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さいはての慕情  1962.02
WHERE THE FOUR WINDS BLOW
   作曲:Linda Scott 作詞:あらかはひろし 編曲:宮川泰
   演奏:シックス・ジョーズ・ウイズ・ストリングス
   コーラス:ブライト・リズム・ボーイズ

   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★

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リツクとランスのボーカル曲として日本では流行した歌ですが詳細は知りません。
伊藤アイ子のカバーが有名だと思いますが歌詞が違います。
克美しげるさんや小林旭さんもカバーしているようですが、よくわかりません。
いかにも日本人が好きになるような悲しげなメロディーで流行るのがわかります。
外国の人もこういう気持が共通してあるのかと思うと戦争なんか何故するのかな?
あらかはひろしさんの作詞は素晴らしくて日本の歌のように自然で心に沁みます。

ザ・ピーナッツの歌という面では、さほど脚光を浴びたということはありません。
それは、この年(昭和37年)だけでも、下記のように沢山のシングル盤を出して
いたのだから、影が薄くなって当然だと思います。
 「いつも心に太陽を/山小屋の太郎さん」
 「ふりむかないで/アテネの恋唄」
 「君去りし夜/あなたなんかもういや」
 「夕焼けのトランペット/ローマの恋」
 「私と私/幸せのシッポ」
 「モスコーの夜は更けて/初恋のところ」
 「イエスサリー/グッド・ラック・チャーム」
→「さいはての慕情/ジョニー・エンジェル」
 「手編みの靴下/二人の高原」
 「レモンのキッス/恋のジュークボックス」
 「ジングル・ベル/サンタが町にやってくる」(再録音バージョン)
今時の超人気歌手でも、こんなにリリース・ラッシュはないのではと驚くばかりです。
同じように影が薄くなっていた「手編みの靴下」などは、後年に、園まりがカバーし、
歌詞を変えて「逢いたくて逢いたくて」として、大ヒットとなりました。
それだからというわけじゃないけれど、ザ・ピーナッツのレコード(CD)は宝の山。

更に、この年は、ピーナッツのザ・ヒット・パレード第二集と第三集のLPも発売。
これではとても中学3年〜高校1年当時の私には買い揃えることが出来ませんでした。
泣く泣く「ジングル・ベル/サンタが町にやってくる」と「第三集のLP」は見送り。
「ザ・ヒット・パレード第三集」にしか入っていなかった「モニカ」は近年になって
CDで再発売されたので、とても嬉しかったです。
「ジングル・ベル/サンタが町にやってくる」(再録音バージョン)も9月23日に
出る新しいCD−BOXに収載されそうなので大いに期待しているところです。

既に社会人になって自分の小遣いでレコードを買える人はいいのですが前述のように
まだ学生で親のスネをかじっている身分では上記総計5300円という金額は途方も
なく、シングル10枚、LP1枚止まりでも我慢するしかなかったのです。
ザ・ピーナッツ後援会に入会して、他のファンの方とも知り合いになったのですが、
皆さん同様で、なかなかレコードを買い揃えるということは至難であったようです。
ですから、それでも殆どのシングル盤をコツコツ買い求めていた私のような存在は
もしかすると(個人という枠では)希有な人種だったかも知れません。
この「さいはての慕情/ジョニー・エンジェル」などは余り沢山は売れなかったので
これから骨董的な目的で蒐集してみようと思っても入手は困難かもしれません。

この曲のようなカバー・ポップスは普通の歌手の場合は重要度が低く見られるためか
CD化はなかなか実現しないようですが、ザ・ピーナッツの場合は幸いな事に多くの
CD商品が出ています。それは、シングルスであり、過去のCD−BOX三種類には
全て収録されていますし、今度発売される10枚組BOXにも入る筈です。
これはポップス・カバーにおいての第一人者であったことを象徴する出来事でしょう。
ザ・ピーナッツの場合、多くのアレンジは宮川泰さんが担当されていることもあって、
オリジナルの曲調そのままということは少ないために現曲の雰囲気で聴きたいニーズ
とは異なる感想となると思いますが、ピーナッツ節といった独特の解釈による装いも
新たにしたピーナッツならではの歌唱が聴けるのが嬉しいところでもあります。

さて、この「さいはての慕情」は構成上はお馴染みのAABAという形式なのですが、
通常はAABABAとサビのところから繰り返されるのが一般的です。
ですから初めてこのシングル盤を聴いたときには、あれれ!足りない、と驚きました。
従来のやり方はAABA(Aの旋律を使った間奏で盛り上げて)BAとなる筈です。
そうしなかったのはダラダラ感を嫌ったのではないか、としか思えないのです。
この曲のテンポではそもそも3分半ぐらいの長さになるのに2分40秒で終わります。
これはどうも納得出来ない。長ったらしくなっても一般的にやるべきではないのかな?
間奏の部分に工夫をすれば、もっと良い仕上がりになったのにちょっと惜しいです。

それと、エンディングもリフレインしてフェードアウト風なのですが、楽譜としては
ちゃんと終止符部分まで存在するというこれも変わった構成になってます。
ですから、どうも意図がよくわかりません。
CDアルバムで初めて聴かれる人は、他の曲と連続して聴かれるので、そんな些細な
ことは気にも留まらないかも知れないのですが、シングル盤で聴く場合には、そこで
レコードは終わりなので、あら、もうお終いなのかい、と不完全燃焼してしまいます。
ですから、どうもこの録音はシングル盤向きではなかったようにも感じます。
そもそも、「君去りし夜/あなたなんかもういや」
     「夕焼けのトランペット/ローマの恋」
     「モスコーの夜は更けて/初恋のところ」
     「イエスサリー/グッド・ラック・チャーム」
     「さいはての慕情/ジョニー・エンジェル」
これで、LP一枚に入れてしまった方が買う立場としても買いやすかったと思うし、
個々のシングルの売れ行きも一枚づつでは沢山は売れていなかったように感じます。
ザ・ピーナッツの人気が相当なものであったことがこの売り方でも伺い知れます。
それだけに、これらのシングル盤はいまではレアな品物になっているのかも?
(2004.08.29記)