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♪木遣りくずし 1970年6月録音
(東京都民謡) 編曲:宮川泰
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★ | ★★★* | ★★★★★ | ★★★★ |
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この歌を初めて知ったのは邦楽の端唄としての純正版じゃなくって江利チエミさんの
レコードでした。母が買ったのが家にあったのです。
「さのさ」もあったはずだったので、ひょっとするとAB面だったのかな??
それはともかく、この歌が大好きでした。「さのさ」より数倍好きでした。
子供の頃の刷り込みが濃くて、こんなに上手い歌い方はないなあ、と思い込みました。
アレンジ(という意識はまだない筈でしたが)がまた最高でゴキゲンな出来でした。
今、聞くとラテン風だったのね、と気付きますが、そういうこともわかならくたって
とにかくこれは最高だと前奏から全部口ずさんで小学校へ通ったものです。(変なの)
粋な男に惚れるという歌詞もかっこよくて、そういう男になりたいもんだなどと...
ただ、意外なのは、当時は非常に軽快でスピード感もある歌だと思い込んでましたが
そうでもなくて、落ち着いて、噛んで含めるようなゆったりした歌い方なんですね。
周囲が早い歌ばかりになってしまったのでそう感じるのかもしれません。
思い込みが激しいので、完璧に江利チエミさんが最高の歌手だと信じておりました。
それにサザエさんの演技も演技を見るという意識以前にとっても面白くて、これも
江利チエミさんなのだと思うと、なんて凄い人なんだろうと尊敬しておりました。
男性歌手では三橋美智也さんが抜群だと、これも思い込みましたので、男女ともに
キング・レコード勢が私の中では寡占状態で、レコードはキングが相場でした。
たまたまなのか因縁なのか、ザ・ピーナッツも一貫してキングでございましたねえ。
娘はスター・チャイルド・レーベル愛好なので、これもキングなんです。(怖)
この「木遣りくずし」の入っていたアポロンのカーステレオテープ時代には私は
これを聞いたことがありません。
5年前にCDになってキングから発売されて初めて耳にしたわけです。
何が出てくるかわからないのだから、長生きしなきゃいけないなと思います。
ザ・ピーナッツが歌った民謡/俗曲/端唄って、のべ34曲はあるんですね。
それに近いのも入れればもっと多くなるかも知れませんが、日本調歌手顔負けです。
もちろん、オリジナルとはかけ離れた編曲であることは間違いないのですが。
さてさて、あの江利チエミさんもまだ現役で頑張っている時代に、あの偉大な歌を
超えるような真似が出来るとでもピーナッツとスタッフは思ったのでしょうか?
私も聴いてみるまでは、この選曲はちょっと間違ってないのかなと感じました。
だが、しかし...
これは素晴らしい出来です。身贔屓抜きでも、冷静に聴いてもそう感じます。
ものの見事に懸念を吹き飛ばすような楽しくてとってもお洒落な「木遣りくずし」。
こういうやり方があったんだ! 思わず拍手喝采したくなる。ブラボーものです。
文章でこの音楽の多彩さ、面白さを書くことは不可能です。聴いて頂くしかない。
江利チエミさんのオリジナルもビックバンドを従えた贅沢な録音でありましたが、
ザ・ピーナッツのも結構な編成のフル・オーケストラで大変に豪奢な録音なのです。
歌もここぞというとこだけハモって聴かせたり、心憎いやり口で感心させます。
今更ながらですが、ザ・ピーナッツの才能と宮川アレンジの魔法に舌を巻きます。
こんなCDが、1980円で買えたのも夢みたいです。
一ケタ多くても飛びついて買ってしまうこと間違いなしです。
(格言)
ザ・ピーナッツのCDに「外れ」はなし。(爆)