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♪恋の衝撃　　　　　　1972（推定）
　　作詞：山上路夫　作曲：いずみたく　編曲：宮川泰

一般知名度	私的愛好度	音楽的評価	音響的美感
★	★★★★★	★★★★★	★★★★★

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昭和４７年に朱里エイコの歌で評判になった佳作のカバーです。
朱里エイコさんは何といっても「北国行きで」がビックヒットでこのシングルは
買ったのですが、ステージでのビックバンドでの演奏と異なりおとなしい感じで
歌も舞台中継やスタジオ収録の方がパンチが効いていたようにも思いました。
この「恋の衝撃」はレコードも持っていないし、ピーナッツのカバーと比べてみる
ということが出来ません。しかし、記憶ではありますが、このアレンジと歌唱は
ほとんどオリジナルを踏襲していると思います。余計なことはしていないようです。
朱里エイコのレコードの良さを恐らくそのまま再現した感じだと思いました。

そもそもがあまり当時の歌手や歌全般が懐かしくて全てが好きであるということは
なくて、まあ、ほとんどザ・ピーナッツ以外興味がなかったようなものなのでして
昭和歌謡について語るなんてことは絶対に出来ない不勉強者です。
もっとも平成歌謡はもっと知らなくて、近頃は何が流行っているのか、どんな歌が
あるのかさえもさっぱりわからない状態です。
昔も他の歌手のレコードを買う事がないわけじゃなかったのですが、繰り返し聴く、
のはピーナッツのレコードでしか発生せず、死蔵しちゃうので勿体ないのです。

これは、ザ・ピーナッツのレコード（ＣＤ）では聴く度に新しい発見があるような
気がするのですが、他のはそういうところがないのです。
他の出来が悪いのではなくて、それはこちらに原因があるのであって、一生懸命に
傾聴するか否かであるに決まっているのです。
それならピーナッツの歌唱を物凄く探究するのか、というとそれがそうでもなくて、
あまり歌声そのものを必死に追いかけてはいないのです。

そもそもファン・クラブには入っていましたが、おっかけ、なんてことはしないし、
ザ・ピーナッツというチームは大好きなのですが、伊藤日出代さんと伊藤月子さんの
性格の違いなんてことには無頓着でありますし（もっとも知りようもないのですが）
休みの日は何してるなんてこともどうでもいいことで、引退されてからのことなど、
なおさら知りたいとも思いません。元気で幸せならいいし、幸せというのは他人が
外から見てわかるようなものじゃないので、この探索も無意味だと思います。

それでも一度だけ、後援会員として楽屋へ訪問したことがありましたが、イメージを
裏切るようなお二人ではないということを、この眼と第六感で感じ取っただけであり、
菩薩でも神様でもなくて、ふつうの女性なのであって大スター風ではなかったのです。
だから、今風にいうとバーチャル・アイドルという感じで創出された作品なのです。
多くの多彩で非凡なスタッフの知恵と努力の結果が眼に見えるザ・ピーナッツであり、
その周囲の環境すべてが興味深く、それらすべてが素晴らしいと感じました。

不思議なことに、ピーナッツの舞台を何度も観に行きましたが、ピーナッツを間近に
感じるという面などは皆無であって、舞台は巨大なブラウン管なのでした。
ピーナッツを見に行くような意識ではありましたが、舞台の幕が開くとピーナッツの
「ショーを観てしまう」ことになるのでした。
それはあまりにも仕掛けが凄いからです。豪華絢爛、デラックスなのです。
劇場自体も夢のようですが、音響、照明、舞台の進行、演出、すべてが完璧なのです。
演奏がとにかく素晴らしい。今風な音ばかりがデカくて、せこい編成ではないのです。
う〜む、これは...と絶句する凄さなので、ピーナッツにだけ集中出来ないのでした。

そういう見聞きの仕方をしてしまうので、周りのスタッフの仕事の見事さばかりが
印象に深く刻まれてしまい、テレビでシャボン玉ホリデーを観ていてもアレンジとか
今日の作者は河野洋か、やっぱり出来るな、とか、そっちに気をとられてしまいます。
立役者よりも傍役、裏方の仕事に興味が湧くといったところでしょうか、それだから、
ピーナッツのレコードを聴いても、その録音スタッフの技とかを意識してしまいます。

そういう聴き方に耐えるのがこの「恋の衝撃」でもあります。
この編成を耳で聴きとることを試みて欲しいと思います。これ相当に分厚いですよ。
技術的にも申し分ないし、左右にちりばめた多彩なリズム陣にのったオーケストラが
実に歯切れの良い見事な演奏を聴かせてくれます。お金も手間もかかってますよ。
この最高のバックに支えられて、ザ・ピーナッツの歌唱が活きていると思うのです。
そこまで豪奢にやるだけの価値が彼女らの歌にあるからこそなのだと感じます。
ザ・ピーナッツは実にフレキシブルです。大したリズム感覚をここでは示し出します。
カバーとしてのレベルは、これ最高だぜ、と断言しちゃいます。