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♪五木の子守唄(熊本県民謡) 1960.04
編曲:宮川泰 演奏:シックス・ジョーズ(LP)
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★モノ |
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★ | ★★★★* | ★★★★★ | ★★★★ |
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この歌には、二つのバージョンが存在します。両方とも編曲は宮川泰先生です。
1960年に出た「ピーナッツ民謡お国めぐり」(モノラルLP)
1970年に出た「お国自慢だ!ピーナッツ」(8トラック・テープ)
お国めぐりの方の演奏はシックス・ジョーズです。
同編曲者であっても宮川先生の凝りっぷりから予想するに両者は全く違うものに
なりそうだ、などと思っていましたが、意外や意外。よく似ております。
編曲はというか楽譜は違うんです。(もちろん、見たわけじゃないですよ:笑)
新しいアレンジにはなっているんですが、目指す方向がぴったり同じと感じます。
♪ル〜ルル ル〜ルルル〜 というスキャットも前者を踏襲しています。
この理由を考えるのが今回のテーマです。(なんか偉そうだなあ:苦笑)
昔は20万枚レコードが売れたら日本中の人がその歌を口ずさめたものだけれど、
今は300万枚CDが売れても300万人しか歌えないなどとよく言われます。
これは極端に世相を皮肉っているのではありますが、そういう面もあるでしょう。
特定の購買層に特化したって売れれば勝ちです。そして歌の世代断絶が生まれる。
昔は良かったのではなくて多分貧しかったからだと思いますがレコードを売るには
広く大衆にアピールする必要があったのでは?
だから、ピーナッツもシングル2枚目からキサス・キサスのB面がちゃっきり節。
セカンドLPが民謡集という今どきじゃ節操のない支離滅裂な歌手と思われそうに
何でも歌ってしまう。ピーナッツに限らず、そういう時代だった。
テレビではポップスを主体に歌っていれば良いのだけれど地方巡業の舞台公演では
民謡などを歌うワンステージがある方が圧倒的に喜ばれたのは事実でしょう。
歌の総合商社みたいなもので、ピーナッツ=総合唱者Sかな?(座布団一枚)。
そして、ピーナッツの民謡って楽しいじゃありませんか。これがなによりです。
決して、嫌々歌っている様子もないし、尤も、モスラ〜ヤ モスラ〜なんて歌も
思いきり伸び伸びと歌ってますから、何歌ってもいいんだ。ピーナッツならね。
だから、10年という録音の隔たりがあっても実はその間に何度もくりかえして
この歌をステージでは歌うことが多かったのではないのか、というのが推測の素。
「山寺の和尚さん」だってドリームボックスに未発表曲として初めて収録されても
こっちは、やっぱり録音してあったか、であって驚きはしなかった。
くりかえし歌っていたことで、ザ・ピーナッツ風五木の子守唄が定着していたので
10年後でも殆ど原形をとどめているということになった、のではないでしょうか。
さすがに編曲も一層緻密になり、歌唱、演奏もぐっとセンスアップしています。
だから一般的には新録音さえあれば良い、と、クールに書きたいのではあります。
しかしながら、惚れた者の弱み、シックスジョーズの妙に素朴な味のある演奏や、
なんといってもピーナッツの超かわいい〜初々しく可憐な(形容詞多すぎ)歌声。
この「ピーナッツ民謡お国めぐり」にはまだ多くの未CD化曲が入っています。
これをキング・レコードのマスターテープ保管庫に眠らせておくのは勿体ない...
なんとか機会をつくって、これもCDリリースしてほしいなあ。
2002/07/30(Tue) 投稿 2003/10/27一部修正
2009年1月21日、遂にCD化されました。バンザイ。