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♪男というものは 1963.06
A GUY IS A GUY
作詞:あらかはひろし 作曲:Oscar Brand 編曲:宮川泰
演奏:レオン・サンフォニエット
録音:1963.01.18 文京公会堂
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
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♪わたしのママが言いました 男はみんな狼よ
この歌はもう、江利チエミさんの大ヒットで、カバー曲というよりも彼女の歌が
もっぱら私達にはスタンダードのような感じさえ抱いてしまいます。
昭和28年の第4回紅白歌合戦にチエミさんは、この歌で初出場しています。
もちろん、キングレコードの大先輩の歌手です。その定番の歌です。
もしかするとスタッフには江利チエミさんの録音を手がけた方も居るかもしれない。
結果的には、その先輩よりも先に引退をしてしまいましたが、この録音を手がけた
周囲の思いは実力を備えた正統な後継者がピーナッツだということかも知れません。
この歌の持ち味はコミカルな明るさで、とにかく楽しく聴かせるのが身上です。
でも、ふざけ過ぎると興醒めという面も併せ持っています。
案外と、挑戦はむずかしいのかも知れません。
デビュー直後のスタンダードアルバム「夢であなたに」と比べて、進歩したなあ、
と感じるのは、これらの歌なのです。余裕と歌の演技力が生まれています。
こういう感覚は単に歌だけ歌っていては身につかず、シャボン玉ホリデーへの出演
などによって会得したユーモア・センスが活きていると思われます。
編曲も思いきり跳んでいます。おいおい、と言いたくなるほど、とにかく面白い。
宮川先生は、いつもこういう面白いことをやってみたくてしょうがないという感じ。
壮大な曲よりも、こういうお茶目さにこそ本領発揮という感じを私は抱きます。
「A GUY IS A GUY」というものは、こういうものだと信じちゃったら間違いなのかも
知れないけれど、この歌の楽しさは、これで良いのだ、という説得力も持ってます。
このアルバムが実に洒落ているのは、歌それぞれで、演奏の編成がフレキシブル。
宮川先生はピーナッツ用のアレンジというと、ほんとうに凝りに凝る感じです。
いつもよくわからないのが、レオン・サンフォニエットという演奏集団名の表記。
これがレコーディングの際のスタジオ・ミュージシャン達の仮称だということは
わかるのですが、じゃあ、オールスターズ・レオンと同じLP内に表記してある
グループとは何が違うのか? 見当がつきません。
何となく、レオン・サンフォニエットはオーケストラ編成なのではないのかなあ、
オールスターズ・レオンはアンサンブル・コンボなのでは、と思っていましたが、
この「男というものは」の演奏って、「カモンナ・マイ・ハウス」を演っている
シックス・ジョーズとサウンドが瓜二つじゃなかろうか???
だってさ、ギターなんか、もろ松宮庄一郎。違いますか???
アレンジ上で、ゲストプレイヤーを迎えた場合とか、都合で正規メンバーではない
方と交代したなどのケースには、レオン・サンフォニエットになるのかしらねえ?
最近は、CDなどにミュージシャンの名前を紹介するライナーが載るようになった。
この時代はまだ裏方さんはあくまで縁の下の力持ちだったのでしょうね。
そういう記述がないので、何の証拠もありませんが、宮川先生はアレンジだけでは
なくて、指揮は勿論、演奏にも参加されているように感じます。
この曲では、アコーディオンをやっているような「気がします」。
世界に向けて発信するようなアルバムではありませんし、それがこのアルバムの
価値を下げるような性質のものでもありません。私的には絶賛ものです。
演奏・歌唱も最高レベル。これ以上に望むことは何もありません。
出だしの伊藤エミ(日出代)さんのソロの歌声は江利チエミさんを彷佛とさせます。
こういう楽しみは日本人に与えられた特権のようなものです。
そして、この頃の録音は実に空気感が自然で残響までもが音楽性に富んでいます。
懐かしいなどという話じゃなくて、音楽はこう録るべきではないかとさえ思います。
この歌が収められたアルバムは私達の宝だと思いますし、それはデジタル化による
復刻でも十分にその良さを享受することが出来ます。
アナログレコードでなければ、というようなケチな考え方は無意味です。
どちらがよりマスターテープに肉迫しているか、それはそれぞれの長短があります。
総じて、CDが圧勝していると私は思います。(ただし、圧縮はいけません、嫌い)
ただ、レコード時代から進歩していないのは、非情な「廃盤」という制度。
聴きたい買いたいと思う人が一人でも居れば、それを届けることが出来るシステムを
作るという知恵を出して欲しい。ハイテクというのは人の為に生まれた技術でしょ。
まだまだ、真のサービス産業としての真剣さが足りない。そう思います。
投稿日:2002/12/15
すみません、乱入で〜す!
インファントさん、こんにちは。
出てくる時は関係ない質問ばかりの、でぶりデス。
無理矢理、こっちの方を向いて下さい。エイッ!
チエミの方、向いた?
今、江利チエミの「A GUY IS A GUY」を聴いています。
私が持っているのは2バージョンあるんですが、1つはデビュー時のもの。
もう1つは、たぶん10周年に再レコーディングしたものだと思います。
このテイク違いはアレンジもテンポもよく似ていて非常に比較しやすいのです。
似ているけれど、決定的に違うのが音質です。
特にトランペットとかトロンボーンとかの管楽器の類は、雲泥の差があります。
「江利チエミ」は私の場合、デビューから10年間が特に聴き応えがあって、
いろんな曲をアトランダムに聴いていくと、この管楽器の音で「この録音が一番古い」
とか一人で納得しています。
レコーディング技術の発達と共にチエミの声もオーケストラの音もクリアになって
いきますが、その中で管楽器の音の進歩だけが、最後まで置いてきぼりだったように
思えるのです。
私は江利チエミしか聴かないのでピーナッツの場合どうだったのかわからないのですが、
これはもしかしてキングレコードのスタジオ特有の音響なのかな?とふと思ったもので。。。
こんな疑問を持ったのは、コロムビア笠置シズ子の「エッサッサ・マンボ」を聴いたからです。
この曲、けっこう管楽器の音がいいんですよ。
何年の曲かと調べてみたら、昭和29年なんですね。
同年録音の江利チエミの「アンナ」と聴き比べると「エッサッサ・マンボ」の方が音が
いいと思うんです。これってスタジオ設備に違いがあるんでしょうか?
コロムビアの方がいいスタジオだったのかなぁ、とか推測するんですが。
またもや全然関係ない話に持ってってスミマセン。
レコード会社特有の音とかあるのかな? とふと疑問に思いまして。
江利チエミさんとくれば、これはもうアンカーさんの独壇場ですよ(笑)。
てんで私の出る幕は無いのですけど、録音談義は大好きです。微妙ですね〜。
江利チエミさんのは、モノラル時代とステージライブ2種聴きました。
どちらもバンドは原信夫とシャープス&フラッツ。
ライブステレオ録音はステージですから、伸び伸びと鳴っています。
モノラル録音のものはボーカルはいいけれど、バックはサウンド云々というレベル
ではないですね。狭い所で、残響も乏しい感じです。
これは、ザ・ピーナッツのデビューとほとんど同時にキングレコードが新スタジオを
作っているので、それ以前の場所なんでしょうかね。
可愛い花なんかも、どうも古い方で録ったみたいで、これは小編成なんですけれども、
ビック・バンドがフルに機能を発揮出来る環境じゃなかったのでしょうね。
ザ・ピーナッツのフル・バンドものというのは割と少なめなのです。
でも、初ステレオ録音である「月影のナポリ」と「白鳥の恋(B面)」の録音は
それはそれは素晴らしいものです。私、惚れ込んでおります。
1960年(昭和35年)にこんな見事な録音が出来たなんて奇跡です。凄い!!
A:シックス・ジョーズ&ブラス・セクション
B:東京キューバン・ボーイズ
さて、ピーナッツの「男というものは」の録音はコンボ編成です。
ブラスはテナーサックス一本だけです。しかし、これが実に見事な演奏ですよ。
チエミさんはもちろんジャズ風ですが、ピーナッツのはツイスト風とでもいいますか、
スイング感覚じゃなくてロック感覚です。ここが面白いとこです。
録音場所は厚生年金会館大ホール。アコースティックな音響が綺麗で豊かです。
録音場所の訂正<インファントの音響犬>2002/12/17
ごめん、録音場所は文京公会堂でした。当時のピーナッツの記事用日記から.....
↓
一月×日
今日は文京公会堂でレコーディング。「テネシー・ワルツ」、「モナリザ」、
「家へおいでよ」の三曲。どれもなれている懐かしい曲だけに歌いやすかった。
久しぶりでお仕事が早く片付いたので、銀座の美容院でセットをしゴキゲンで
六本木でお食事。お友達のH子も一緒。三人で、いろいろとおしゃべり。
H子さんは「最近のピーナッツ、少し太っちゃったんじゃない?」と、一番
イタイところをつかれてしまった。でも、ブクブクというほどではないけれど、
ホントのことだから仕方がない。
当分、やっぱりお食事は一日ニ度にしなければならないかナ。朝はトースト一枚に
ジュース。それに野菜イタメという献立にしようかナ。
そして、夜帰るまではゼッタイ間食はしないこと....な〜んて、
さて、実行できるかしら.....?
でもヤセルということは大変なことだナ。日出ちゃん、これでもつかナ。(ユミ)
<でぶり さんより再レス> 2002/12/17
>モノラル録音のものはボーカルはいいけれど、バックはサウンド云々というレベル
>ではないですね。狭い所で、残響も乏しい感じです。
あちゃー、はっきり言われてもうた。
でも本当にそうですね。インファントさんの答えで納得しました。
狭い所に閉じ込められたような音なんです。
たとえば『恋人よ我に帰れ』はお気に入りの1曲なのですが、
オープニングはピアノだけの伴奏で静かに始まります。
ささやくようなチエミのボーカルがそれに続きます。
そこまではいいんですけど、曲調の高まりと共に管楽器が入った途端、まるでサーカス楽団の
演奏みたいになって、それまでのロマンチックな気分が一気に興ざめしてしまうのです。
この音がもうちょっと何とかなっていればと悔やまれますわ。
もっと切なくロマンチックな作品に仕上がっていたことでしょう。
スタジオ引っ越し前ということなんですね。
あーあ、残念です。
ツイスト風とかロック風というのは「家へおいでよ」の方なのでありました。
同じLPに入っている、これも江利チエミ路線の歌なのでツイスト混線しました。
じゃあ、このアレンジは何風なのか、う〜ん、得体の知れない宮川風か?
♪シャラララ シャラララ コンコン
コンコンというのはピーナッツが咳をしてるのではありませぬ。
カウベルという打楽器をドラムスティックで叩いているのです。
これは多分、こんこんとお説教している様子を描写しているのではないか?
(宮川先生だからね〜、あながち的外れともいえないかもよ)