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♪よさこいボサノバ 録音:1970.06 初発売:1970.08
<日本民謡> 編曲:宮川泰 コーラス:フォー・メイツ
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★ | ★★★ | ★★★★★ | ★★★★* |
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オリジナルは日本人なら誰でも知ってる「よさこい節」です。
そうは言いながらも意外と民謡が多くの人に歌われるのは歌謡曲の中で使われる
ことから広まったという面も無視出来ないのかも知れません。
そうです、ペギー葉山の歌ったあの「南国土佐を後にして」の影響は大きい。
昭和34年はこの盤のバカ売れとピーナッツのデビュー曲「可愛い花」のヒットとで
キング・レコードは特別ボーナスが出たそうです。(フィクションです:笑)
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♪よさこいマンボ 1960.04
民謡:高知 編曲:宮川泰
演奏:東京キューバン・ボーイズ
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★ | ★★★* | ★★★ | ★★★モノ |
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さて、この「よさこい節」を、ピーナッツは2回もレコーディングしています。
もちろん、民謡の本格的な味わいを聴かせるという意図があるわけではないことは
ザ・ピーナッツが歌う限りありえないわけで、あくまで変奏曲としての新調理法での
変わった味付けを楽しむことが趣旨であります。
そうかといって徹頭徹尾妙にふざけてしまっては馬鹿馬鹿しいだけですから、そこの
匙加減が微妙なので、案外ピーナッツは大真面目に歌っていたりします。
2度のレコーディングの間には丁度10年ひと昔の間隔があるところが絶妙でして、
その時点での流行りのリズムを基調にしているので、そこが聞き所でもあり、また、
その違いを聴き比べるというのも一興で、これが出来るというのもザ・ピーナッツが
一流のシンガーとして長く一線に居たからこそ可能となったアプローチでもあります。
また、二度ともアレンジは宮川泰さんですが、全く違う趣向となっているのも楽しみ。
順序としては、やはり古い録音の方からまず聴いてみたいと思います。
1960年の25センチLPに収められた「よさこい節」は、あの時代の定番だった
マンボのリズムで歌っていて、その名も「よさこいマンボ」となっています。
ピーナッツの2枚目のシングル盤B面には「チャッキリ・チャ・チャ・チャ」という
これは「チャ・チャ・チャ」のリズムにのせて歌った「チャッキリ節」がありました。
この歌も宮川先生のアレンジでしたが、オリジナルの伴奏とはかけ離れた演奏ですが、
それはそれは楽しいノリで聴ける素晴らしいアレンジで私のお気に入りです。
この編曲が生きているのは何といっても本邦最高峰のラテン・ビッグ・バンドである
東京キューバン・ボーイズがバックを担当していることが重要な要素です。
他にも名立たるラテンバンドはもちろん存在しましたが、やはりここがナンバーワン。
「よさこいマンボ」でもこの東京キューバン・ボーイズのサウンドが光ります。
もういきなりブラス・セクションでかっこいいイントロがラテン・ムードを盛り上げ、
ピーナッツが「よさ〜こい、よさ〜こい」と導入部のリズム・パターンを確立させて、
「ウウウウウ」とハミングにブラスと音の交歓をしてから「ウ!」と、マンボ特有の
あのかけ声を可愛らしく決めて、ブラスセクションが後を継ぎます。
歌よりも前奏や間奏、そしてなが〜いエンディングといった付加部分がむしろ主役。
歌が「土佐の高知の〜播磨屋橋で」と歌うとそこでカウベルが引っ掛けてリードして
歌のメロディーをバックのサックス群がマンボの刻みでググッと支えるところは、
もう定番のようなスタイルですが、ここが踊りたくなるような躍動感があります。
惜しむらくは録音がモノラルであること。これは時代が時代だから仕方がないのだが
もしステレオ録音だったら魅力は数倍になる。ホントに残念。
後年にでも同じ譜面で再録音すればよかったのにとつくづく感じる一曲でした。
さて、10年後にアポロンの8トラック音楽テープで発売された新しいピーナッツの
民謡アルバムであった「ちゃっきり節だよ! ピーナッツ」に収録されていたのが
ボサノバ風にアレンジされた「よさこいボサノバ」。
このソースは私は聴いたことがなくて、2004年6月2日に「ザ・ピーナッツ・
レア・コレクション」の中の一曲としてCD化されたことで初めて耳に出来ました。
マンボ・バージョンの先行作があまりにリズムにハマっていましたから、ボサノバで
これを歌ったら随分と間延びしたような感じになるのではないかと懸念してました。
しかし、やっぱり宮川〜ピーナッツのラインは強烈な魅力があってその引き出しには
また違ったお色直しのための衣装が用意されていたのだな〜と感心するばかり。
このようなこのコンビの音楽性の豊かさには二枚腰、三枚腰のしたたかさがあります。
実にこれはクールです。
昔のクールの使い方は冷静、冷たいという印象にしか使わなかったと思いますが今は
クールというと、かっこいいスマートさを表現することが多いと思いますし、ここの
クールはまさにそっちの意味で、ハイセンスだな〜という褒め言葉のつもりです。
ピーナッツも一緒に歌っているフォー・メイツも力まずに肩の力を抜いて歌ってます。
こういう味は幾度となくレコーディングを経験してきた技の蓄積だろうと感じます。
ボサノバ風味というものとアレンジの意図を感覚鋭く捉えてて、さずがピーナッツ。
若々しいよさこいマンボとは違って巧みであり、芸達者になったのが良くわかります。
やはりこれも聴くことが出来て良かったと思いますが、レア・コレクションの一曲と
して幕の内弁当みたいに詰め込む曲ではないだろうにとは感じます。
先に出た「お国自慢だピーナッツ」の中の一曲として入るべきであって、これでは
まるで、不完全商品を売ってたようなものであって、おかしなことだと思います。
自分でこの一曲を補完した「お国自慢...」のアルバムを作っておこうと考えたのは
たぶん、私だけではないと思うな。
(2004.6.10)
2009年1月21日 遂にCD化が実現しました。バンザ〜イ。