されるので、
プロとしてはそんな録音は恥だと思ったのでしょう。
新鋭機器でも片チャンネル2トラックで4フェーズが精一杯だったろうと思われます。
今は並行マルチトラックに別々に録音出来るし、トラック間の音洩れや信号系統の
雑音レベルが驚異的に少ないので重ねても平気なのでしょう。
だからこそ、ムキになるんだと思いませんか。真剣勝負だもの。
ザ・ピーナッツの歌も含めて全ての楽器やバックコーラスが一斉に演奏してるんです。
副産物かも知れないけれど、これがいいんだ。
何度でも書いてしまうけど、活き活き、溌溂、浮き浮き、ノリノリですよ。
機械的ではない生々しさがある。宮川先生の指揮で「間」までが一糸乱れずなんだ。
上手くいったらみんなが「お疲れさんでした」と、かけ合う声も弾んだと思います。
そんなこと言って、お前が見ていたのかって、もちろん、見てませんとも。
商業出版で印刷してあることなら認定出来るというのも変です。嘘かも知れません。
私は自分の耳を肯定します。これほど自分にとって確かなものはない。(笑)
音楽というもの演奏というものの録音はこうあるべきではないかな、と感じます。
最近のものも実はこっそり聴いているんですが(爆)、たしかに出来はいいんだ。
とにかく欠点が何もない。音に隙間がない、乱れがない。完成度は非常に高い。
たっぷりと人工的倍音成分が充満しているし録音レベルも一定という感じがする。
楽器の分離も良くて縁の下の力持ちみたいな音は無く全部が聞き取れるほどなんだ。
テンポまで正確でリズムは複雑精緻。悪口を差し挟む余地がない。超高度だ。
だけど、養殖物と天然物みたいな、違いがあるように思うけど、どうでしょう?
曲の最後の「ゴン!」なんて音、やったあ、最高だ、と拍手したくなっちゃうな。
2002/06/01(Sat)投稿