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山寺の和尚さん  1967.06録音
   作詞:加藤省吾 作曲:服部良一 編曲:宮川 泰
   演奏:記載なし(レオン・サンフォニエットで良いかも)
   録音:1967.06.16 イイノホール

  

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★

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1991年3月15日「ザ・ピーナッツ・ドリーム・ボックス」というCDアルバムが
発売されました。
それまでにもザ・ピーナッツのCDは色々と出ていたようなのですが、CD自体に
興味がないし、レコードを持っていない曲が入っているわけではないので、購入は
見送っていたのです。
CDに興味がなかったのは、その音質の酷さを登場した時に感じたからでした。

ご存知のようにCDはソニーとオランダ・フィリプスとの共同開発だったために、
オーディオ・ショップではソニーの営業マンが自社の装置を使ってコンサート形式で
その音質のPRをやっていたのを立ち聞きしたのですが、あまりの音の酷さに絶句。
クラシックのピアノ協奏曲をかけていましたが、当時のソニーが開発した平板型の
スピーカーと同時にCDシステムを売り込む狙いだったのか、そのスピーカーの音が
CDの音質のように私には感じられたのです。
「目の醒めるようなシャープさ」「潤いが全くなく鋭敏さだけが浮き彫りになってる」
「落ち着いて聴いていられない派手な響き」という印象で、弦楽器など金属のようだ。
ソニーという会社はつくづく音楽とは無縁の企業だなと印象を持ってしまいました。

さて、そんな悪いイメージを持ったのが1983年(昭和58年)頃だったのですが、
ピーナッツの未発表曲満載のアルバムが出たとなれば買うしかないなと思いました。
早々に(愛蔵家ナンバーなんかが入っている)CDは買ったものの装置がありません。
既にCDは一般化していてメーカー各社から多くのCDプレイヤーが出ていました。
さあ、どの機種にしようかとオーディオ雑誌を見て検討してみました。
面白い評価があって、ソニーのCDP−X777ESという機種は同社のシリーズ中
(333、555、777)最も評論家の評価が低かったのです。
333と555はいずれも「特撰」でしたが、777は「ふつう」通信簿なら「3」。
555の倍もする価格で、しかもシリーズを代表する音のモデルである筈なのにです。

その論評は「音にメリハリがない」「CDの持つ先鋭さが感じられず、元気がない」
というような調子で、買うなら下位機種がむしろお薦めである、ということ。
この評価に逆に興味が湧いて更に調べると重量が18Kgと凄いことがわかりました。
現在、こんなに重いのは、Accuphase DP-77=63万円より上の機器しかないのです。
これはメカがかなり重厚である証拠で、アナログ機器のようだなと気に入りました。
「CDプレイヤーを買ってくる」と言って出掛けたのは家内も承知の上でしたが、
買った価格を聞いて、なんでそんなに高いの! と呆れてました。
せいぜいが、4〜5万、高くても10万以内なんだろうと思っていたようです。
私としては手持ちのアナログ・プレイヤーの価格の半額以上は投資しないと同等の
音質は望めない、デジタルとはいっても魔法じゃないと信じてたから当然の投資です。

持って帰れないような重量なので配達してもらって、さあ、結線して音出しです。
ああ、なんて滑らかでレコードに限りなく近い音質なのでしょう。
すっかり、デジタルということを忘れさせ、ソニーという邪悪なブランドイメージが
吹き飛びました。ソニー製など使いたくなかったのですが、開発者というものは、
絶対に追従者よりも苦労をしていて、本質を知っている筈であるという信念が私には
あるので、他のメーカーは初めから念頭になかったのです。
CDP−X777ESは非常に真面目に作られているとも感じました。
CDプレイヤーという機器はそんなに電力を消費する機械ではない筈です。なのに、
この発熱量の物凄さというのは一体なんなのでしょう。

発熱といえばずっと使っているデンオン(デノンではない)PRA−2000という
プリアンプも大変な熱を発しています。
プリアンプというのはフォノカートリッジ等からの微弱な電圧変動をメインアンプが
処理できるようなレベルまで高めてやる窓口のような役割でいわば事務所受付です。
ここではそんなに大量の電力は要らない筈なのです。
このように無駄な電気を使って、CDプレイヤーやプリアンプは何をしてるのだろう。
それは「貫性の法則」の理念に基づいて、電子が機敏に反応出来るように備えている
からなのです。わかりやすく言えば車の「アイドリング」です。

真空管アンプの音が良いと言われるのも、そこに秘密があります。
いつもヒーターが点灯していて、すぐに電子が真空中に飛び出していけるのです。
真空を飛べば「抵抗」もありません。これはスムーズな筈です。
半導体のアンプでは固形物の中を電子が伝わっていくので不利です。
だけど、常に活発に電子が飛び回っていれば半導体であっても遜色ないことになり、
用がなくても動いているようにすれば、いざというとき素早く行動出来るのです。
これが発熱となって消費されているのです。
設計次第で、この無駄使いは回避出来るという理屈もありますが、理屈と現実は
そうそう一致するものではなく、私は「お熱いのがお好き」なんです。

デジタル部とアナログ部に別々の電源トランスを持っていたり、ヘッドホン回路にも
本格的なアナログアンプを備えたり(これが実に見事な音がしています)、色々と
目に見えない贅沢な作りになっていることがわかってきたりしました。
メーカーは最上位機種で音質を決めている筈です。
このおとなしい穏やかな誇張のない音が技術者の目指した方向だろうと確信しました。
ソニーもやれば出来るじゃないか、と思ったし、技術集団の中でも音質を決定する
判断を任された責任者がもしかしたら交代されたのかも知れないなとも思いました。
しかし、私が気に入っても、世間全般にアピール出来たのかどうかは知りませんし、
この音調がその後の機種に継承されたかどうかもわかりません。
オーディオ評論家の評価は売れ行きに影響が大きいので売れなくなった恐れもあり、
こういう響きが新機種で聴けるかどうか、心配な面もあります。

その後、DVDプレイヤーもソニー製のを買いましたが、CDも聴けるので、試しに
繋いでみました。10年以上も昔のCDプレイヤーよりは、もしかしたら、いい音で
鳴るかも知れないという期待は外れました。SACDも聴けるのですがCDの再生が
こんなではSACDを買って聴いてみる気も失せました。
その音は昔初めて聴いたあの響きに良く似ていました。一聴するとダイナミックで
かっこいいかも知れませんが繊細な落ち着きが感じられません。
同じ曲がCDによって微妙に音が異なるなんていう感覚も聴きとれなくて、皆同じ。
なんか、折角のCDがかわいそうになるような印象を抱いてしまいます。

だはは...何の感想だか、わけがわかんなくなってしまいました。
「山寺の和尚さん」の話に戻ります。
この歌がドリーム・ボックスに収載されている不思議さについてご投稿を頂きました。



これは何のための録音? 投稿者:ジャンケン娘 投稿日:2004/06/23(Wed)

こんばんは。以前から気になっていたのですが「10枚組み」の「ドリーム・ボックス」
に収録されている「山寺の和尚さん」と言う曲は どう言う意図で「録音」されたの
でしょうか?10枚目の曲の中では とても、異質に感じられるのですが・・。
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Re: これは何のための録音? インファント@管理人 - 2004/06/24(Thu)

神奈川県立音楽堂(音響が素晴らしくいいんだよ〜)で行われたザ・ピーナッツの
ショーで和服で歌うコーナーがあって、同じくCDにもなっている「伊那節」などと
一緒に歌われました。バックはブルーソックスでした。
当時としてはお約束の民謡&童謡コーナーなのであって、ここでも宮川サウンドが
大爆発しているので、これらのレコードが何故出ないのか、特にこの「山寺の..」は
同曲の日本中のアレンジの最高峰だと思ってました。
NHKラジオで宮間利之とニューハードオーケストラをバックに歌ったのをテープに
録音はしたのですが、やはりAMなんで...レコードが欲しい、欲しいと夢に現に...
ですから、このCDは文字通り夢箱だったと感じました。
この歌はバンドとの掛け合いが楽しく、ステージでは、そこが魅せましたね。
ご存知のように作曲は宮川さんが尊敬する服部良一先生の作曲なので、宮川先生の
推薦コーナーとして、この未発表だった録音がBOXに入ったのは当然なのかも
知れませんね。まだまだこういうの倉庫にしまってないのかしら???
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Re: これは何のための録音? ジャンケン娘 - 2004/06/24(Thu)

なるほど、インファントさんの回答に納得いたしました。でも、良いですねぇ・・。
インファントさんは「ピーナッツ」さんのステージを生で見られて。
音響設備の良い劇場って言うのも 素敵なんでしょうね。僕の住む県の「某センター」
は建ってからも 古いし、某歌手のコンサートに行っても 大きなスピーカーが左右
に置いてあって 「歌」を聴きに行っているのに「声」だけを 聴いているような感
じでした。
昨今、流行りの「未発表の音源・発見!次は『ザ・ピーナッツ!』」なんて言うニュー
スがあったら 良いのになぁ・・と、思います。
それが「ステージ」の録音だったなら どんなにか良いでしょうね。
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Re: これは何のための録音? アマクサのシロ - 2004/06/25(Fri)
インファントさん。
「山寺の和尚さん」はラジオ番組「ザ・ピーナッツ」で昭和36年頃に頻繁に歌って
いました。
この番組で使った曲がレコード化されているものと思っていましたら。
半分以上は未発売と知ったのは引退後のことでした、「カレンダー・ガール」
「バイバイ・バーディ」「ボーイハント」等。
特に「カレンダー・ガール」は平凡や明星の付録の歌本に九ちゃんバージョンと別に。
ピーナッツ・バージョンが載っていました、レコード発売の予定はあったが何かの都
合で中止になったと思っています。
ピーナッツにはまだ未発表の曲がかなりの数存在していると信じましょう(笑)。


アマクサのシロさんが、良く聞いたのは昭和36年頃で、私がステージで聞いたのは
昭和38年でした。ドリーム・ボックス記載の録音年を見ると昭和42年6月なので
随分と長い期間これを愛唱歌にしていたんだな〜と思います。また、録音したのは、
宮川先生もこれは傑作アレンジだとご自身でも思われていたのではないでしょうか。
同時期に「恋のフーガ」の英語版も録音しているので、もしかするとなのですが、
これとカップリングにして英語圏で発売してみようとかいう企画があったのかも??

この録音はとても音質が素晴らしいのでお気に入りのひとつでもあります。
演奏も最高にゴキゲンで、ゴージャスな布陣でもあります。

(右チャンネル:私から見ての位置)
トランペット:4
トロンボーン:4
アルトサックス:2(クラリネットと途中で持ち替えます)
テナーサックス:2
バリトンサックス:1
ドラムス
(中央チャンネル)
ピーナッツの歌声
ベース
(左チャンネル)
弦楽器群(バイオリン、ビオラなど多数)
三味線

特殊な楽器(ビロ〜〜ンと鳴るやつ:笑)
楽団員によるかけ声

ギターやピアノの音は聞き取れませんが隠し味みたいに入ってるかも知れません。
なかなか豪勢な編成だと思いませんか。
もしも今どき「山寺の和尚さん」の歌を収録することになったとしても、これほどの
大編成のオーケストラを用意することは、まず考えられません。
これで売りもしないで、お蔵入りだったのですから、まあ勿体ない。
ザ・ピーナッツの録音は、いつも書いていますが大変なコストと手間がかかってます。
技術的にも非常に高度だと思います。

ステージの演奏とこの録音は編成が違うのでアレンジもちょっと違います。
しかし基本的には同じ構想を弦楽器合奏を加えた形にお色直ししただけで同じものと
考えても差し支えないと思います。
ダガジグダガジグダガジグダガジグエ〜ホホ〜というバックコーラス?は、舞台では
金管楽器の演奏者やギター、ベース、ピアノの方々が一斉に歌うところなのですが、
こちらの録音では弦楽器のメンバーにやって頂いたようです。
弦楽器の奏者は日常的にザ・ピーナッツのバックをやる方は居ないと思いますから、
これは突然の役割で驚いたと同時に、これは面白いやと思ったかも知れませんね。

神奈川県立音楽堂は、あの「ゴジラ」が封切られた年に完成した、とても古い歴史を
持っていて、近くに良いホールも出来たし、周辺施設も含めて再開発の構想もあった
のですが、日本一とも言われる響きの良さを残して欲しいという嘆願が多く寄せられ、
存命が決まって、まだ残されることになりました。
ザ・ピーナッツがここで歌ったころは施設も新しく当時としてはモダンな建物でして、
あの日劇までが解体されてしまった今、ピーナッツのことを思い浮かべられる建物は
これしかないので、どうか壊さないで欲しいと私は祈っています。

現在はクラシック関係の使用が殆どで、それは響きがそういう音楽に向いているから
どうしてもそうなるのだと思います。
後年、ある歌手のコンサートに行こうというお誘いがあって、ここへ行ったのですが、
その時は持ち込んだ強力なオーディオ装置を駆使されていたので凄まじい音響でして、
歌声などはキンキンして聴けたものじゃありませんでした。
ザ・ピーナッツのショーの時は演奏も素晴らしく各々の楽器の音色も相応しい音色で
鳴っていたし、歌声も滑らかで、日劇よりもむしろ自然な感じで良かったのです。
恐らくはスタッフが優秀なのか、会館の人の意見をよく取り入れてホールに適した
配慮をしたのでしょう。そういうのが渡辺プロの底力だと私は信じています。

さて、神奈川県立音楽堂には、もっと強烈な思い出があるのです。
今まで、一度も書きませんでしたが、生涯でただ一度だけ、ザ・ピーナッツさんの
楽屋へお邪魔したことがありました。それが、このホールなのです。
これがあるからこそ、絶対に壊してもらっては困るのです。
その「たった一度の夢」は、またの機会に書いてみます。

(2004.6.27.記)