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♪かえしておくれ今すぐに    1965.03
   作詩:藤田敏雄 作曲:いずみ・たく 編曲:宮川泰
   演奏:レオン・サンフォニエット
   録音:1965.02.22 文京公会堂
    

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★*

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この歌のレビューを書くのは気が重く筆も重くなりがちで、やっと投稿出来ました。

1963年(昭和38年)3月31日(日)、東京台東区で男の子の誘拐殺人という
悲惨な事件が発生した。その子の名は「吉展ちゃん」といった。
犯人も未逮捕で吉展ちゃんの生死もわからい状況下でこの歌は作られた。
ザ・ピーナッツの他にも、フランク永井、ボニー・ジャックスなどが歌った。
こういう場合はふつうの競作とは趣がことなり、捜査キャンペーン協力であろう。
詳しくは「吉展ちゃん」をキーにネット検索すれば事件の経緯を知る事が出来ます。

詩。曲、歌そのものについての好き嫌い以前に、このような背景がありますから、
とても心地よくきけるというようなものではありません。
数あるザ・ピーナッツの歌の中で、もっとも聴かないでいる歌の筆頭にあげられます。

 ♪ 君も君も 人の子ならば あの子の生命 かえしておくれ・・・ 

これが最後の歌詞ですが...
ラジオから流れるこの歌を聴く度に、身をきられる思いをしたと、犯人小原保は
のちに自供しているという。
私は、身をきられる思いこそしないけれど、とても陰鬱な気分になってしまいます。
辛い事、悲惨な事から目を逸らせてはいけない、などと言われましても、無理です。

こういうテーマだけに歌詞はもとより、メロディーもアレンジも華やかさはなくて、
次第に盛り上げていく演奏も賑やかにというよりも重厚になっていくという感じです。
このような曲でも、やはり宮川編曲というものが色濃く滲み出てはいます。
そして、ザ・ピーナッツの歌唱が素晴らしいのですね。
技巧じゃない、人間性というものが歌声に反映されております。
上手い下手じゃなくて、透明感があり、いやみが全くありません。

こういう歌を歌ってもな〜、という反面、ザ・ピーナッツでなければ歌えないな〜、
という歌ではないか、とも感じます。
もちろん、他にも適切な歌い手さんは居るとは思いますが、アイドルに向かないし、
演歌系も駄目。大人数のコーラスでもありきたりでインパクトが無い。
どの歌い手にとっても実際にはかなり困難な歌ではなかろうか?
とにかく、ザ・ピーナッツの歌の中で「社会派歌謡」というのは、これ一曲です。

単に音楽として聴けば、それなりにいい歌でもあるのですが、そうもいきませんよね。
あ〜あ、やっぱり、楽しい曲のレビューを書きたいです。

                投稿日:2003/02/15



Re: <アマクサのシロさんより>2003/02/16


封印された曲

犯人逮捕後、ピーナッツは二度とこの曲は
歌わないと宣言したのが記憶にあります。
この後引退するまでベスト盤のアルバムにも
入れていません,その後「かえしておくれ今すぐに」が
日の目を見るのは引退記念五枚組LP「不滅のピーナッツ」
まで待つことに。

私も今でも聴くの辛い。


匿名のご支援者から、この歌の資料を頂きました。↓ (2009.3.13追加)

明星(昭和40年5月号の記事です)