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♪南京豆売り   1959.04
The Peanut Vendor(El manicero)
   原曲作詞作曲:L.W.Gillbert・M.Simons・M.Sunshine
   訳詞:音羽たかし 編曲:宮川泰・内藤法美
   演奏:見砂直照と東京キューバンボーイズ
   録音:1959.03.30 音羽スタジオ
   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★モノ

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戦前からわが国でもよく知られている曲です。
このレコードでは新しくロカンボにリィアレンジ して歌われております。
二人のティーム名「ザ・ ピーナッツ」にちなんでテーマ・ソングとして
吹き込んだものです。
(レコードジャケットより)

同じくレコードジャケットにザ・ピーナッツの紹介が載っていました。
二輪の可愛い花 「ザ・ピーナッツ」  
プロフィール
今年(1959年)2月、日劇のコーラス・パレードでデビュー、一躍脚光を浴びるに
至ったこの姉妹はその外見が全く瓜二つであるばかりでなく、それぞれの声質、
音色、更にはヴィヴラート、エクスプレションの細部に至るまで、同人としか
思われ ないほどよく似ており、この二人のデュエットがかもしだす雰囲気は、
デリケートなニュアンスと新緑を思わせる新鮮な魅力とで、ふんわりと私達を
包んでくれます。
昭和16年名古屋生まれ、西陵学園卒業後名古屋で歌っているうちに認められて上京、
今回キング専属としてレコード界にデビューすることになったもの。
(姉−伊東エミー、妹−ユミー。写真のように顔も体もそっくりで、二人を見分け
るのは姉の目の横についているホクロだけ、ステージでは妹も同じ)ところにかき
ホクロをつけることにしている ので、両親でも間違えるほどです。)

伊東エミー、ユミーって誰のこと? といった疑問はありますが。(笑)
記載には他にも色々と混乱があるようです。
ジャケットでは、音羽たかし・宮川泰詩、なんて書いてありますけど、
宮川さんが作詞するわけがありませんよね。
CDの時代になってこのページのような表記に直されています。

内藤さんと二人で編曲するというのも妙ですが、ボーカルアレンジ担当と
考えれば理解出来ます。
内藤法美さんは越路吹雪さんの伴侶としても知られていますが、この頃は
東京キューバンボーイズのピアニスト兼アレンジャーであった筈です。
その東京キューバンボーイズはラテン・ビックバンドの最高峰です。
この「南京豆売り」などは十八番(おはこ)。得意中の得意でしょう。
伴奏をして頂くには勿体ないほどの豪華な布陣です。

この曲は物売りをテーマにした作品では最も有名なのではないでしょうか。
スタンダードナンバーというより古典というべきかもしれません。
リアルタイムで流行った曲としては「ウォーター・メロン・マン」という
西瓜売りの曲があったと思います。(たぶん60年代の演奏もの)
子供の頃に記憶には「毒消しゃいらんかね」という歌がありましたよ。
ラジオで流れてて毒消しって何だろうと思いましたが、腹痛のお薬のよう。

お巡りさんとかバスガール、サンドイッチマンや靴磨き、あの頃はどんな
お仕事にも職業に貴賤はないと歌にまでして働く事を誇りにしてたんだね。
世界にも稀な高品質の製品やおもてなしのサービス精神はここに起因した。
どんなお仕事にも誇りや愉しみがある。これは本当にそう思います。

変な脱線をしましたが、こちらに吹込み当日のスナップがあります。

「ピーナッツ」レコード界にデビュー

モノラル録音なのはちょっと残念ですが、この時代はまだSP盤さえ現役で
売っていたわけで、これは仕方がないでしょう。
モノラル盤ってジュークボックスの響きに似合うような気がします。
録音以上に音が拡がるような感じが合うように思えるのです。
最近はヘッドフォンで聴いているのでモノラルだと頭の芯で鳴る感じがして、
これはなんとかならないかなと思い、擬似ステレオ化してみました。

掲示板にも書いたのですが、ここに再録してみます。
疑似ステレオというのに以前から興味がありました。
というのはザ・ピーナッツデビュー直後のレコーディングがモノラルです。
これをなんとかステレオ化出来ないかと考えていたんです。
最近ですが、こういうサイトを見つけました。
http://www.nikep.net/simstereomaker.php
経緯は後で書きますが、結果は凄く良いです。
想像以上に素晴らしい。
早速、CD-Rに焼いてアルバムを作りました。

01可愛い花
02南京豆売り
03キサスキサス
04チャッキリ・チャチャチャ
05情熱の花
06米山さんから
07キエンセラ
08コメプリマ
09ある恋の物語
10乙女の祈り
11ばってんばってんばってんてん
12ずいずいずっころばし
13五木の子守唄
14よさこいマンボ
15金比羅船々
16通りゃんせ
17会津磐梯山
18そうらん節
19悲しき16才
20心の窓にともし灯を
21恋のバルカローレ
22今池音頭
23聖なる泉
24マハラモスラ
25幸せを呼ぼう
いやはやもう、どれもいいんですが、モスラシリーズが想像を絶します。
もうこの世のサウンドではない。なんなんだろう。唖然呆然です。
こんなに良いならもっと早くやれば良かったw

ここにどんな方法なのか書いてあります。
http://www.nikep.net/srdpty/index.php?/archives/69-unknown.html
聴覚の錯覚を利用、なんだそうです。
それでいいんです。音楽も音も脳で聴いているんですから。
モノラル音源からステレオのサウンドを作ることは出来ません。
だからこれは異空間風のサウンドとなっています。
ザ・ピーナッツがそれぞれ決まった位置に左右に定位しません。
位置が浮遊してるんです。現実にはありえない世界です。
なんだけどねえ、これが感動的に聞こえるのです。
正しくはないが目的に対しては忠実なのだと思います。
昔のモノラル蓄音機の銘機は何かを足して美音に仕上げています。
理性的な音じゃなく感情を揺さぶる音です。
落ち着けない音ですが凄く情感があって情け深い音になります。
楽しい曲はより楽しく、切々と歌っていればそれが伝わってくる。
フルトヴェングラーの伝説的名演「バイロイトの第9」の疑似ステレオ。
家にあるんだけどモノラル盤持ってないので違いがわかりません。

<疑似ステレオは死語?>
もう半世紀も前からあるのが疑似ステレオ化の技術。
方式には種類があるらしく一つしかない手段ではないみたいです。
ザ・ピーナッツのレコードでも極めて限定的ですが疑似ステレオEP盤が
発売されたことがありました。実際に所有しています。
それが添付画像のドーナッツ盤です。


ちゃんとSTEREOと表記されているのですが「悲しき16才」の再録は
しなかったのでモノラル録音だけの筈です。
実際に聴いてみると疑似ステレオですが、これ結構好きだったんです。
疑似ステレオのCDを発売したらいいのにと個人的には思うのですが、
実際に売ると後でクレームが怖いのではないかと思われます。
普通のステレオ録音とは趣が違いますからねえ。不良品扱いになる。
ですから個人用に自分でやるしかないでしょうね。

実際に私もやってみようと思った方に(そういう物好きは少ないw)
まず、モノラルの音源ファイルを作らねばなりません。
CDは左右の2トラックに同じデータが入ってるデュアルモノラル構造です。
なので単純にリッピングしてもモノラルの音源ファイルにはなりません。
ステレオ(2トラック)からモノラル(1トラック)へ加工します。
リッピングソフトなどにそういう機能がなければ出来ません。
私はCD-R機器を買った時にPEEKというソフトが付属していました。
無償添付なので簡易版で高度な機能はないのですがモノラル化はOKでした。
書き出し形式はWAVがいいでしょう。Windowsなどでも一般的だから。
(自機はMacintoshなのでAIFFからWAVへ変換しました)
これを先のサイトでアップロードします。数秒で終ります。
ステレオ化変化量のパラメータの指定が出来ます。
「8」が規定値で自然な感じらしいのですが、私は「15」でやりました。
だって面白い方がいいもんね。複数回チャレンジ可能で色々試した結果です。
好みの問題なのでどの値を採っても間違いじゃないと思います。
出来た疑似ステレオのファイルをダウンロードします。1分間くらいかな。
クラシックのような長大な曲はデータ量が多くて無理です。50MB以下。
次の曲に取りかかる時、リロード(サイトの再読込)が必要なようです。
これを繰り返してファイルをフォルダに集めたら普通にCD-R作成出来ます。
(Macintoshのソフトの場合、WAVからAIFFへ変換が必要かも)
オリジナルが一番だ、もわかりますが、面白く楽しいことも大事だよね。

「百読は一聴にしかず」と申します。(そんな諺はない)
よさこいマンボ疑似ステレオ(全曲は叱られそうなので途中まで)
http://peanuts2.sakura.ne.jp/gentei/yosakoi.mp3
ふと気づいたのですが、これステージのライブ音響に似てます。
昔の日劇の舞台を左側の客席で聴いている感じ。
実際、劇場ではレコードのようなステレオ定位では聞こえないんです。
でもモノラルでもなくて空間に音楽が拡散し広がって響き渡る。
そういう感じで聴くといいんですよ。
パワフルな東京キューバンボーイズの伴奏で熱唱するザ・ピーナッツです。
とっても生々しくないですか?

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♪南京豆売り   1962.01(日立ステレオ試聴盤より)
The Peanut Vendor(El manicero)
   原曲作詞作曲:L.W.Gillbert・M.Simons・M.Sunshine
   演奏:見砂直照と東京キューバンボーイズ
   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★

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この録音が存在する事は21世紀になるまで、そしてアンカーさんに
出会うまで全然知りませんでした。
というのはこのレコードは非売品で、日立のステレオの試聴盤として
付属していたものらしいのです。
我が家のステレオ電蓄はコロンビアだったのでコロンビアの試聴盤が
付いていました。(25センチLP)

家の中に舞台があるのは母が日本舞踊(坂東流)を教えていたからで、
妹も名取り(師範)です。昔だから当然、三味線も教えていました。
日本舞踊は歌に合わせて踊るのではなく、三味線に合わせるのです。
脱線しましたが、日立製作所のCMにザ・ピーナッツが歌ってますね。

♪キドカラーの歌

そうかと思えば、パイオニアのアンプの宣伝にも出ています。

パイオニアのカタログ

浮気者というわけじゃなく(笑)あまり深い関係はないのでしょう。
さあ、そんなことはどうでもいいので、曲の感想を書きましょう。

この録音はザ・ピーナッツの歌を聴くことがメインではありません。
ザ・ピーナッツの歌声はいい加減あとになってやっと登場します。
最初のゴジラ映画でのゴジラの登場と一緒でなかなか出てこない。
というのもザ・ピーナッツ・ファンの為のレコードではなくステレオ
の試聴の為にわざわざ録音した特殊な盤だからです。
むしろ主役は東京キューバンボーイズであり、そのパーカッション。
ラテン打楽器が左中右に分かれ、これでもかと多彩に打ち鳴らします。
どうだ、これがステレオだぞ、凄いだろ! そういう感じです。

ところが、これも悪くないなあ、と思います。
なにしろ録音が素晴らしく良い。(当たり前とも言えますが)
そして歌声が等身大であること。歌のボリュームが小さいのです。
でもそれでもザ・ピーナッツは輝けるのですよ。
傍役的な存在でもやはりザ・ピーナッツは凄いのです。
ビッグバンドの凄まじいエネルギーをバックにして堂々と歌います。
そういう感じがとてもかっこいい!

それとザ・ピーナッツの歌声にエコーやリバーブがかかっていない
ような感じがする。むしろオーケストラに響きが付加されてる感じ。
なので歌声が生々しい。クラシックのオペラ録音みたいだ。
曲としての芸術性みたいな、南京豆売りとはこういう楽曲ですよと
いうようなイメージがあり、こういうの絶対にありだよなと思う。
こういうレコードをおまけで付けちゃうのは凄い。
コロンビアの試聴盤は多彩なのだがわざわざ録音したわけじゃなく、
レーベルの代表アーティストの試聴カタログ風でした。

ザ・ピーナッツの隠れていた録音が次々に発掘されて、まず最初に
「ザ・ピーナッツ・レア・コレクション」
次にボックス収納で「ザ・ピーナッツ・モア・レア・コレクション」
最後にこの「ザ・ピーナッツ・スーパー・レア・コレクション」
いやはや凄い執念です。キングレコード、あんたは偉い!
(2015.07.10記)