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♪ペピト   1961.9.30
  PEPITO
   原曲:A.Truscott C.Taylor
   訳詞:音羽たかし 編曲:宮川泰
   演奏:シックスジョーズ ウイズ ラテンリズム
   コーラス:ブライト リズム ボーイズ
   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★

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この歌の起源とか、ザ・ピーナッツの歌のベースになっているオリジナルは?
そういう予備知識のようなものがあると一層楽しめますよね。
これに関してはアンカーさんの☆ピーナッツ・ホリデー☆記事が最高です。
玄関から入って、ディスコグラフィ→シングル盤一覧で見れます。
http://peanuts-holiday.jp/EB-7048.html

実に良く調べ上げたものです。執念のようなものを感じます。尊敬します。
もうひたすら脱帽するしかないのですが、謎を探る旅を続ける原動力に
なっているのは、きっとアンカーさんもこの歌が大好きなのでしょう。
この歌はたしかにA面曲ではあるのですが、B面曲の方が知られていて、
ザ・ヒット・パレードなどでもそちらがランクインしておりました。
それでもラジオの歌謡パレードなどではペピトの方も流れておりました。

この歌、この年の紅白歌合戦で水谷良恵さんが歌ってたんですねえ。
見てるはずなんだけど、覚えてませんでした。
私が知らないだけで、当時は世界的には相当な大ヒット曲らしいのです。

驚いたのは最近(年寄りの最近は5年10年前まで最近となります/笑)
NHKの離島ドキュメントを見ていたら定期連絡船のような生活用品を
売りに来る船が、はーい来ましたよ〜という合図に音楽を鳴らしながら
港にやってくるのですが。その音楽がなんとザ・ピーナッツのペピト!?
ペピトミコラソン、なんて流れると島の住民が集まってくるんです。
なんで、なんで、と目が点になっちゃいました。

いやはや、どこかに隠れペピトファンが潜んでいるものなのですねえ。
この音源は手軽に入手出来ない筈なんです。ベスト盤には入ってないし。
家内にこれはザ・ピーナッツのペピトって歌だよ、これは珍しいことだ
とか言うんだけど、16歳下の家内は、ザ・ピーナッツは有名でしょ、
音楽の授業でも歌ったよ、と言うではないか。
そ、そう、有名なんだけど、ペピトはね……まあ、いいか。

不思議というかザ・ピーナッツのレコードではまあ頻繁にあるのだけれど
レコード出しても売る気がない。流行らせようともしない曲が多いのだ。
これで商売とか営業とかやってるつもりなのかと呆れてしまうのでした。
きっと主にキングレコード系列の海外盤とかでザ・ピーナッツが歌ったら
素敵じゃないかと思える曲が見つかると協議してレコードを作るのかも。
だけど関係者が良く出来た、これはいい録音が出来たとか思ってもそれが
ヒットするかというと別問題で、身内で楽しんだだけみたいなことになる。
レコーディングすることに意義があるんだ、そんな感じですよね。
もうこれは流行商品じゃなくザ・ピーナッツ・ファンへの贈り物でしょう。

さて、演奏がシックスジョーズとなっていますが、基本的にジャズバンド。
なのでパーカッションなどのラテン部隊が必要となる。
応援ゲストがプラスされていますが、油断ならないのはシックスジョーズ。
このメンバーって実に凄いのですよ。なんでもやっちゃうんです。
某大企業が主催したお得意様への慰安ザ・ピーナッツ・ショウに潜入した
のですが、なんと、ザ・ピーナッツ急病のため内容を変更しますと掲示が……

エミさんが椎間板ヘルニアを痛めてしまって動けなかったのは後で知った。
ユミさんが最後に挨拶だけ出てきたけど、憔悴しきっていました。
ザ・ピーナッツ・ショウをザ・ピーナッツ抜きでどうやるのでしょう?
もう帰ろうかと思ったけど、暫くは見ておりました。
するとナベプロでスケジュールオフだった中島潤さんとかが臨時に出演。
フルバンドの演奏だけでも素晴らしいんです。
さて、そこでシックスジョーズ登場。
これがね〜凄いパフォーマンスやるんです。米軍キャンプなんかで鍛えた
お客さんを楽しませる演奏をやってのけるんです。
楽器持ち替えちゃったり、バイオリンをメンバー三人で弾きこなしちゃう。
80日間世界一周のテーマを演奏し、音楽世界旅行なんてのを繰り拡げる。

同様に凄いと思ったのがブルー・コメッツ。
親友と横浜・馬車道通りを歩いてたら横浜東宝会館で弘田三枝子ショウを
やっている。当日券ありますとのことで入場。
このショウのバックバンドがブルー・コメッツだった。(有名になる前)
弘田三枝子さんが衣装を変えたりする時間に演奏を聴かせるのだが、これが
もう滅茶苦茶上手い。後年グループサウンズなんてことになるのだけれど、
それって違うよね。とびきり上級のジャズバンドでしょう。
とにかく渡辺プロダクションの演奏陣の層の厚さは凄いものがあったのだ。
今の会社名はワタナベエンターテインメントというらしいけど、文字通り
タダのバンドじゃなくエンターテインメントなんですね。伝統かな?

とにかくシックスジョーズのメンバーの担当楽器じゃない音でも、うーん
もしかしてメンバーがやっちゃてるかもなんて考えちゃいますね。
あと、バックコーラスのブライト・リズム・ボーイズ。
ザ・ピーナッツの時代より以前に、浜村美智子とあの「バナナ・ボート」
を合唱してるんですが、紅白歌合戦は男女チームの区別が厳しくてこれを
歌うことが出来なかったらしいです。コーラス自体もその時代は対象外。
とにかくそんな時代からラテンのコーラスやってるグループらしいです。
まず考えうる最高の演奏やコーラスを配置した贅沢な録音でしょうね。

実際、聴いてて素晴らしいですよ。
ザ・ピーナッツって巻舌なんかも使えるんだなあ、と感心。
これは何語? (フタゴだ。→こういう古い駄洒落あったよね)
日本語の後で原語で歌うのっていいね。風土感があって曲に馴染むような。
何言ってるのかわからないけど、別に調べなくても愛の言葉が並んでいる
のに違いないでしょ。恋人に囁く言葉そのものなんて深い意味はないでしょ。
愛情って言葉じゃないものね。以心伝心でしょう。

Los Machucambos - Pepito (これがオリジナルかな?)
https://www.youtube.com/watch?v=AQysX5mE3I4

もう完全に丸パクリですが(笑)歌唱部分はかなり趣が違う気がします。
演奏は必要最小限のコンボで伴奏していますが、雰囲気がとても良いです。
編曲魔の宮川さんも、これはこの形にこそ味わいがあると感じたのかも?
楽譜もオリジナルを耳コピーしているのでしょうが、音楽の専門家ならば
そういうことは苦もなくやれるんでしょうか? そういうの凄いな。
この曲の場合、編曲というより採譜という感じでしょうか?
世界中のヒット曲を耳で聴いただけでスコアに出来てレコードを作る。
宮川さんの技は素人の私には離れ業のような気がします。
真似、真似っていうけど。真似するのだって大変じゃないのかな。

結果、やっぱり「ザ・ピーナッツのペピト」になってると思います。

(2015.07.13記)