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♪気になる噂 1974.1
作詞:山上路夫 作曲:加瀬邦彦 編曲:星 勝
演奏:オールスターズ・レオン
録音:1973.12.02 モウリスタジオ
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★★ | ★★★* | ★★★★ | ★★★★ |
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ザ・ピーナッツの歌の歴史に特異な別の彩りを添えた加瀬邦彦・星勝コンビ。
加瀬邦彦さんは数々の大ヒットを世に生み出した方なので解説不要でしょう。
面白いのは加瀬さんは編曲はしない方のようで、メロデーメーカー専業みたい。
一方、星勝さんは安全地帯のプロデジュースや井上陽水等の数多くのヒット曲を
生み出してこれも有名な方です。ちなみに星勝は「ほしかつ」と読みます。
しかし、この二人のコンビはザ・ピーナッツ楽曲以外には無いかも知れません。
前年のこのコンビの「情熱の砂漠」がなかなかの佳作で、聴き応えがありました。
この「気になる噂」「ひとり暮し」のシングル・カップリングではダイナミックさ
よりもお洒落な妙味を聴かせようとした感じがあります。
加瀬さんも星さんも著名なギタリストであることの証なのでしょうか、ギターの
音色の多様さを駆使して実に軽快なサウンドとなっていて、私にとっては今でも
新しい音楽の世界だと感じられますが、それは自分の感覚とは馴染まないという
側面も持っており、そこが複雑なところです。
この1974年頃の世間での主なヒット曲を並べてみましょう。
山口百恵/ひと夏の経験 西城秀樹/傷だらけのローラ
郷ひろみ/よろしく哀愁 アグネス・チャン/ポケットいっぱいの秘密
チェリッシュ/恋の風車 ペドロ&カプリシャス/ジョニイへの伝言
森進一/襟裳岬 夢の中へ/井上陽水
小坂明子/あなた ダ・カーポ/結婚するって本当ですか
中条きよし/うそ 海援隊/母に捧げるバラード
桜田淳子/黄色いリボン あべ静江/みずいろの手紙
梓みちよ/二人でお酒を 殿様キングス/なみだの操
野口五郎/甘い生活 リリィ/私は泣いています
沢田研二/追憶 グレープ/精霊流し
渡哲也/くちなしの花 さくらと一郎/昭和枯れすすき
五木ひろし/夜空 フィンガー5/恋のダイヤル6700
他、かぐや姫、南沙織、山本リンダ、麻丘めぐみ、チューリップ、などなど..
年間でこれだけ歌も多彩で、また、話題を集める新人も多く出た年でしたから、
ザ・ピーナッツの出すシングル盤は見向きもされない状況だったと思います。
勿論、世間の誰もが、ピーナッツの歌が下手だとか、聴きたくもないと思っては
いないし、素晴らしい歌い手であることは既に定評があった筈でした。
しかし、世間は目新しいもの、刺激的に変化するものを求めて話題にするのです。
芸の達者さや音楽性の豊かさという安定要素は商売や流行にはならないのです。
ザ・ピーナッツはこの年の紅白では「ブギウギ・ビューグル・ボーイ」を歌って
ヒット曲はなくたって見事なまでにベテランの達者なところをみせたのですが、
引退によって、これが最後の紅白になりました。
晩年のレコードはさほど売れなかったのではないかと思われますが、そんな中でも
必ず定期的にシングルもLPアルバムもリリースされ、最後まで誠意を持って
ザ・ピーナッツのサポートを真面目に続けたキングレコードには拍手喝采したい。
投稿日:2003/08/05
<ウシオさんからレス> 2003/08/08
僕のこの曲の「ツボ」。
♪あああ、どうして意地をはるの
の「どうして」からはじまるハモり。
ハーモニーって感じじゃないんです。あくまで「ハモり」。
ユニゾンで歌う部分のビブラート・発声のタイミングの見事なまでの一致と、
その合間にチラっと見え隠れするハモりの絶妙なまでの配合具合。完璧です。
そして最後にくる
♪あああ、今すぐ(3連)あああ、戻って(3連)あああ、今すぐ(3連連打)
の3連が強烈なアクセント。
そのままエンディングまで一気に連れて行かれて3分間のドラマが終了。
初めて聴いた時から大好きな曲でした。