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♪恋のバルカローレ    1960.12
 Barcarolle(舟歌)
  原曲:オッフェンバックの「バルカローレ(ホフマンの舟歌)」
  編曲:宮川泰 演奏:シックス・ジョーズ
  録音:1960.04.13

   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★* ★★★★ ★★★モノ

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「バルカローレ」はイタリアのゴンドラこぎの人たちが舟を動かす時に歌った唄です。
運動会などのBGMでお馴染みの喜歌劇「天国と地獄」の作曲家オッフェンバックが
作った歌劇「ホフマン物語」の中で歌われる二重唱。
聴けば、ああ、この歌か、と、すぐ思い出すような、どこか懐かしげな曲です。
「うるわしき今宵、恋の夜」という副題もついたこのゆったりと、涼しげな雰囲気を
ピーナッツも軽やかに、朗々と歌っております。

さて、この歌はどこで聞けるのでしょう。
それは「ピーナッツのザ・ヒット・パレード」というLPに入っているのです。
  <第1面>
   月影のキューバ
   悲しき16才
   乙女の祈り
   マイ・ホーム・タウン
  <第2面>
   パパはママにイカレてる
   恋のバルカローレ
   月影のナポリ
   白鳥の恋
   夢で逢いましょう
この曲目でわかると思いますが、このLPでしか聴けない曲となっているのです。
これが色んな面でネックになっているように思います。

例えば、CD化です。 (注:2004.11.26 CDが発売されました)
シングル盤は(クリスマス曲の一部を除き)殆どがシングルスというCDで出ました。
これと、スタンダードだよ、ピーナッツのCD化で、このLPをCD化する企画が
薄らいでしまうと思うのです。「夢で逢いましょう」は上記LPにも入っています。
「月影のキューバ」と「恋のバルカローレ」だけが、このLP独自の曲なのです。
これでは、このアルバムは、なかなかCD化しずらいと思います。

「月影のキューバ」は森山加代子らでヒットしていましたから、皆が知っていますが、
この「恋のバルカローレ」はあまり馴染みがない歌でした。
 ↓ 後援会報の記事でも歌詞まで書いて紹介しているくらいでした。

私はこのレコードを持っておりません。
音楽はアンカーさんに聴かせて頂いたものです。
これには深い(笑)わけがあります。
といっても早い話が、家が金持ちじゃなかったからです。
「可愛いピーナッツ」も買えなかったのですがこれは廃盤だったので諦めはつきます。
「ザ・ヒット・パレード第3集」とこのLPは売っていたのに買えなかったのです。
中学生の私が親にねだって買ってもらうのだから、これがどうしても欲しいのだと、
説得する根拠が必要だったのです。

(追記/その後、ネットオークションで入手出来ました)

シングル盤は全部買っているのを母は知っていますから、あと2曲のために千円は
非常に効率の悪い贅沢な買物と言われても仕方なかったのです。
親父の給料が4万円そこそこの時代でした。千円は今の一万円以上の感じでしょう。
それに日本中がだいたい食べるのが精一杯という時代でレコード自体が贅沢品です。
それでも欲しくてしょうがなかったのですが、我慢するしかありませんでした。
「月影のキューバ」をA面、「恋のバルカローレ」をB面のシングル出してくれれば
いいのになあ、と恨めしく思っていました。
だから、アンカーさんから聴かせて頂くまで、聴いたことがなかったのです。
「月影のキューバ」は1975年に「不滅のザ・ピーナッツ」に収録されましたし、
ドリーム・ボックスやピーナッツ全集のBOXもののCDに入っておりました。

このLPはモノラル盤しか発売されませんでした。
これは「悲しき16才」と「乙女の祈り」がモノラル録音だから仕方ないでしょう。
ステレオ盤は3割増しの値段がついていた時代なので、インチキだとお客が怒って
しまうからだろうと思います。例え一部にモノがあるなんて書いても一緒でしょう。
でも、録音自体は、99.99%以上の確率でステレオ録音だと思うのです。
一度ステレオ録音を始めたら、モノラルに引き返すなんてことは考えられません。
だから、これは是非、CD化して頂いて、本来の立体音で聴きたいなあと思います。
そんなこと書いてキングレコードに送っても無視されるに決まってますが。(泣)

 追記/気になるのでダメ元でメールを入れたら、ちゃんと対応してくれました。
 調べた結果でも、モノラルしかないようです。音質がかなり新しい時代の雰囲気
 なのでもしやと思ったのですが残念でしたが新CDにある録音日を見ると、これが
 一番最後のモノラル曲であったようです。
  1960年4月13日 恋のバルカローレ   (モノラル録音終了)
  1960年6月30日 月影のナポリ/白鳥の恋(ステレオ録音開始)
 おまけに、4月の録音を8ヶ月後の12月発売のLPに入れるんだもんね。
 まだステレオ録音が始まっていなかったということだったのね。(2009.1.30記)

ジャンケン娘さんが書いていたように「三十枚組み」のBOXでも出るのならば
入ってくると思うのですけど...

さて、長い前置きでしたが、この歌の印象を述べますと、あったかいな〜という感じ。
アンカーさんのオーディオがそういう音だという面も多分にあるのです。
中音部がなめらかで、優しい響きで、二人の声が良く溶け合って聴こえるのです。
私のでは、ピーナッツの声がシャープで分析的に響きます。聴き辛いかも知れません。
自分の耳がそういう音を欲しているので、好みの違いがそのまま音になってます。
とにかくアンカー・サウンドに包まれて、ピーナッツが心地よくハモっているのです。

この歌をどうしても聴かなくては、という程の重要な曲ではないのかも知れませんが、
一度この声を聴いてしまうと、ああ、この歌でしか聴けない歌声というものがあって、
外してもいいや、というわけにはいかないものなのです。
伸びやかで、何の屈託も無いような、ほのぼのとした歌です。
良い時代だったから、こういう歌もレコードになったのだろうなあ、とも感じます。
アンカーさんには本当にいつもお世話になっています。ありがとうございます。

(2003.12.20記)

追記:2004.11.26 遂にCDが発売されました!!!

追記:2009.01.21 遂にLPそっくりCD化されました!!!