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♪Heut'
Abend(今夜) 1965.04録音
作詞:Kurt Hertha 作曲/編曲:Heinz Kiessling
演奏:Heinz Kiessling Orchester
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★* |
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ザ・ピーナッツがまだ現役で歌っていた頃には、私はこの歌の存在すら知りません
でした。それは私だけじゃなくて世間一般もそうだろうと思います。
色々買うようなお金はなくともレコード店にはまあまあマメに通ってましたので、
新譜が出れば気付いた筈でした。(今みたいなネット情報がなくてもね)
それで、セブン・シーズ・レーベルのピーナッツ盤も買えたわけですが、それでも
二人の恋人は?/ヘイ・キャプテン/スーヴェニール東京/ハッピー・ヨコハマの
4曲しか手に入りませんでした。
最近になって出たドイツ盤のCDの記事を見ると、これらは1964年10月に
一括して録音されていて、以後、毎年のように新曲が出ていたのですが、日本でも
発売されたのは上記の二枚だけだったようです。
したがって、この曲の存在を知ったのは、1991年3月に発売されたCD-BOX
「ザ・ピーナッツ・ドリーム・ボックス」に未発表曲として収録されたのを聴いたのが
初めてだったのです。
ピーナッツのファンとしては情けない話ですが業界人じゃないので仕方がないです。
コレクターとしての意識が薄いということも致命的かも知れません。
それと、この機会にサイトのコンテンツの資料について説明をしておきますと...
掲示のレコード盤はザ・ピーナッツ現役時代にレコード店から新品を買ったものです。
所謂蒐集家ではありませんので、オークションなどで入手したものは持っていません。
したがって、完璧なコレクションを完成させようなどという意識がありませんので、
現在、手元に無いものは今後も掲示出来そうにありません。
同様に、観劇パンフレットや雑誌の表紙なども、捨てないで持っていただけに過ぎず、
これも、これから増えることは考えられません。
そういうことなので、ピーナッツ画像情報はこれから飛躍的に拡大するということは
有り得ないので期待はしないで下さい。(笑)
もっともピーナッツの画像がお宝だと思っているのは自分とあと**人位かな。(笑)
さて本題に少し戻りまして...
13年前に初めて聴いたこの歌の印象は、変な歌だな、というものでした。
何を歌ってるのかさっぱりわからないし、♪7時、8時というのはなんだこれ?
これからも意味不明のままで聴き続けるのだろうなと思っておりました。
ところがザ・ピーナッツが現役を引退されても情報は動いているものなのですね。
まさか、ザ・ピーナッツの個人サイトがインターネット上にあるなんて知らなかった。
何処にも行きたくない症候群の私が半年もの間、大阪へ派遣されていたので自分への
辛抱のご褒美としてパソコンを買ってインターネットに繋いだのが2000年3月。
それは、その3年程前に、キングレコードのザ・ピーナッツのサイトがオープンした
ということが雑誌に載っていたからなのです。覗いてみたかったのです。
検索エンジンとやらで真っ先に入力したのが「ザ・ピーナッツ」でした。(笑)
そしたら、キングのサイトは無くて、アンカーさんのサイトに辿り着いたのです。
さてそれからは色々な情報が洪水のように入って来ました。
怖くて掲示板には出て行けないので、アンカーさんにメールだけ送っていましたが、
慣れれば掲示板も恐ろしくはなくなりました。(逆に恐れられてたりして:笑)
そんな中で海外盤というものが多数あるということを初めて知りました。
後は皆様もご存知のように、ご好意で非公式ですが和訳された歌詞もわかったり、
本当にパソコンに投資した自分を誉めてやりたい程、以後素敵な出来事ばかりです。
夢みたいなことが現実になるなんて、これも「縁」だと思います。
そして、いよいよ、本場のCD盤までが入手出来るという白日夢のようなことが...
しかし、ここで意外な事実に遭遇することになったのです。
この海外から時を超え、海を渡って来たCDは音が違うのです。
アンカーさんから聴かせて頂いたLP盤の方が音色が暖かくて柔らかいのです。
これは好みの範疇にも入る違いなので一概に良否は決められませんが違います。
自分でキングレコードの国内盤レコードをCDに焼いたものとキングから出ている
CDではこんなには違いは出ません。
これは恐らくドイツでのデジタル・リマスタリングの技術者の耳の好みだと思います。
今回の輸入CDは録音レベルも高く、明晰過ぎる程に音の解像度が高くなってます。
音のマニアの言葉で言うと若干ですが「ハイ上がり」にも感じられます。
私達がキングレコードで馴染んだザ・ピーナッツの声音よりもややメカニックです。
ちょっとキツイかなというイメージもありますが、その一方でバックの演奏が凄く
メリハリが利いていて何をやってるかが手にとるようにわかります。
エコー成分もふんわりじゃなくてやや誇張気味に聴こえます。
古い録音を新しく蘇らせたという面もあるのですが、優しさが少し後退しています。
その一方では、パンチが効いていて、華やかで存在感が強いという印象もあります。
バックの演奏が際立ち、日本のスタジオ・ミュージシャンとは頂いているお給料が
違うよ〜みたいな凄腕だなあと感じてしまいます。
さて、話がややこしくなりますが、「ザ・ピーナッツ・ドリーム・ボックス」に入った
この歌はまたこれが全く違うバージョンなのです。
恐らくバックの録音テープだけを輸入して、キング・レコードでザ・ピーナッツに
もう一度、歌だけを吹き込み直ししたのだろうと思います。
これは推測などという曖昧な違いではなくて、ドイツ盤では中央に二人が定位してる
音像が完全に左右に広く分離しているのです。この違いは歴然としています。
そして、演奏と歌声のバランスも大きく異なります。
国内吹き込みと思われる方はピーナッツの声が大きめに録られています。
当然のことながら普段耳にするザ・ピーナッツの歌声そのままとなってもいます。
どれが好きかといえばアンカーさんが所有しているLP盤の音色がいいなと思います。
どういうルートで入手されたのか不案内なのですが、盤質も大変に良い状態であって
針音も殆どしないし、アナログの良さというものはあるのかなとか思ってしまいます。
レコードの声が子犬のような可愛らしさなのに、輸入CDは立派な成犬のようです。
これは感覚的なことですからご自身の耳で聴かなくては説明しようがありません。
何かのきっかけがあれば是非、名古屋までお出かけください。(笑)
音色の違いというものはEPとLPでも違うし、LP間でも違ってきます。
恐ろしいことにCDによっても違ってくることさえあります。
新しく再発売されると、その傾向は前記の海外CDでの印象が同様に伴うようです。
同じ曲でもシングルスやザ・ピーナッツ全集のあたりまでが穏やかで好きです。
新しい一枚ものはシャープに聴こえます。その日の気分で聞き分けるのも一興かと。
でも、こう書いたからといって、そんなには違わないのです、ザ・ピーナッツは
ザ・ピーナッツなのであって、これは重箱の隅をつつくような話だと思って下さい。
また、音に関する印象というのは、再生装置のクオリティが向上するとまた違った
感覚となることがあります。
レコードやCDの音が硬いなあ〜と思っていたのに、装置の構成を変えたりしますと
逆に印象の悪かったものが瑞々しく細部まで見事に収録されていたことがわかった、
なんてことがざらにあります。
だから音の事を書くのは、案外と恥を晒しているような恐れもあるのです。
そんな風に聞こえるのは最新鋭で高性能なものに更新出来ない悲しさであったりもし、
CDメカやDAコンバーターが劣っているかも知れないという懸念もあるのです。
ついでですから、大胆な想像をしてみますが....
ドイツの音響担当の方はアナログ用のマスターテープを聴いて、よし、これを最新の
録音なみに生き返らせよう、としたのではないでしょうか?
自分でアナログ・レコードからデジタル変換した人はわかると思いますが、レベルの
設定がコツなのです。16ビットの幅を超えてはならない(歪むから)のです。
ところがプロの機材では、ここにリミッター(=コンプレッサー)を挿入出来ます。
こうすることで、平均レベルを高く設定出来ることになります。
邪道のようですが、機材の性能が凄いので音質が損なわれるような面はないのです。
平均レベルが高くなると、ミニコンポのような小さいスピーカーでも音のイメージが
格段に良くなり、解像度が上がったように聴こえます。
また、情報量が上がって、後ろで鳴っていた小さい楽器の音も前へ出てきます。
活気のある古さを感じさせないような音色に聞こえるようになります。
しかし、全てが良くなるわけではないのかも知れません。
自然さが後退して作り物のような響きになり人の耳に聞き分けられやすいボーカルが
違和感を伴うということが起きる可能性があります。
こういうことが本当に輸入CDの音作りで行われたかは、何も確証がありませんし、
であっても善かれと思って行っているのですから、良心的努力と思うべきでしょう。
それでも、何も足さない、何も引かない、というウイスキーのコマーシャルのように
オリジナルのマスターのまんまを聴いてみたい気もします。
推論の上に推論を重ねるようになりますが....
一度リリースしたCDをリマスタリングする場合の効用としては主にバックの演奏が
細部まで聞き取れるようになる場合が殆どではないでしょうか。
歌声そのものに焦点を当てて傾聴する場合には違いがないというよりも神経が分散し、
散漫になるという面があるのかも知れないし、声の質も変化することもありえます。
しかしながら、ザ・ピーナッツのレコードは演奏そのものも素晴らしいものが多くて、
それが細部まで表出する良さもあって、なかなか悩ましいことです。
(殆ど妄想のような内容なので、あまり真剣に読まないでね:笑)
2004.4.18記