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♪風のささやき 1971.10
THE WINDMILLS OF YOUR MIND
作曲:Michel LeGrand 編曲:宮川泰
演奏:宮川泰とルーパス・グランドオーケストラ
録音:1971.06.19 キングレコード音羽スタジオ
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
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映画「華麗なる賭け」のテーマ曲。
あなたの心の中の風車みたいに..直訳するとそういう意味なのですよね。違う?
俗語とか言い回しの特殊なものとかあるとすれば恥を晒すようなものなのですが、
この英題を「風のささやき」としたのは凄くいいセンスだなと感心します。
もしかすると歌詞の中にそういう部分があるのかもしれませんが横文字はからきし
ダメなので、ただただ感心するのみです。
ピーナッツはこの曲を2回録音しています。
とはいっても所謂レコーディングというのは初回だけのことを指すと思うのですが。
まず先にノーマルなLP収録版からご紹介したいと思います。
ノーマルとは書いたものの、これ、ちっともノーマルとはいえない面もあります。
なぜって? 終始スキャットなんです。
いやあ〜このLPには驚きました。すごいものをリリースしたもんです。
ピーク・オブ・ザ・ピーナッツ
実にユニークで不思議な魅力に満ちた曲です。人間はこういう曲も作れるんだなあ。
歌詞なしのピーナッツ...これがまたなんとも華麗でお洒落でどこか哀愁もある。
詩がないことがかえって想像を拡散させ、イメージが拡がって印象深い感じもする。
ルーパス・グランドオーケストラという名前に相応しい大編成の曲も入ってますが、
この曲はそうじゃなくて小技で決めています。宮川泰アンサンブルというイメージ。
まあ、しかし、見事な演奏ですよね。
リズム感覚としては現代とはちょっと異なるかもしれないけど、このノリが悪いと
いう面は皆無だと思うのです。音楽にも歴史があるし、新しいものが古いものを
超越しているとは限りません。工業製品じゃないんだからね。
そしてその際立った演奏に溶け込むようになったり、ズームインしたりしながら
ピーナッツも一緒に演奏しているのです。だから伴奏とは言えない作品になってる。
これは、みんなが楽しんで作ってる感じがしてなりません。
ああしよう、こうしよう、と、宮川先生は随分と楽しい工夫をなさっています。
こういってはマズイかもしれないけれど、先生はザ・ピーナッツ用となるというと
かなり一生懸命に書いているように思うのです。あくまで想像ですけどね。
さて、もう一枚の「風のささやき」ですが....これはどうしても筆が鈍ります。
触れるのも哀しい。また、あのお別れの章をめくらなくてはならないから....
♪くるくる輪を描く 車のように 二人のこころに 思い出浮かび
時計が時間を 刻んで回る...
♪いつでも どこでも 唄っていれば 二人の心は 幸せ胸に
唄ってきたわ 唄ってきたわ 幸せだった...
最初と最後の歌詞だけを紹介しましたが、作詞は、なかにし礼さんです。
同じ、さよなら公演で唄った「帰り来ぬ青春」とは姉妹曲のような扱いでした。
その投稿時にレスを頂いたパンプさんのすてきなセンテンスを再紹介します。
・・・これは、
彼女達が「ザ・ピーナッツ」として歩んだ歴史の歌であり、
「ザ・ピーナッツ」と決別し「姉」「妹」と
それぞれが個人個人としてこれからの人生を
「自分」として生きていくんだといった
自分達への最後の応援歌でもあったと思います。
(ステージでは晩年「風のささやき」に歌詞をつけて同じような内容を歌っていた
のを記憶しております。)という注釈も付けて頂きました。
「帰り来ぬ青春」ではこみ上げる憶いで歌えなくなってしまったピーナッツですが
こちらはなんとか気丈に歌い切ってみせました。
それでもレコード商品としての発売は躊躇ったらしく1980年に至るまで、我々の
手には届きませんでした。それはステージとしての出来には満足出来なかったという
ことなのでしょう。だから私達も歴史の思い出として傾聴する一枚かも知れません。
最後の歌詞「幸せだった」の一言が、どんなに私達の気持ちを和ませてくれたこと
でしょう。そう言ってくれると私達も良かったね、ピーナッツ、という気持ちで
夢のような素敵な17年間を回想出来るのでした。
投稿日:2003/03/05
<パンプさんよりレス> 2003/03/05
ありがとうございます、インファントさん。
さよなら公演のほうは、その・・・一度しか聴いておりません・・・・・