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ZUCKERSUSS WIE ANANAS   1967.02.12
   作詞・作曲:Hans Bradtke
   演奏:Heinz Kiessling Chor und Orchester

    

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★★ ★★★★★ ★★★★

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♪お砂糖みたいに甘いパイナップル あなたのキッスはそうなの

この歌は作詞・作曲・編曲ともドイツ製なので、無学な私は何を歌っているのか
さっぱりわかりませんでしたが、☆ピーナッツ・ホリデー☆サイトに訳詞があり、
これでやっと意味がわかりました。
ザ・ピーナッツの欧州で発売されたレコードというのは日本でもセブンシーズの
レーベルでリリースされた2枚=4曲しかないものだとずっと思っていましたが、
初めてパソコンでインターネットに入った日に☆ピーナッツ・ホリデー☆を知り、
8枚=16曲もシングル盤を出していたことがわかり驚きました。

私はザ・ピーナッツ後援会に入っていましたが、渡辺プロ・タレント友の会という
組織に統合されることとなり、暫くはそこへ移行したまま入会しておりました。
ところが当然ですが、ザ・ピーナッツ後援会は100%がザ・ピーナッツの記事や
写真、ご本人たちのエッセイなどで構成されていたのですが、タレント友の会では
所属タレント全ての情報が網羅されているわけでザ・ピーナッツの扱いが薄くなり、
遂には何も記事らしきものがない号が届くに及んでバカバカしくなって退会した。

今、思えば、それでも入っていれば良かったかも知れませんが、ナベプロにおける
ザ・ピーナッツの位置付けなんて、今だからこそわかってきたようなものなので、
次々に登場する新しい人気者のグラビアばかりじゃ一般の芸能雑誌みたいに感じて
面白くなかったのです。こっちも若いから潔癖だったのかも知れません。
そのまま継続していれば、海外での活動やこの曲の由来などが載っていた可能性も
あり、失敗だったかな、と今頃思っています。

後援会に入っていますと、ザ・ピーナッツを追っかけまわして写真を撮りまくる
くせにレコードは高いから買わないなどという人種がいたりして、何なんだろうと
思う事しばしば。こういう人達と一緒に見られることが恥ずかしく感じました。
私も一回だけカメラを持ってステージを観ましたが、これは絶対に駄目。
ショーを楽しむ観客として、これは大間違いをしていることがすぐわかりました。
そもそも男性が女性を好きになるような感覚でザ・ピーナッツを見聞きすることは
客観的に見ればこんなアホウなことはないし、続かないのです。
だから私は人間じゃなく女神さま達なんだと思うことにしたのです。

そういう情報からの離れ方をしてしまったために、この曲は21世紀になってから
存在がわかったのですが、それは大多数の日本人も同じであろうと思います。
☆ピーナッツ・ホリデー☆サイトと邂逅し、オフ会でアンカーさんとお話する機会
もあって、海外でのザ・ピーナッツの活動は想像以上に素晴らしかったという事実、
またレコードの実物を目の当たりにして、これは単にザ・ピーナッツ・ファンという
立場を超えて、当時のことはもっと語り伝えられなければおかしいのではないかと
思いました。ザ・ピーナッツはとてつもない業績を残した歌手だったんですよ。

この曲の研究成果は☆ピーナッツ・ホリデー☆に詳しく載っております。
こんなに親切な解説はありません。
☆ピーナッツ・ホリデー☆→ディスコグラフィーから海外盤に入ってご覧下さい。

さて、ここからはサウンド解剖学とまいりましょう。

上の図は、皆様お馴染みの「恋のフーガ」の録音レベル波形です。
ザ・ピーナッツのレコード、CD、ダブル・ユーの順に並べてみました。
枠より飛び出すことはデジタルの場合は厳禁で、全てが内輪に収まります。

1.ザ・ピーナッツのレコードは私がレベルを決めて収録してみたものです。
2.ザ・ピーナッツのCDはアナログ盤とよく似ており、小細工はないです。
  どちらも楽々と枠に入っているように見え、もっとレベルを上げても
  良さそうに感じられますが、実際には音量のピークが存在するために
  これが目一杯なのです。
3.このダブル・ユーのCDは平均音量が凄いレベルです。アナログ録音で
  こんなことをやったらすぐに歪んでしまい聴くに耐えない音になります。

ダブル・ユーのマスターには特別な仕掛けがあることは容易に気付く筈です。
そのマジックの種明かしは「コンプレッサー」だと推察します。

大きな音のレベルを圧縮すれば、小さな音とのレベル差が減るので、全体を
大きな音で録音することが出来るのです。
歌声には不自然さは感じられないので演奏トラックだけを圧縮しているので
あろうかとも感じますが、全ての楽器の音がクリアにピントが合っているし、
さすがに最新の録音技術だと感じます。

勿論、これで悪くはないのですが、CDフォーマットが持っている96dBと
いう広大なパフォーマンスをフルに発揮させているのだろうかという疑問符が
つきまとうようにも感じます。
最大音量と中音量の間を行ったり来たりしてるだけで小音量の部分が殆どない。
周波数特性にしても一般の音楽ファンは高性能の再生装置を所有していない筈
と制作サイドで決めつけてしまう。
つまりダイナミック・レンジを狭く、周波数特性も狭くするように作られる。
スタジオにある本格的なラージスピーカーはノイズ類のチェックを行うだけで
音作りはMDラジカセやミニコンポで実際に聴いてみて決めているようである。

大きな起伏がある音楽、繊細な音が編み込まれている音楽であれば高級な装置が
真価を発揮するが、上記のような音作りをしているCDでは意味を成さない。
お手軽でコンパクトな再生装置にCDは照準を合わせている。このためなのか、
オーディオ道楽というのは一気に衰退してしまったように感じるのです。
もともとのJ−POPなどのCDがこういう音質なものだから圧縮しても、その
差が生じないので、iPodのような携帯装置が大ブームになりうる。
デジタル化というのは目覚ましい技術革新なのに、単に雑音がないというだけの
夢のない、せせこましいサウンドになってしまった。もったいない。

この曲の紹介で、こんなことを書いたのは、ザ・ピーナッツのキングレコードの
CDマスタリングでは殆どレコードのバランスと変らないので違和感が少ないが、
このベア・レーベルのCDは元のマスターにコンプレッサーをかけているような
サウンドに聴こえてしまうからです。

シャキッとした音の隈取りがあって鋭利な切れ味なので最初はドイツの人たちが
こういう響きを好むのかとも思ったが、アンカーさんが所持しているレコードを
聴いてみると当たりのソフトなヨーロッパ風味であることがわかった。
だから、2チェンネルにミックスダウンされたボーカルも入った状態のままで、
コンプレッサーをかけているのではないかと想像するのです。
そうだとすれば、これは少し乱暴でメリハリはあるが自然さが失われてしまう。
人の声はそういう加工に敏感でザ・ピーナッツの声音が硬質化してしまう。
ないものねだりかもしれないが、アナログレコードの音質で聴いてみたいものだ
とついつい願望を抱いてしまうのでした。
(2006.07.28記)