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♪ガラスの城    1968.10
   作詞:なかにし礼 作曲:鈴木邦彦 編曲:森岡賢一郎
   演奏:オールスターズ・レオン
   録音:1968.08.09 文京公会堂
    

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★

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「よっt! 待ってましたあ〜〜」とお好きな方から声がかかりそうな曲です。
私も大好き。これがなくちゃピーナッツの歌の歴史も少し淋しいものになりそう。
もうなんだかんだの理屈抜きで、かっこいい。
これは紅白でも歌いました。もっともっと流行っても良かったと思う。
この頃のザ・ピーナッツのシングル・レコードは、AB面ともに最高レベルです。
B面の「たった一度の夢」には特に惚れ込んでおります。

まず、なかにし礼さんの詩がいいよね〜。この幻想感覚がすばらしい。
私は「恋のオフェリア」の姉妹編みたいな感じがします。あの世界の延長だ。
「恋のフーガ」「愛のフィナーレ」「悲しきタンゴ」「愛しい人にさよならを」
「哀愁のヴァレンティーノ」「夕陽に消えた恋」そして、あの世界名作シリーズ!
これらは、なかにし礼さんの全ての引き出し全開ではないところが凄いです。
多彩な才能の中の、ちょうど弘田三枝子さんの「人形の家」あたりと共通する範疇。
まあ、他の作詞家もピーナッツに提供したい世界というのはあったのでしょうね。

作曲の鈴木邦彦先生はザ・ピーナッツの作曲では初出です。
ご存知のように更に後期になると頻繁に曲を提供されるようになります。
明らかに宮川メロディーとは異なります。新しい感覚です。爽快さも抜群。
「天使の誘惑」「恋の奴隷」「長い髪の少女」「酒場にて」などでお馴染みです。

編曲は、ザ・ピーナッツでは稀なのですが、余りにも有名な森岡賢一郎先生。
同じナベプロ所属だったのですが基本的には他の歌手がご担当だったようです。
ところが何故か、この曲は例外的にアレンジをされています。
殆ど出番はなかったのですが、この曲はこれも良かったと思われます。
この先生は(私の感覚ですが)顧客のニーズに合わせるテクニックを持っています。
今、こんなのが受けそうだ、とか、加山雄三ならば、こんな風にやれば生きるとか
そのあたりの流行に敏感なセンスが凄いな〜と思います。
そのためか、森岡賢一郎のサウンドって何? ということになるとバラエティが
ありすぎて捕らえ所がありません。
これも編曲をされた「大阪の人」と「ガラスの城」何が似てます??

この曲の演奏も当時流行のブラスロック風を洗練させたように仕上げてます。
みんなの喜びそうなことをちゃんとわかってるというのも大変な才能でしょう。
営業マンみたいなセンスです。お客の注文に合わせられる職人芸みたいな感じ。
ピーナッツじゃなかったら、品質は低下しても、もっと流行ったかもしれない?
恐らく今の若い人が聴いても、これ、けっこういけるんじゃなかろうか?

この歌はテレビ、舞台でも良く歌ってました。
力を入れてるな、流行らせようとしているのだな、とは感じました。
しかし、こういう曲ですから、インパクトが欲しいなあ、と思ってました。
演出、ということです。

バンドの存在をもっと表に出すべき曲だと感じてました。
ビックバンドの演奏の時に、トランペット、トロンボーン、サックス群が舞台前に
出て来て演奏するシーンがよくあるじゃないですか! あれです。あれ。
ザ・ピーナッツが中央で歌っている、その左に、トランペット隊が4人横に並ぶ。
右には、トロンボーン隊がこれも横に並ぶのです。舞台狭しとね。
サックス群はピーナッツの後方に5人控える。
前奏のリズムを何小節か余分に増やして、ドラムプレイなんかをやっている最中に
この布陣を敷くのですよ。それから、あの前奏です。これは凄いよ〜〜〜〜〜〜。

どうせナベプロのお抱えフルバンドなんだから、この曲くらいは暗譜させるのです。
これをやったら、絶対にこの曲は大流行したとインファントは断言するぞ。
もちろん実際にはそういう場面はありませんでした。
でも、私はいつもこの曲を聴く時は、そういうイメージで彷佛と舞台を描いてます。
そうやって聴くと、とっても素敵なんです。それに耐えられる音場空間にもなってる。
是非、みなさんもお試しください。

投稿日:2003/04/30

人生には色々と想定外のことが起きるもので、自分がこのようなザ・ピーナッツの
百科事典もどきのサイトを作るなんてことは全くの想定外。
だから何も予め記録の蓄積などしたわけじゃないので、断片的でいい加減な記憶で
色々と語っているに過ぎません。

その中でも森岡賢一郎さんが、スマイリー小原とスカイ・ライナーズのピアニストで
あったことは何かの雑誌で見た記憶があったのですが、それが何処に載っていたのか、
すっかり失念してしまったので確証がなく、そういう記述をやめていました。
それが、この、ミュージックライフの記事で確認出来ました。
http://homepage.mac.com/infant/home/ML3803.html

これで納得。
この「ガラスの城」でのブラス・セクションのアレンジの見事さはスカイライナーズ
という現場の仕事で得たノウハウが大きく効いているのではないでしょうか。
演奏する人も楽しくなる編曲。
この年のNHK紅白では「ガラスの城」の演奏がバンドとしては一番ノッたようです。
小野満とスイング・ビーバーズの演奏は間奏部分の譜面がレコードのそれと違います。
更に凝ったことをやってる。現場での進化かしら。
初っぱなで張り切りすぎたのか、ちょっと金管楽器が音を外すのも御愛嬌です。
このようなフルバンド・サウンドをバックに歌う曲が近頃とんと聞けなくなりました。

追記日:2009/02/08


<みえちさんよりレス> - 2003/05/01


よっ!待ってましたぁ〜〜〜〜って
感じですね(^―^) ニコリ♪
この曲のイントロからして
ダーイ \(#⌒0⌒#)/スキッ★

見てみたかったな〜この曲を紅白歌合戦で歌うザ・ピーナッツ☆


<ウシオ さんよりレス>- 2003/05/03


> もうなんだかんだの理屈抜きで、かっこいい

そう、それそれ、それに尽きます!
アレンジもメロディーも、そしてピーナッツのハモリも。
そしてなかにし礼さんの「情熱×耽美(と某誌では説明しておりました)」詞の世界。

それまで、それこそ『ザ・ピーナッツ全曲集』みたいな曲ばかりしか知らなかった僕が、
思い立って買った『ドリームBOX』でこの曲を知って、初めて聴いた時のショック!

「ピーナッツってかっこいいじゃん!」

3枚目の1曲目に収録されていたとい好立地条件(笑)もあり、リピートリピート
リピート(以下エンドレス)で聴きまくった曲です。
この曲や「男と女の世界」「しあわせの誓い」「白い小舟」の影響、
そしてその頃のビジュアル面もあって

「cool&sexy THE PEANUTS」

というイメージが僕の中には割りと強いんです。
(もちろんそれだけじゃない面もたくさんありますが)

というわけで、この曲は殿堂入りの1曲です。