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米山さんから(三階節)  1959.09
   新潟県民謡 編曲:宮川 泰
   演奏:シックス・ジョーズ
   録音:1959.07.30

   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★ ★★★ ★★★ ★★

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三階節          1970.頃
   新潟県民謡 編曲:宮川 泰
   演奏:記載なし

   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★ ★★★★ ★★★★

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何でだか良く判らないのですが、ザ・ピーナッツのレコードを聴く前から、この
「三階節」というのはよく知ってました。
じゃあ、今の若い人も知ってるかというと、少なくとも我が家の娘は知らないです。
それは無理ないのです。ふつうはこんな歌は歌いも聞きもしませんよね。
ということは、昔は環境としては、耳に馴染むほどラジオか何かで流れていたの
かも知れませんが、そうだったような記憶って、これといって無いのです。
だから何でだか判らないのです。

で、この歌が名曲かというとそんなこともないな、と思ってしまいます。
だけど、耳に残る歌であり、歌詞なんですね。
 ♪米山さんから雲が出た
米山先生というのが居たので、怒ると頭から湯気が出て雲のようになるのかな、
なんて想像してると、何がおかしいっ! ってもっと怒られます。
米山さんというのは勿論、米山山じゃなくて(笑)米山という山に親しみをこめて
さんづけにしているんだと思います。

 米山さんから雲が出た今に夕立が来るやら
 ピッカラチャッカラドンガラリンと
 音がするハア音がする今に夕立が
 くるやらピッカラチャッカラ
 ドンガラリンと音がする

 柏崎から椎谷まで間に荒浜荒砂
 芥多の渡しがなきゃよかろ
 ハアなきゃよかろ間に荒浜荒砂
 芥多の渡しがなきゃよかろ

というのが歌詞なのですが、この歌詞のどこの部分が三階節なのか意味が判りません。
ところが、レコードのライナーには下記のように解説が載っています。

 越後地方の民謡として、これまたよく知られ ている三階節を、ラテン・リズムに
 のせて「ザ・ピーナッツ」が歌ったものです。柏崎が本場で、盆踊りの唄であった
 ものが、のちに お座敷唄として広まったもので、同一歌詞を 三度繰り返す形
 「(なきゃよかろ)が三度」から 「三階節」の名が生まれたものといわれています。

CDを発売するときも出来るだけレコード盤に付いていたライナーなども復活させて
欲しいものだと思います。何が雑学になったりするかわかりません。知らないよりも
知っていた方が良いのだから。

さて、ザ・ピーナッツはご丁寧にも、二回この歌をレコーディングしています。
(三回レコーディングした「明日になれば」などは、さしずめ三回節かな?:笑)
最初のは「情熱の花」のB面ですから結構日本中に流れたんじゃないかなと思います。
残念ながら、この頃はまだ私が幼くてピーナッツがこの民謡を歌った場面をテレビで
見た記憶がありません。

最初の民謡ナンバーは「チャッキリ、チャ・チャ・チャ」で、これは私も大好きで、
素晴らしいアレンジで、元の伴奏がどんなだったか忘れてしまいそうに素敵です。
東京キューバン・ボーイズの演奏が、これまたかっこ良くて、管楽器メンバーの
掛け合いの声もとっても楽しい逸品でした。
これは是非、ステレオ録音で再現して欲しかったものだと思いました。
そこへいくと、こちらはシックス・ジョーズでの小編成ということもありますが、
ラテンリズムをベースにしていてもジャズっぽい感じです。楽しさも一段落ちるかな。
ところで、このリズムは何と言う名前なのでしょうか?

アレンジも凝ってはいますが、発売してから二年後に買って聴いた時点で、これは
ちょっと当り前すぎて、その時代でありながらも、どこか古いな、と思いました。
編曲が馴染みやすい感じなのは良いのでしょうが、当り前にやってる感じのためか、
面白味に欠けるように思います。多分、この感じが一般受けするであろうということ
なんだろうと思います。こういうのが好評だったのでしょうか、シングル盤の発売が
まだ4枚しか出していない時から、もう「民謡お国めぐり」という二枚目のLPを
出しております。

恐らく、というよりも確実にキングの先輩、江利チエミさんの影響だろうと思います。
江利チエミさんのような達者な節回しが持ち味ではなくて、ストレートな若々しさと
デュエット民謡というのが新しかったので、二番煎じというイメージには結びつかず、
ピーナッツ節という、多ジャンルをカバーする方針が既に最初からあったようです。
BGMのように音楽を垂れ流すというのが私は大嫌いなんですが、こういう録音は、
あまり真剣に生真面目に聴くのじゃなくて、ドライブのお伴にという軽さが狙い目で
あるのかも知れません。

このモノラル録音の時代から、ほぼ10年間を隔てて新たに同じ曲を吹き込んでます。
今度は「三階節」という原題のままです。
こちらはさすがにアレンジも凝っておりまして、勢いで聴かせるのではなく愉快さを
全面に出そうとしています。ピンクパンサーの音楽みたいで面白いです。
それでも、これも真剣に聞き耳を立てて聴くという感じではなくプレイ民謡といった
面白さを楽しむことを目的としています。
極めて個性的な歌手でありながら、ザ・ピーナッツを聴くというよりもアレンジの
面白さ、レコードが醸し出す音楽の楽しさが際立っています。

最初のバージョンに話を戻しますが、ポピュラー歌手としてデビューしたばかりの
ザ・ピーナッツなのに、どうしていきなり民謡だったのでしょうか。これは不思議。
民謡にも挑戦、というよりも、誰でも知っているような歌を、こんな味付けにして
その意外さ多彩さを楽しんでもらおうという意図なので、やはりB面が適切な居場所
であり、こういう裏表構成はまだ新人歌手なのに、自信と余裕さえ感じられます。
お茶の間歌手という新しい歌手像を確立したかったので、年輩の人にも馴染みやすい
曲調のものもサービスしたのかな?

ザ・ピーナッツは「三階節」を二度もレコーディングしているんだよ、なんてのは、
なにかの寄り合いの話題になるような気もしますが...(誰がそんな話に乗るか:笑)

(2005.2.9記)