■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
♪アンド・アイ・ラヴ・ヒム
AND I LOVE HIM 作詞/作曲:J.Lennon P.Mccartney
(And I Love Her)
<テイク1> 1967.12
編曲:宮川泰 演奏:レオン・サンフォニエット
録音:1967.10.05 キングレコード音羽スタジオ
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
<テイク3> 1972年頃(推定)
編曲:宮川泰 演奏:ブルー・キャビネット・オーケストラ
コーラス:フォー・メイツ
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★ |
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ザ・ピーナッツはこのグローバルな名曲を2回吹き込んでいます。
一回目はお馴染みの宮川先生のアレンジで、オーソドックスな印象です。
いかにも宮川&ピーナッツだとこうなるよな〜という感じだと思います。
こうなる、とは、どうなるのか..うまく言えませんが、優しいとでもいうのかな。
宮川&ピーナッツは一見派手の見本みたいなんだけど実は謙虚さの権化のようで、
宮川先生って他の作曲家のことを凄く褒めるでしょう。
作曲家なんだけど、同時に私達と同じ音楽ファンでもあるような気がするんです。
だから、素敵な曲には大変な敬意を払う、という面がうかがわれます。
この一回目の録音では、良い意味で、どこか歌謡曲っぽいという感じがするんです。
宮川先生の感性からは、この曲のこの上ない美しい旋律に哀感を感じたのだと思う。
この感動を自分の感覚で素直にアレンジしたのではないでしょうか。
ちょっと泥臭いかも知れないけど、私には先生の思いが手に取るようにわかるような
そんな虚飾なしの真正直な編曲であり、宮川さんを抱きしめてしまいたくなります。
♪Bright are the stars that shine, dark is the sky
★ここのとこで左側から入ってくる低弦の音が..まあ定石といってしまえば
それだけのもんでしょうが、ここが..もうたまらなくイイ。泣かせ所だ。
しかし、音楽というもの、名曲というものはつくづく凄いものだと思います。
英語の歌詞はいまもって意味がわかりませ〜ん。(笑)でも、いいもん。
娘は英語が得意なんで教えを乞えばたちどころにわかるとは思うのですが、これ程の
名曲になると、あえて日本語訳なんかわかってもしょうがないと強がる私です。
関西弁をしゃべる宇宙人が居るかどうか知らないけど異文化コミュニケーションは
まず音楽からでしょうね。ほんとうに国境がないと実感します。
偉そうにしている英国人にも、こんなに人に優しい歌が作れるし、親しまれている。
シベリア抑留なんて酷いことしたり北方四島を返さないロシア人もカチューシャとか
歌ってるし、チャイコフスキーみたいな作曲家もいて、優しさに溢れていますよね。
恋のバカンスもロシアで流行ったとか、ねえ、判り合えそうな感じするけどなあ。
ところで、このLPアルバムの他の2曲「イエスタデイ」と「男と女」と共に、
まだキングレコードはCD化してくれていないのです。
しょうがないのでレコードからUSBのAD変換機器を経由させてCD-Rに焼き、
本来のレコード順にアルバムにしていたりしますが、悲しいかな素人の機材です。
それと、この曲は最内周に収録されています。LP世代の方はご存知と思いますが
レコード盤は内側は音溝の条件がきついのです。
1分間に33.3回転ですから大体一秒に半回転です。例えば外側の直径28センチ
辺りでは、45センチ位を一秒で針が辿ります。
しかし、内周では僅か17センチ位しか針が進まないのですから大変な密度になる。
こういう条件下も加わって、どうも歪みっぽい音なので残念なんですよ。
是非、CD化をキングさんにリリースしてもらいたいと思います。
さて、一方、こちらはデジタル化出来ていて録音も、元々の盤質も良かった再録盤。
アレンジもクニ・河内さんで、まさに「新しい世界」が生まれました。
これは妖刀村正の切れ味。すごい盤だ。
ワイヤーブラシ・プレイのドラム。ピシ、ピシと決まる小編成楽器。これぞ名人芸。
「しゅっ!」だよ「しゅっ!」。いやあ、まいったね。これは。
東洋の片隅の島国でこんな演奏があるなんて、ビートルズが知ったら驚くだろうなあ。
こういう音楽道楽が出来たピーナッツは幸せ者だと思う。
どんな人気歌手でも、こんな好き勝手は(笑)なかなかやらしてくれないよ。
で、どっちが好きか? となると凡人の悲しさで、やっぱり前者なんだな〜。
やっぱりザ・ピーナッツはメロディーが美しく聴こえる歌手だからねえ。
レガートがちゃんと滑らかで、テヌートもきちんと音符の長さまで歌い切っている。
そういう訓練をしていると思う。宮川先生の指導なのか、もっと前代の名古屋の歌の
先生が基礎的なことを教え込んだのか、歌い手としての基本がきちんと出来ている。
コーラスだから必須なのかも知れないが高音も低音も同じ声音で歌い抜いている。
裏声は殆どの歌で用いることはない。これもメロディーが綺麗に聴こえる一因だ。
というのはかなり無理矢理の屁理屈でして。(笑)
要は歌謡曲みたいな感じの方がとっつきやすいし、何度聴いても飽きないだけです。
2004年6月2日「ピーナッツ・レア・コレクション」というCDが出ました。
このCDにも「アンド・アイ・ラヴ・ヒム」が収録されたのですが、未CD音源と
いう前触れだったので、私はてっきり上記の<テイク1>1967.12版が収録
されるのだとばかり思い込んでいましたが、そうではなくて、第3のバージョンが
アポロンの音楽テープ音源で存在していて、これが収録されたのでした。
それを聴いた感覚では<テイク1>を編曲された宮川先生が、後年のクニ・河内
さんの新アレンジを聴いて、あ、こういう感じもいいな、とか思って、再び編曲に
挑戦されたので、両者の中間的な感覚のアレンジとなったのではないでしょうか?
いつもそうですが、私の書くことは殆どが想像&空想なので信じてはいけません。
そういう個人的な思念を巡らせて楽しんでいるだけです。
「日本一のホラ吹き男」&「ニッポン無責任野郎」&「日本一のワルノリ男」などを
目指しております。(笑)
クニ・河内さんのアレンジは今でも斬新に感じるほどに大変にモダンなものでした。
そのセンスの良さというものを宮川先生は感じ取って、形を真似るのではなくって、
ハイ・センスなものにしようとされたように感じます。
この第3のバージョンはとてもアレンジ面で凝っていて恐らくスコア(総譜)の段は
ものすごいことになっているでしょう。ある意味でゴージャスです。
ピーナッツも歌の反射神経みたいなものが秀でているのか、この編曲の意図を感覚で
感じとって、実にしなやかに溶け込んでいます。
このニュー・リリースの頭から4曲は同じ時期の録音らしいのですが安定感が抜群。
ポップス・カバーの第一人者としての貫祿があり、ケチのつけようがない仕上がり。
当たり前のように上手いのが逆に新鮮味と話題性がないというジレンマもありそう。
さて、これだけの完成度が聴かれる<テイク3>なのですが、私にはどうしても
最初の録音のバージョンが一番素晴らしいと感じてしまうのです。
なにが最も違うかというと「哀愁に満ちている」というところなのです。
同様に同じレコードに入っている「イエスタデイ」も哀感たっぷりなのです。
哀愁があればそれでいいのか、というと、いつもそうではないとは思うものの、
こと、この2曲に関しては、私は、この感情面の深さが必要だと感じるのです。
現在、CDとなったバージョンについても、これも大切な録音であり、これだけの
幅広い解釈が可能な名曲であり、歌い手の力量も発揮されていて貴重ではあります。
しかしながら、<テイク1>のCD化はいつか必ず実現させて欲しいものです。
これが最も率直な宮川アレンジとピーナッツの原点のような愛しさがあるのです。
(2004.6.5.追記)
2009年4月。上記の<テイク1>もCD化されました。メデタシ、メデタシ。
「あ」のタイトルの歌 #番外編
「あ」の歌がやっと終わって、次回からは「い」となりますが、もう他にはないのか?
というとまだあるとは思います。しかし、聴くことが困難だったり不可能なんです。
♪あなたとわたし
作詞:岩谷時子 作曲:宮川泰 編曲:宮川泰
こんな歌聴いたことがないぞ。
たぶん、そうだと思います。これはNHKラジオで今月の歌として放送されましたが
レコードにはなりませんでした。でも、楽譜は葉書を出して送ってもらいました。
三番まである歌詞が載ってるその楽譜が見つかりません。捨ててはいない筈ですが。
メロディーは明るく楽しく、こんな風な歌詞でした。
♪あなたはギターが好きね 私はピアノが好きよ
それでも二人はいつも とても気が合うのね
ラララ そんな二人だけど ラララ わたしがあなたを
そして あなたがわたしを ラララ とっても愛しているの
こういう歌詞が以後続きます。
要するにあなたとわたしは趣味趣向が違うけどお互いにお互いを必要とし理解し合い
仲良く出来るのね、と歌っているのです。
これはどうして大変に崇高な内容ではありませぬか。(笑)人間社会の理想ですね。
人と人、国と国、宗教と宗教、信条と信条を超えて世界平和の実現に繋がる歌です。
自分と毛色の違う人でもその人の存在を認め、愛してしまえば自然と理解が出来る。
その他「あ」のつく歌は「アモール」というのを良く歌ってました。
他で書いた「ザ・ピーナッツ」というラジオ番組では時間調整用にこの短い歌が丁度
良かったのかも知れないけど、度々このテープが流れました。
もっとも10分を超えそうになるとフェードアウトされちゃうんですが。
♪アモール アモール アモール
のあとに日本語歌詞が続くのですが非常に記憶が断片的で書けないのが残念無念。
なんとなく口に出来そうなんだけど、出てこない、ああ、もどかしい。
ピーナッツの声の響きが耳に残っているような錯覚はあるんですがねえ〜。
「あ」だけで、CDアルバムが3枚出せますね。質と量でピーナッツは偉大だなあ。