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♪おてもやん(熊本県民謡)  
     録音:1970.06 初発:1970.08 編曲:宮川泰
  

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★* ★★★★ ★★★★

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ちょっと待ってよ、ザ・ピーナッツのなら「ばってん、ばってん、ばってんてん」が
タイトルじゃないのかい? と言うあなたはかなりのマニアで、かつ、高年齢(笑)。
たしかに、デビューから数えて、四枚目のシングル盤B面で同じ歌を吹き込んでます。
B面の民謡は、元の曲名をそのまま使わないで、別のイメージなんですよとアピール。
 ちゃっきり節 → チャッキリ・チャ・チャ・チャ
 三階節    → 米山さんから
 おてもやん  → ばってん、ばってん、ばってんてん
かっこよいネーミングというより子供っぽい曲名にして、可愛らしさを狙った感じか。

♪ばってん、ばってん、ばってんてん   1960.02
   編曲:宮川泰 お囃子(演奏):伊藤素道とリリオ・リズム社中
          コーラス:伊藤素道とリリオ・リズム・エアーズ
    

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★ ★★★* ★★★★ ★★★モノ

しかしこの民謡路線はここまでである。こまどり姉妹のデビューと無縁ではあるまい。
一時期はザ・ピーナッツと人気を二分したというより追い抜いたのが、こまどり姉妹。
歌唱力とか音楽性とかは大衆はどうでも良いのである。これは何時の時代でも同じ。
ザ・ピーナッツは民謡までレパートリーに組み入れて、それを趣向をこらして歌うが、
こまどり姉妹は日本人の浪速節気質の心情にのみ訴えたのである。
別にフィクションではなくて実際に大変な苦労をされた姉妹なのである。
そういう悲惨な人生を背景にして、はじめて、こまどり演歌は成り立つのである。
ずれた斉唱のか細い歌声にこそ日本人の魂が揺さぶられるのだとか。ほんまかいな??
こういうエピソード付きの歌は、どんなに流行っても、いい歌でも、好きになれない。
岐阜羽島なんて駅を作らせた大臣が後援してるとか、後援会員がピーナッツの三倍を
超えるとかも癪のタネだったな〜。(笑) 年寄りのマスコットみたいでさあ。

あの「ソーラン渡り鳥」など、実は大変な名曲じゃないかとは思うのでありますが、
玉置宏のナレーションに代表される十年一日ワンパターンの苦労を乗り越えて云々と
いう付帯耳タコ話には、もういいかげんにしてくれと思っていた。
大体が当時の日本人の大多数が音楽は不得意なのであって、歌唱そのものよりは、
他の要素が特に人気面で大きいのであった。同情を乞うというのにも一番弱いのだ。
あれは芸を磨く為の苦労じゃなくて、親が甲斐性なしだから子供が児童福祉法違反
とも思えるような辛酸を味わったのであって、芸人としての技術が大成したわけでは
なくて、ただ、同情集め路線の、もらい泣き人気が出ただけなのである。

一応は歌手なのであるから、もっと色々なチャレンジをするべきではなかったか?
二人で三味線を持っているのだから、何か出来なきゃおかしいんじゃないか。
ザ・ピーナッツさんが居たからこそデビュー出来たなどと一言も聞いた事が無い。
たまたま時期が一緒だったなどとふざけたことを言っている。
和風で対抗するなら、日本調の神髄の芸を聴かせなきゃ、本物とは言えなかった。
こんなんでレコード売って儲けていたから、コロンビア・レコードはダメになった。
しかし「こまどり姉妹」というのは字面が良くて、素晴らしい命名でしたね。
和風なのが大事で、歌うのは双子なら誰でも良かった?? ようには感じます。

そんな和風ピーナッツ=こまどり姉妹には民謡のアルバムなどもあったのかなあ?
ザ・ピーナッツが民謡・俗曲でアルバムを三種も作ったのが、これも不思議だなあ?
なに歌ってもこっちの方が上手いんだからね、と、自信たっぷりなのかしらね。
そうなると、こまどり姉妹がかわいそうになってくるよね。あ、同情しちゃった。

もっとも、歌だけじゃないよ、というズルイことをたくさんやったのもピーナッツ。
抜群にしなやかで軽やかなダンス。ファッションモデル顔負けの凄い衣装センス。
ひみつのアッコちゃんみたいに色々化けてクレイジーとやったバラエティ・コント。
そういう長い年月で磨かれた技術アップがこの最後の民謡集で聴くことが出来ます。
本音で言うと、どうかなるほど(笑)大好きなザ・ピーナッツも、宮川メロディー&
アレンジが、実際に世界的な水準にあったのか。疑問符が付くと、私は思うのです。
まあ〜しかし、この民謡アルバムに関しては間違いなく世界一かも知れないなあ。
こういうのをやらせたら宮川先生は天才かも知れない。異質音楽の合成と調和です。
しかしながら外国の方が聴いたら、いいのか悪いのかわからないかもね。


ザ・ピーナッツ・デビュー50周年記念のLP紙ジャケ・コレクションということで、
とても嬉しい企画のCDが出ました。
なんとまあ、50年ぶりという再録曲も多く収録されたことも勿論良かったのですが、
こういうエッセイを読み書きするのに、一枚のアルバムに2つのバージョンが入って
いると大変に都合が良いわけです。
ひとつのエッセイで2バージョン書いているわけで、聴くのも一枚ならば両者の違い
がすぐにわかるので私の意図にもぴったりです。ナイス企画です。