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♪キエン・セラ   1959.11
QUIEN SERA
  作曲:Pablo Beltran Ruiz 作詞:音羽たかし 編曲:宮川泰
  演奏:シックスジョーズ および 山田たかしとトロピカル・メロディアンズ
  録音:1959.09.05
  

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★ ★★★★* ★★★★ ★★★モノ

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♪私を愛するのは 誰でしょう キエン・セラ という日本語の歌い出しですが、
その歌詞の通り「キエン・セラ」とは「誰でしょう」の意味のようです。
歌そのものが既に流行っていて、ピーナッツもLP用にカバーしたというところ。
日本人とラテン音楽は相性が良いらしく、これら名曲は長い間親しまれました。
ザ・ピーナッツもデビュー以来、南京豆売り、キサス・キサス、情熱の花、そして、
民謡まで、チャッキリ・チャ・チャ・チャだし、このLPでは、ある恋の物語も
歌っていて、さながらラテン歌手のような感じさえあります。

私もラテン音楽は大好きです。なんといっても曲が単純で人懐っこいのが魅力。
そして、やっぱり打楽器が心地よいし、ギターなんかも切れ味が爽快だと思います。
聴いてて楽しいだけじゃなくて自分でも何かひっぱたいて一緒にやってみたいような
じっとしてられなくてムズムズする感じがあります。
賑やかなリズムに乗って流れるメロディーが、これがどことなく哀愁漂うのが多くて
それが対比の妙味となって、おお、ラテンは最高だあ、となります。(笑)

この歌でも、
♪やさしい王子様の 強い手に抱かれる 
  うれしいその時を 夜毎 夜毎 夢に見る
というところのピーナッツの歌声が、これまた可愛くて泣かせるんです。
外国の歌を歌っている筈なのに、これはもう完全に歌謡曲の世界です。
それも普通、やさしい王子様の..なんて歌詞、恥ずかしくて使えないのだろうけれど
舶来のメロディーなんだからと妙に違和感もなく、聴いてしまうところが不思議。
まあ、18歳のザ・ピーナッツだからこそ似合うのではありますが。

この歌は小品というにふさわしく、たったの2分12秒であっさり終わってしまう。
今時の流行歌の半分くらいしかありません。しかし、珠玉の2分12秒ですよ。
たいした音符の数でもなく、歌詞も短いものですが、名曲とはこういうものでしょう。
原曲らしい歌詞もなんとなく口ずさんでしまえるのはトリオ・ロス・パンチョスの
レコードの影響かも知れません。

ところで、伴奏の山田たかしさんという方はラテンとかスパニッシュのギタリストと
思われるのですが、有名な方だったのでしょうか?
ピーナッツのレコードでは度々お名前が書かれています。編曲もされるようです。
この曲のアレンジは宮川先生と表記されていますけど、ギターの使い方が上手いので、
もしかすると合作アレンジではないのかと思ってしまいます。

この歌が収録されていた「可愛いピーナッツ」のLPでは、伊藤エミー、ユミーって
変な名前になっています。デビューシングルでは、伊東エミー、ユミー。(笑)
最初のレコードが間違ってるのは仕方がなかったにせよ、半年も経っているのにまだ
エミー、ユミーはないだろうと思います。案外こういうところはいいかげんですね。

レコードジャケットに、HighFidelity(高忠実度録音という意味)って
書かれているように古いモノラル録音なのですが、昔の真空管ラジオから流れて来た
ザ・ピーナッツの歌声を思い出させるような音なので、妙に懐かしい感じがします。
歌声は本当に若々しく一生懸命に歌っているのが好ましく、上手下手とか抜きにして
微笑ましくて聴く人を和やかな感情で満たしてくれる一曲です。

投稿日:2003/06/10