■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

♪ある恋の物語   1959.11
HISTORIA DE UN AMOR
  作詞:ダイヤモンド・シスターズ 作曲:C.E.Almaran 編曲:宮川 泰
  演奏:シックスジョーズ 及び 山田たかしとトロピカル・メロディアンズ
   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★ ★★★★* ★★★★ ★★★モノ

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

1955年にパナマのカルロス・エレータ・アルマランが作詞・作曲した愛の歌。
最愛の妻を失った悲しみを切々と綴った歌です。ということしか知りません。
世界中に星の数ほどのカバーバージョンがあるラテン・スタンダード曲ですから
幾多の名唱、名演がひしめいていて、今さらピーナッツのモノラル録音時代のものを
苦労してまで入手するほどの価値があるとは客観的には思えません。
実際私もこれが収録されていたLP「可愛いピーナッツ」は廃盤で買えませんでした。
縁がないものと諦めておりました。

CDの時代になって良かったのはアナログで廃盤になったものが復活したことでした。
不思議なことにCDで初めて聴いたのに妙な既聴感があるのです?
それまでにラジオなんかで聴いたことがあったのか、どうしてなのかわかりません。
恐らく私の脳みその中には、ピーナッツ節というかピーナッツ調みたいなパターンが
出来上がっているのではないかとも思われます。

夢でピーナッツが、♪ふりむかないで を歌ってるのを見たことがあるのですが、
フルコーラスで歌詞は勿論のこと、伴奏の個々の楽器まで完璧に再現されました。
総天然色の夢は普通は見ないと同様に演奏の細かい所まで鳴り響いたと知覚するのは
全部が錯覚ではあるのでしょうが、人間の記憶のメカニズムはまだ未知の世界です。
CDの1曲なんて、たかが30MB。人間の脳はこの何億倍も記憶出来るはずです。
こんなのは超常現象ではなくて当たり前の記憶反芻だと思います。

記憶といえば、味の記憶と言うのもあります。
最高に美味しいラーメン屋さんがあって、20代に時々行きました。
久しぶりに食べに行くと、ご主人が、やあ、久しぶりだね、とか、当時一緒に食べに
行った友人のことも、どうしてる、とか聞くので、なんでそんなに良く覚えてるの?
俺そんなに頻繁に来るお得意様じゃないでしょう? と聞いたら、あのねお客さん、
覚えやすい顔と覚えにくい顔があるの。そうね、いい男はあまり覚えられないね〜、
整った顔だちは特徴がないからさ。と言ったから、店内は爆笑。
まあ、これは冗談なのですが(いや、本当かな?)、お客さんの顔を覚えることが
商売の一部とすればこれは大変なプロ意識といえます。
そういう意味ではピーナッツのことを良く覚えていてもメシのタネにはならないな。
お仕事の約束や納期など年中忘れてしまうから、こまったもんです。

閑話休題。ピーナッツの「ある恋の物語」を聴くことにどれだけの意味があるのか?
トリオ・ロス・パンチェスのレコードに勝るとはとても思えません。
ペレス・プラードのレコードも凄い演奏だ。原曲のメロディーが途中で、あれれれ、
と、とんでもないものに変わるのもすげえぞ。火を吹くようなトランペットだあ!
レコードコレクターではないので、これしか知りませんが、存在感があるよなあ。
そこへいくとザ・ピーナッツの歌は日本人のこの当時の歌謡感覚そのまんまですね。
ところがね、けなげで可愛らしいんだな。センチな女学生ふうのある恋の物語。
この頃、ザ・ピーナッツは花も恥じらう18歳。娘十八番茶も出花って言うじゃん。
あ、これは失礼な言い方だ。え〜と、ま、とにかくチャーミング盛りなんですよん。
だから可愛い声で歌ってくれるだけで、もう満足。理屈はどうでもいいのだ。

♪私の恋のお話 すてきな恋のすべてよ
 ふとめぐり逢いし 愛を誓い合った 二つの心
と、いうダイヤモンド・シスターズ作の歌詞はもっとも一般的に歌われたものです。
このグループ名の作る歌詞は平凡そうだけど、なかなかのものだと思いますよ。

♪Es la historia de un amor Como no hay otro igual
 Que me hizo comprender Todo el bien, todo el mal
何を言ってるんだか、さっぱり判りませんが(笑)上手さより可憐さがたまらん。
ここから、ソロと裏メロに分かれて歌うのが、また、これが、いいんだな〜。
♪Que le dio luz a mi vida Apagando la despues
 Ay que vida tan obscura Sin tu amor no vivire
 Es la historia de un amor (綴り正しいかな?入力するのが大変だ〜:笑)

以前に掲示板で話題になった「テネシー・ワルツ」もそうだったと思うのだけれど、
日本語の歌詞の所はまあ懐かしいわ、ぐらいだったけど、原語の部分は、それはもう
大変な経緯が歌われていて、ショッキングで、どうにも悲しすぎる歌詞でしたよね。
だからひょっとすると、この歌の横文字も世にも悲しいこんな出来事があったのよ、
と歌っているんじゃなかろうか? などと思ってしまいます。
だって亡くなった愛した人を思い出して切々と歌っているわけでしょ。違うのかな?
このピーナッツの歌では、ただただ愛らしくて、涙は全然出て来ません。(笑)