■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

♪乙女の涙    1965.12
UNE E'CHARPE,UNE ROSE
   原曲:R.Dumas-J.J.Debout 作詞:安井かずみ 編曲:宮川泰
   演奏:レオン・サンフォニエット
   録音:1965.11.08 イイノホール
    

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★ ★★★★ ★★★★* ★★★★*

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

女性アイドル歌手シャンタル・ゴヤ(仏)による同年のヒットをカバーしたものです。
元の歌を聴いたことはないのですが、あまり聴いてみたいと思う曲でもありません。
また、懐メロポップス番組でも、これが歌われることもないようです。
もしかすると、ザ・ピーナッツの歌で聴くこれが一番だったりするのではないかしら?

竪琴の醸し出す儚そうなメロディーから始まり、お終いも消え入るような竪琴です。
A,A’,B,A,A’,B,A,A’,B というシンプルで単調な繰り返しです。
しかし、この、A’のところの弦伴奏の旋律がまさに珠玉です。この曲の白眉ですね。
もし、これがなかったら、この歌の良さは何もない、というほど、これが命です。

原曲の歌詞も意味も知りませんが、曲調からは、ピーナッツ盤と隔たりはなさそう。
いかにもカゲが薄くて、控え目で、大流行なんか絶対にしないだろうという感じです。
テーマも悲しい失恋だし、乙女が涙を流しているのだから、そっとしといてという風。
日本人はこういう哀感のこもった曲が好きだけど、フランス人もお好きだったとは。

このレコードのシングル盤は私の買ったのでは、この歌がA面でしたが、その後には
B面の扱いの盤も出たようです。そのペアリングは「明日になれば」でした。
作詞はオリジナル曲である「明日になれば」同様に、安井かずみさんです。
訳詞と作詞をシングル両面でやってしまうところが面白いし、単なる訳詞ではないで
あろうことが想像出来ます。この頃の安井かずみさんは乗りまくってる感じでした。

結局、CDのシングルスでも、乙女の涙はB面ということに落ち着いたようです。
私もその方がしっくりくるので賛成です。
この後に出たシングルでも、オリジナルの「愛は永遠に」をA面にしていて、B面は
「花のささやき」で、バランス的にも座りが良いという感じを抱きます。
このオリジナルとカバーをペアにするという手段が私は大好きだったんです。

カバーポップスの類いは、もうこの頃のピーナッツは安心して聴ける手慣れたもの。
破綻とはもっとも遠いところで余裕しゃくしゃくで歌っていまして刺激感なしです。
こういう感じが結構好きなんです。余力を残してるというのがね。
タイガース時代の沢田研二やチェッカーズでの藤井フミヤなんてのが好きでしたね。
もっともっといけるというのを秘めている。そこが魅力だと思いました。

歌う方は能力を100%発揮した歌を歌いたいのでしょうが、それが必ずしも良い
結果と結びつくとは限らないし、鼻についたりもします。
これは歌だけじゃなくてクレイジーもシャボン玉に出ていた頃が最高なのであって
個々にシリアスな演技をしても、だからどうだったの? という感じは否めない。

この「乙女の涙」という歌は、その印象も強烈じゃないし、ピーナッツの歌の歴史の
中でも、大層な位置は占めてはいません。でも、しみじみしてていい感じだと思う。
大袈裟な歌ばかりじゃコントラストがありません。淡い水彩画のようなこんな感じも
沢山残された歌の中の一部として愛好する価値があると思いました。

                       2003/01/15投稿



Re:<アンカーさんより>2003/01/16


渡辺プロの友の会の会報誌昭和41年4月号に次のような投稿文が載っていました。
ザ・ピーナッツ・ファンのある男性からの投稿です。
**************************************
・・・・・略〜
僕の一番残念なこと、それは近頃ヒット曲が出ていないということです。
現在売られている“乙女の涙”の裏面の“明日になれば”というのがありますが
この歌はいいと思いませんか?
・・・略・・・
どうですか皆さん、協力してピーナッツさんのヒット曲を出したいと思いませんか?
それには皆さんがテレビ・ラジオにリクエストし、いろいろみんなで努力すれば
必ずヒットすると思います。
全国のファンの皆さん、一致協力して頑張ろうじゃありませんか。
********************************
というものです。
このことからも“乙女の涙”よりも“明日になれば”を支持する声が上がって
A面B面が逆転して行ったのかなあなんて思います。
ピーナッツ当時どちらをよく歌っていたんでしょうか?

昔は特にA面B面という区別がなく、テレビなどでも
B面を歌うことも多かったようなのでどちらかがヒットすれば
それでよかったのかも。
ただ、一般受けする(と思われるもの)を片面に入れて
もう片面には実験的なオリジナル、あるいは作家陣の思いのこもったもの、
(ピーナッツにこんな歌を歌ってもらいたい)というものを入れていたということも
あったのでは。なんて思うのです。



Re: <ラ星さんより>2003/01/17


>ピーナッツ当時どちらをよく歌っていたんでしょうか?

やはり“明日になれば”のほうだと思います。
歌謡曲の番組を見ていると親に怒られるような家庭だったのですが、
父が植木等さんのファンだったので、シャボン玉ホリデーだけは別でした。
でもシャボン玉は、毎週ピーナッツのヒット曲を歌わせてくれるような
構成ではなかったので、ちょっと寂しい思いもしました。

それでも“明日になれば”の記憶が有るということは、
やはりこちらが支持されていたのでしょうね。
“乙女の涙”に関しては、ピーナッツ・ホリデーに来るまで知らなかったくらいです。
シャンタル・ゴヤのお顔は、こんな感じ。
http://www1.odn.ne.jp/cbd00490/goya.htm
そして彼女の“乙女の涙”は、こんな感じ。
http://www.sunu-web.com/oldies/frame-3.html

(新しいパソコンにしたら、いろんな音楽がバンバン聴かれて夢のように便利。)
当時のフレンチ・ポップスにありがちな、ロリコン・いたいけ・ヘタウマ路線ですが、
リズムがはっきりしていますよね。
ピーナッツ盤のリズム・ギターは、ズンズンチャチャなのか
ズーンズチャチャなのか、ちょっとあいまいになっていますが、
おそらく後者を狙っているのでしょうね。でもやや中途半端なのが惜しい。

古いシャンソンの現実主義をもっと解り易くしたのがセルジュ・ゲンスブール
(ゲインズブール)の音楽(フランス・ギャルなど)ですが、
「ドラマは現実の中に有るのだ」ということをドラマチックに歌い上げるよりも
もっとドキュメントふうに、「あ、帰り道をとぼとぼ歩いているような、
そういう女の子、本当にいるかもしれない!」と思わせる手法のようです。

シンプルなメロデイは、歌がたどたどしいからこそ歌詞に痛々しい現実味がこもる。
一人デュエットも、一所懸命、音を取ろうとするからこそ聴く者はそれを判別しようと
耳をかたむける。興味の無い者は、投げやる。が、ゲンスブールはそれでいいと思っている。
「君、本当はこんなふうに思ってるんだろ? 僕にはわかるよ」と、
聞き手が歌手の演奏世界を補完することを狙っているのでしょう。
でも、それは例えば彼のロリコン・ワールドでなければ成り立たなかった音楽でしょうね。

もっと歌える歌手が演奏すると、メロディの“大したこと無さ”がアラワに。
更にいろんな楽器で衣装を着せて、ハーモニーを真面目に美しくすると、
歌詞の現実味は逆に遠のく。“夢見る世界”には、なるけど。
しかし、ピーナッツとしては、こう歌うしかなかったのでは?
それが“ザ・ピーナッツによるカヴァー”というプロジェクトの、
後期の麗しさとジレンマだったと思うのですが。

(ちょっと歯切れの良くないマトメになってすみません。
ピーナッツを愛しているの。)
で、ここまで書いておきながら、おじさんは
シャンタル・ゴヤちゃんを好きになってしまいました。
あら大変。



Re:<アンカーさんより> 2003/01/17


>ラ星さん、
シャンタル・ゴヤさんの歌声聴いてきました。
うーん、僕もピーナッツよりもこちらのほうが好きかもしれません。
・・・帰り道をとぼとぼ歩いているような・・・
そう、そんな歌い方だと感じました。

ピーナッツは上手に歌いすぎ?なのかな。
ところで視聴サイト、もうジュークボックス状態です。
仕事に集中できません。あれもこれも聞きたいものばっかりで。
全曲順番に流してくれないかしらん。



Re: インファントの連載犬>2003/01/17


ラ星さんのガイドのおかげでシャンタル・ゴヤちゃんの元歌を初めて聴けました。
いやあ、びっくりしました。
「この、A’のところの弦伴奏の旋律がまさに珠玉です。この曲の白眉ですね。
もし、これがなかったら、この歌の良さは何もない、というほど、これが命です」

こんなこと書いてしまいましたが、なんとここは宮川先生の「創作」箇所だとはね!
知らないというのは恐ろしい。ここの部分は元々存在する定番旋律と思ってました。
これではまるで宮川アレンジ「だけが良い」と書いたようなもの。自分で驚いた。

それと「歌」。これも驚きです。元の歌。雰囲気があって、いいですね。
これも、たどたどしく歌うところが良いのですね。メロディーの少なさが活きてる。
アンカーさんの言われるように、ピーナッツは上手に歌いすぎ?なのかもしれない。
24歳のこの時期じゃなくて「乙女の祈り」を歌った頃なら違ったかも知れないな。
これも、まるで「赤い風船」を美空ひばりが歌ってしまったようなものかな(笑)。



Re: <ラ星さんより>2003/01/18


アンカーさん、そうなんですよ!
昨夜はその物凄さに気づいていなかったのですが、
なんだか、とんでもないサイトを紹介してしまいましたね。
今も次から次へと曲をかけながら書いているのですが、
とても一週間では全部終わりそうにありません。
お仕事のおじゃまをしてしまい、申し訳ありません!
リトル・ジョー&スリラーズ(知らない)の「ピーナッツ」なんて曲も!
♪ I Love You Peanuts ! ・・・

これ、著作権、大丈夫なんでしょうか。圧縮データなら、オッケーとか??
BBSも有るようなサイトだから、大丈夫なの?
うーむ、もし、おおっぴらな話がはばかられる(?)ようでしたら、
林檎の木の下で・・・え、どこでも同じ?豆たぬきさん、すみません! (^^;

インファントさん
>これではまるで宮川アレンジ「だけが良い」と書いたようなもの。自分で驚いた。

うはは、ほんとだ! 
それにしても、シャンタル・ゴヤの歌、何度聴いても飽きませんねえ。不思議、不思議。
(俺ってロリコンだったの?)
一つの音符で“ジュワ”とか“グラン”と発音できるという点も、
シンプルなメロディを美しくしていますよね。
一人デュエットと思ったのは、コーラスの二人のお姉さんでした。
シャンタル嬢には無理そうな、きれいなハーモニー。

>まるで「赤い風船」を美空ひばりが歌ってしまったようなものかな(笑)。

そう、僕もよっぽど「赤い風船」を引き合いに出そうかと思いました。
それと、聞き手が歌手の演奏世界を補完・・・のくだりは、
どう考えても以前のインファントさんの発言のパクリだったようです。
うはは、どうも失礼いたしました!というか、ありがとうございました〜!