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♪月影のキューバ    1960.12
  MAGIC LUNA
   原曲:P.Welck,M.Merlo 作詞:音羽たかし 編曲:宮川泰
   演奏:シックスジョーズ
   録音:1960.08.06
    

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★

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「月影のキューバ」という曲からは、ふつうは森山加代子さんを思い浮かべるの
だろうと思います。シングル盤でもあったし、代表曲ともいえるでしょう。
 ♪月のキューバの 夜のことよ
こういう歌詞だったはずですね。ザ・ピーナッツ版は詩が違います。

ところが私はやはりLPにしか入っていないザ・ピーナッツのが大好きです。
同じことが「コーヒー・ルンバ」でもいえます。
世間では西田佐知子バージョンの支持が圧倒的だと思います。それは当然です。
それでもザ・ピーナッツのが大好きです。歌だけじゃなくアレンジもです。
話を「月影のキューバ」だけに絞りますが、歌だけはラジオなどで何度も聴いていて、
レコードも当然欲しかったのですが、このLPにしか入っていない曲が少ないために
親にはとても言い出せませんでした。レコードは非常に高価なものだったのです。
(写真をクリックして見れる画像は最近ネットオークションで入手したものです)

具体的には「月影のキューバ」と「恋のバルカローレ」がLPだけの収録曲でした。
レコード店には壁に飾ってあったりして、本当に欲しかったものです。
やがて自分で働いて買える時代が来たのですが、その時はもう廃盤で買えません。
それが突然、買えることになったのは、皮肉にもザ・ピーナッツの引退記念アルバム。
5枚組LPボックス「不滅のザ・ピーナッツ」になんと収録されていたのです。
小躍りして喜びました。おまけにステレオ録音だったのです。
当初のLPではモノラル盤であったのでもし買ってもステレオでは聴けないのでした。

このステレオ録音は素晴らしいと思いました。とても素敵な音質でした。
技術的には後年になるほど機材も技術も進歩したはずなのではありますが、好みで
言えば、ステレオ録音の始まった頃から暫くの数年間の音質というか音色が大好き。
これは私だけじゃなくクラシック録音の世界でも、この時期の録音が現在でも良いと
評価されていることと無縁とは思えない。なにかが失われたとしか思えません。

「月影のキューバ」はもちろんカバー曲です。オリジナルがあります。

曲目の解説もここに書いてありますので、ご覧下さい。(ご提供=EPITAPH様)
一方、カバーのカバーという珍しいレコードもあります。
カテリーナ・バレンテさんが、どうもザ・ピーナッツのレコードを聴いて録音を
したと思われる日本語バージョンのシングル盤を出しています。
もちろん日本でのみの発売でしょう。
英デッカ(日本名はロンドンレコード)は日本でのレーベル契約はキングなので、
系列的にもザ・ピーナッツとの親和性は高く、以後もずっと関係を深めてます。
(この盤のご提供も=EPITAPH様)

このどちらのレコードにも共通していることはリズムがとても簡潔なことです。
ノリやすいとでもいうのか、わかりやすく親しみやすいのです。
ところが異国のザ・ピーナッツ盤の方が凝っているというのか複雑なんです。
昔はこういうリズムのも聴いたように思いますが、最近では殆ど聴けません。
これは一体どういうリズムパターンなのでしょう。詳しい人は教えてください。

これと関係するのか、しないのか分からないのが、歌詞の一部です。
 ♪響く陽気な サンブンバ
ここです。「サンブンバ」とは一体何を表わしているのでしょう。
サンブンバというリズムがあるのでしょうか? サンとブンバなのかしら?
これをオリジナルよりも更に徹底して再現したということでしょうか?
もう調べても全然わからないので降参です。

そしてこのリズムをドラマーがお一人で叩き出しているのかもわからないなあ。
なんか手が4本くらい必要なほどにややこしい。
ここに松宮庄一郎さんのミュートプレイでの「ポコポコ」音がタイミング良く
左に入って来るのが魅力的。これがあるので楽しく聴けるように思います。
編成としては非常に小さくシックスジョーズのメンバーだけでやってる感じ。
なんだけど、空間に音の細かい粒子が妖精のように飛び回っているのが素敵。
ひょっとすると真空管アンプで録音した時代の贈り物なのかも知れない。

とにかく私にとって、10指に入るお気に入りの録音です。
理由は不明ですが、これを聴くと胸が切なくなってしまうのです。何故かなあ。
(2007.11.21記)