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♪くれないホテル
  作詞:橋本淳 作曲:筒美京平 編曲:宮川泰
  

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★ ★★★★ ★★★★

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元歌は西田佐知子さんが歌った渋味のある通好みの歌といわれています。

上の写真はLPジャケットの写真ですが、西田佐知子というロゴが金ピカなので
スキャンしたら反射して見えなくなっています。
それに、30センチLPのジャケットはスキャニングはしにくいのです。
A4サイズ以上のスキャナーなんて買えないから、4枚合成となり色が合わない。
だからこの写真は手抜きで2枚合成なので全体を収めませんでした。

インファントさんは西田佐知子さんも好きだったのですかって、いえいえ違います。
そんなに気は多くない。第一お金が続かない。(笑)
これには深いわけがありまして。
何度も書きますが、私がザ・ピーナッツ・ファンになったのは昭和36年7月30日。
これは、映画「モスラ」の封切日です。
それからレコードも買い始めたのですが、EP盤は過去のものも全部取り寄せOK。
ザ・ピーナッツって当時は「可愛い花」まで、売れ続けていたのですよ。
ただし、「可愛いピーナッツ」というLPは「廃盤」だというではありませんか!!
(注:ごく最近、神様のような方からプレゼントされました=超うれしい)

それ以来「廃盤」という言葉・文字が恐ろしく残酷なものに感じられました。
「いつまでもあると思うな親とレコード」です。(ちょっと違ったかな?)
西田さんが引退されたころにでも出たアルバムだったと思いますが、主だった曲は
みんな入っていたので、これは押さえておこうと思ったのでした。
きっとそのうち西田佐知子なんて歌手はみんな忘れてしまうかも知れない(おいおい)
などと感じてレコードなど無くなってしまうのではないかと恐れたのでした。

そんなことは結果として全く杞憂でしたが、たしかにアナログでの再発売は徐々に
下火になったと思います。
そこへ、CD時代の到来です。これはまさに喝采でした。
過去のものがあらゆるジャンルで再び日の目を見ることが出来たのです。
のっけから脱線しましたが、そういうわけでオリジナルとピーナッツの聴き比べが
出来るということにもなりました。

アレンジも歌もオリジナルの雰囲気をそのまま活かしたという感じです。
まったく同じ譜面かというとそれは違います。
宮川先生が元のレコードを聴いて、あたかも、それを写生したかのようです。
だから耳の印象で再現させている感じがあります。デッド・コピーとも違いますね。
でも、なんでこんな歌をカバーしたのだろうかと不思議に思って聴いていたのですが、
聴いているうちに段々理解出来るような気がしてきました。
歌いたかったんだ。

プロの歌手だってカラオケみたいに他の歌手の歌を歌いたくなるのではなかろうか?
自分に似合うかどうかよりも単に歌いたかったような気がします。
どっちかというとお気楽なカーステレオ用のテープ商品ですから道楽したのでしょう。
だって、ここに、これが宮川アレンジだという強烈な個性は表出されていないし、
ピーナッツが歌うとこういう風に変わるんですよ、という付加価値的な要素もない。
だけど感じられるのは、この歌への強い親近感です。この歌が好きなんです、きっと。

超売れっ子作曲家の筒美京平さんの作品であることや筒美ファンの間では最高峰の
出来であるという評判があり、その道の通には有難い曲のようです。

上の2枚のLPは筒美京平サウンドをお勉強(笑)するためのものです。
マルチ・トラックに次々に楽器が重ねられて一曲の作品が完成するその各トラックと
合成ステップが入っていたり、手品の種明かしを見ているようです。
左の一枚は、歌がなくてもこんなにかっこいいんだよ、てなものなのです。

昭和38年日本グラモフォン入社、ポリドール、MGM担当ディレクターとして活躍。
とライナーで紹介されていますが、商品企画の面でも努力と才能があったようです。
売れるものを作る天才なのは、元々のお仕事も活かされているからなのでしょうか。
ピーナッツも宮川先生も西田佐知子の歌と京平サウンドに敬意をもって挑んでいるか
のように、オリジナルの良さをそのまま謙虚に出そうとしています。
しかし、そうでありながらも、強い個性は隠しようがなく、これはやはり宮川節と
ピーナッツ節が加味されてしまうのが面白く、また、そこがいいのでしょう。