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♪男と女の世界    1970.03
THE WORLD OF A MAN AND A WOMAN
   作詞:山上路夫 作曲:沢田研二 編曲:クニ・河内
   演奏:オールスターズ・レオン
   録音:1969.12.19 キングレコード音羽スタジオ
    

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★ ★★★ ★★★

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この歌あたりから、ザ・ピーナッツの後期作品が展開していったと思われる作品。
それまでの宮川先生とピーナッツの蜜月時期に別れを告げたという事でしょうか。
まあ、喩えは悪いが、ダッチロール飛行がここから始まったとも言えます。
私はこれは大きな間違いだと当時から憤ってましたが、今でも思いは変わりません。

沢田研二作品を売り物にするのは人気商売だから仕方がないという面はありました。
しかしながら、以後、「しあわせの誓い」「東京の人」「白い小舟」「青白いバラ」
「なんの気なしに」「北国の恋」と続けて提供したのはやりすぎではなかったか?
こういうチャレンジはLPアルバムで先行してやるべきだったと思います。
確かに、↓そういうミニアルバムもありました。

こんな目立たないコンパクト・アルバムではなくて、30センチのフル・サイズの
LPで、12曲全部沢田研二作品で網羅すべきだったと思います。

ジュリーの大変な数のファン層がどさくさまぎれに、どっと買ってくれたと思う。
営業面でも、これなら大成功だったでしょう。中途半端はダメです。
もし、その収録曲の中で凄い支持があるような曲が出てきたらシングルカットする。
それがあるべき姿ではなかったのでしょうか?
ちょっと過激な表現かもしれないけど、シングルA面にこれは、狂気の沙汰です。
私の記憶では、この曲は、レコード買って針降ろして初めて耳にしたと思います。
なんじゃ、これは!!
シングル盤が一時程の頻度ではリリースされなかった時期には、新しい盤が出ると、
どんなに期待に胸ふくらませて袋を開けたか、想像出来ますでしょうか?
こんな時の落胆した気分というのは言葉に表現出来ないくらいでした。

ジャケットのデザインがとっても素晴らしくて素敵だっただけに、その気持ちの
落差はいっそう大きかった。(このジャケット写真はCDにも多用されてます)
こういう歌であっても、それが評判になり(世間は歌よりも話題で盛り上がるから)、
レコードが売れればそれで良いのでしょうが、あんまり売れたとも思いません。
だから、これにはどんな意味があったのか?
確かにこの曲にはオリジナリティが溢れています。こんな歌、聴いたことがない。
物真似ではないというだけでも作曲専門でない人ですから大したものです。
しかし、ザ・ピーナッツはモルモットではないので、実験に使っては困ります。

音響面でも革新がなされて、多重録音にもなっていますが、エコーの音が硬い。
このような、トリックめいた作り物の音響はどうも私の感性に合いません。
以前の音と比べれば音自体は非常に明晰になっているのですが、音の響き方が
どこか変な感じなのです、音楽じゃなくて楽譜を直接聴くような変な気分です。
ビデオ収録の画像とフィルム撮影の画像のような違いを「音」でも感じるのです。
このレコードも含め後期の録音全体に言えることだと思いますが、以後の音色は
半導体増幅採用、マルチトラック録音、デジタル化などにより著しく高解像度に
なって隈無く音符を拾い上げられるようになったとは思います。
しかし、照明が全体を照らしすぎてピントが全てに合ってしまったような、自然な
陰影がなくなってしまったような感じがするのです。あくまで感じに過ぎませんが。

かと言って、塩化ビニールのレコードじゃなければというつもりもないのです。
CDは大歓迎です。当時の録音をデジタル化したものの音に不満はありません。
当時のマスターテープが凄いなあ、と感じます。それに近付ければ言うことなし。
デジタルになったらオーディオの苦労はしなくて済むようなことを昔言われました。
しかし、CDの時代になっても色々と音色やクオリティがが変わるのは何故でしょう?
昨年、CD&SACD&DVD複合のプレイヤーが10万円を切ったので買いました。
CD専用プレイヤーはドリームボックスが出た時に買ったのですが、日進月歩の時代、
デジタル機器は5年経ったら古い、10年使ったら骨董品で、半値の物にも勝てない、
なんてオーディオ雑誌に書いてあったし、もう12年も使っているからなと思ったの
でしたが...なんと、昔、CDが出たばかりの頃のようなシャープさだけで、潤いと
いうものが欠如した安物の音がしちゃったから、びっくり。

コードも新調してみたり、色々試したが、CDの音質は、パソコン、LDに次いで
酷いものでした。一応、超一流の某メーカーなのですがねえ。
DVDを観るには、この音色が結構合ってもいるみたいなので、両立しないのかも?
結局、まだまだ13年目の、CDしか聴けないけどレコードとの違和感が全然ない
現行のをそのまま使い続けています。でも、ちょっと気になることがあります。
当然ですが、CD-Rなんてのが登場しない頃の製品のせいかも知れないのですが、
媒体のメーカーや焼き方なんかで、どうも、相性があるようなのです。
三菱の1〜16倍速しか焼けないタイプの表面が真っ青なやつ(何とかアゾ?)が
合うのです。それも、一番遅いスピードで焼かないとダメなんです。
読めないとか、音が飛ぶとか、そういうのじゃなくて音がとげとげしくなるんです。
「0」と「1」しか記録しないのに何故こうなるのか? エラーでもないしねえ?

試しに同じメーカーの音楽用CD−Rを買ってみました。違わないと思ってね。
これが凄いんです。倍音がきめ細かくて、元のCDより聴き惚れるような???
これも多分、CDプレイヤー側に未知の問題が潜んでいるからではないかなあ??
<またまた、新年早々に大脱線しちゃいました>
                  2003/01/05投稿