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EIN WEISSES SCHIFF  1966.09録音
  (白い船)
   作詞:H.Korn 作曲:Heinz Kiesslling
   演奏:Heinz Kiessling Chor und Orchester

   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★★ ★★★★★ ★★★★

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この曲のタイトルはドイツ語なので、正しいフォントは表示出来ませんでした。
したがって、↓に原題をスキャンしたものを貼付けておきます。

欧州はやはり音楽を聴く伝統というものが存在するようで、このような録音履歴も
クラシックの録音だけじゃなくてきちんと残しているところが素晴らしいと思います。
レコード(CD)というものは、文字通り記録ですから、こうあるべきでしょう。

この曲の楽想は雄大であるように感じます。大河のうねりをイメージさせます。
シングル盤のB面なのですが、ひとつのチャレンジをしているようにも感じます。
この器の大きさで挑んでいる姿勢は、本家のキング・レコードでLPで企画した
「世界名作シリーズ」の構想での志の高さと良く似た期待がこめられているような
ザ・ピーナッツという類い稀な素材でどこまでの成果が生み出せるかということに
挑戦したのじゃないか、という意思が私には感じられます。

ただ、その成果が期待したほどではなかったという点も共通しているかも知れず、
そのあたりが大変微妙なところではないかと思うのです。
何が微妙か、というと、文章で表現出来にくいのですが、ひとつの前提をつけて
聴くという姿勢で臨めば、これは自分にとって愛好する対象に相応しいと感じる
大事な宝物だと思うのです。
そのひとつとは「批評的な客観性を棄て、主観的に好きになること」だと思います。

なんか一般受けしそうもないなあ〜、とか、これは実際に海外で売れたのだろうか?
と、そのような他人様がこれをどう聴くだろうか、といったことを意識することが、
鑑賞の邪魔になると思う次第です。そういうことは制作者側が意識することなので
聴き手にとっては意味がない無駄な雑音成分なのだと思います。
私はザ・ピーナッツ固有のキャラクターと、この曲がマッチして溶け合っていると
いう印象はないのですが、ザ・ピーナッツ・ライブラリーに有って良いと感じるし、
これもあり、あれもあり、だから面白いと思うのです。

ところで、
他の随想にも書いたかも知れませんが、このCDの音色はいかにもドイツ的だなあ、
と感じられます。
ドイツ風というように一括りにしていいものか、その辺はなんとも言えないのですが、
私の持つイメージは「曖昧さを嫌い、しっかりしている」「輪郭を鮮明にしている」
というような感じで、これはドイツ製のオーディオ機器の持ち味かと思うのです。
悪い見方をすると「潤いが欠ける」という面もあるようにも感じられます。
そのせいか、世界的な人気市場には有名なスピーカーは登場してこないようです。
機械工業では世界屈指であり、音楽面でも世界をリードするお国柄なのに不思議です。

これも不思議なのですが、☆ピーナッツ・ホリデー☆のアンカーさんからドイツ盤の
LP「SOUVENIRS AUS TOKIO」を以前、聞かせて頂いたのですが、
このLPの音色はいかにもアナログらしく滑らかで聴きやすいものでありました。
ということは、CDの音のメリハリは強引につけられたようにも感じられるのです。
そういうテクニックが実際にあるらしく、平均レベルをわざと高くして、ピークを
リミッターで抑え込むという手法を使うようなのです。
こうすると微細な音までも明瞭にはなりますので、古い録音までもシャープな音色で
蘇ったように聴こえます。しかし、これは諸刃の刃でもありまして、自然さが後退し、
音波の波形が強引に切られてしまうので耳障りな鋭利な響きが伴うように思います。
無理に現代風にする必要はなかったのではないか、という印象が私にはあります。

日本のオーディオ機器は世界的にもトップ・ランクであって垂涎の品質を誇りますが、
ことスピーカー・システムでは一部のプロ用途の機材以外は全然国際的に人気がなく、
何故か攻撃的な音だと評価されたりするようです。
その一方では、JBLやTANNOYのように本国では一般の人には殆ど知られて
いないのに日本では絶賛されるメーカーもあって、本当にスピーカーというものは
どういう風に作ったらいいのか、という方針自体が趣味性を大いに反映しています。
総じて多数決でみんなの意見を総合するというスタイルでは名器は育たないようで、
だから日本製は楽器のような聞き惚れる音色になりにくいのでしょう。

しかしながら、昔からレコードの音の良し悪しは、単純に云々出来ない面があって、
CDだって、私のような骨董品じゃなく最新の機器で聴けば、あ、こういう音色が
するんだ、と気付いて、これもいいじゃないか、と思えることだってあります。
CDはデジタルなんだから、高い安いは余り関係ないんじゃないか、という意見が
一時流行しましたが、今どき、そんなことをまともに信じる人はいないと思います。
ここに最近のDENONというメーカーのプレイヤーを並べてみます。

ザ・ピーナッツが4人居るかのように、全部似たような外観をしています。
性能もCDプレイヤーですから理論値で決まるのでカタログ上の数値は殆ど同じです。
でも、お値段が全然違うのです。ちょっとした違いではなく全然段違いなんです。
 DCD−SA1   →税抜 50万円
 DCD−SA11  →税抜 35万円
 DCD−1650AE→税抜 15万円
 DCD−1500AE→税抜  8万円
お値段が高い方が機能が豊富ということは全くありません。最も安価な機器には
ヘッドフォン端子がサービスされているので機能的には値段とは逆転現象です。
断わっておきますが、これらは全部、2チャンネル・ステレオしか聴けないのです。
じゃあ、何が違うんだ、ということになりますが、音の品質が違うのでしょう。
これらは決してオーディオ気狂いの世界ではハイ・エンドの機器ではありません。
性能対コスト面でも、お買得で、庶民的で一般的なラインアップなんだそうです。
稼ぎが悪いのでとても買えませんが... DCD−SA1なんかが欲しいですね〜。
こういう機材を使っていないのに音のことなんか書けないとは思います。とほほ....

さて、ものはついでで、プリ・メイン・アンプもDENONのラインアップを見て
みたいと思います。別にDENONの贔屓をしているんじゃありませんが、今どき
こんなに熱心に一般向けのオーディオ機器を揃えているメーカーが少ないのです。

 PMA−SA1   →税抜 66万円(出力:50W×2/8Ω)
 PMA−SA11  →税抜 36万円(出力:120W×2/8Ω)
 PMA−1650AE→税抜 15万円(出力:80W×2/8Ω)
 PMA−1500AE→税抜  8万円(出力:70W×2/8Ω)
オーディオに興味の無い人に良く言われることですが、お金をかけて、そんなに
大きな音を出しても普通の家じゃ無駄でしょう、という誤解満載のセリフです。
上記の比較は同じメーカーなので、凄くわかりやすい例ですが、アンプの出力性能と
お値段は比例するどころか、全く無関係なことがわかるじゃありませんか!!
出力で選べば、PMA−1500AEが圧倒的にお徳なのであって、8倍以上も
高価なPMA−SA1より図抜けて大きいのです。
あ、ひょっとして歪みの割合いが違うの、と察する人はかなりいい線なのですが...
今どき測定ではっきり歪みが多いなんて製品は売られることはありません。
とどのつまり、これは数値化が困難な音の品質が違うのでしょう。

ここでも、やっぱり50W×2と小出力でも珠玉のPMA−SA1が欲しい所ですが、
よく見ると、これヘッドフォン端子が付いておりません。
音の品質を優先するために省いているに違いないのですが...ちょっとまってよね〜、
DCD−SA1とPMA−SA1をセットで揃えたら、ヘッドフォンが聴けないよ〜。
総計116万円(税抜き)も投資して、更にヘッドフォン・アンプも買うのかね〜。
DENONってヘッドフォン・アンプ作ってないよね。これは変だと思うけどなあ。
CDプレイヤーもプリ・メイン・アンプもマニアの世界では一体型といって簡便形。
便宜を優先した形式なんだから、ヘッドフォンが聴けないなんて絶対おかしいと思う。

ところで、こんなに音にこだわって聴く必要があるのでしょうか?
はっきり言って、今風の流行路線CDを聴くのには要らないかも知れません。
そもそも音作りをCDラジカセ、ミニ・コンポをターゲットにして行っているらしく、
ハッキリ・クッキリとして低音もズンズンと鳴るように作ってあるので大型の装置も
必要なく、それだとかえってバランスが崩れるようなんです。
どういう音楽が対象になるかといえば、アコースティックな楽器や声の再生なんです。
どれだけ、それらしく、また実体以上に夢のような甘美さとか、音楽の力感とかが
人間の耳が気に入るように鳴るかが決めてです。

こんなことを書き出したのは、このCDが今風のハッキリ・クッキリ路線に合わせて、
メリハリを付け過ぎているのではないかということを言いたかったのです。
この音色は、CDラジカセ、ミニ・コンポ向けのように感じます。
そういう機器で聴くと、むしろ、このCDの音はシャキッとしてかっこいいのかも。
しかし、こういう音色は好きではないし、言い過ぎかも知れませんが害があります。
「昔は茶わんがあればたたいて遊び、微妙な音の世界を楽しんだ。今の子どもたちは
ちょっとした音色を聞き分ける能力が衰えている。このままでは将来、大昔の人間は
音色を聞き分ける不思議な能力があったらしいなどということになってしまう」
これはどこかのサイトで見つけた言葉です。

味覚の世界と聴覚の世界は似ているようにも思います。
味付けの濃いCDじゃない、キング・レコードのCDの方が私は大好きです。
(2005.10.10.記)