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♪マイ・ホーム・タウン   1960.9.10
  MY HOME TOWN
   原曲:Paul Anka
   訳詞:音羽たかし 編曲:宮川泰
   演奏:シックスジョーズ ウイズ ストリングス
   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★

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この歌はポップスの大御所ポールアンカさんの自作自演曲が元祖です。
大ヒットというほどじゃないが帰郷した時のほっとした気分を素直に
歌った佳曲。どこか田園交響曲の風情。
なので凄い曲だぞと大騒ぎしちゃいけない。
ものども、鎮まれ鎮まれ〜です。じっくりほのぼのと聴く曲でしょう。
ポールアンカさんの歌はラジオでも良く流れておりました。
ザ・ピーナッツの歌と印象はあまり変わらなかったと思います。

家には彼のレコードやCDがないのでユーチューブで聴いてみようかな
と思ったら、いっぱいありました。
ところが全部、昔聴いたあのマイ・ホーム・タウンじゃないんです。
あれれ、おかしいな、まだそんなにボケてないと思うんだが、それに
たとえボケても昔のことは良く覚えてるというし。大昔だもんね。
こういう時の謎解きに役立つのが☆ピーナッツ・ホリデー☆の記事。

ポールアンカさんはレコード会社を移籍していたんですね。
それで過去のヒット曲も再レコーディングしてたってわけなんです。
愛情をこめて再編曲したら、また新しい魅力が生まれることもある。
だけどこの曲の場合そうじゃない。クソです。聴くのは時間の無駄。
なぜか新しいバージョンばかりがユーチューブに上がってる。
古いのも存在してた形跡があるが、権利者によって削除されている。
どこかに旧バージョンのCDとかあるかも知れないがどうでもいいや。
ポールアンカさんが生れ育ったカナダ首都オタワの景色でもどうぞ。


いいところだね〜これがポールアンカさんのマイ・ホーム・タウンなのか。

というわけで、マイ・ホーム・タウンの曲の真髄を聴きたいのであれば
むしろザ・ピーナッツ盤の方が本命に近いと言わざるをえません。

話は違うが「唐は日本にあり」というらしい。
古都京都には唐時代の歴史的建造物や文化遺産が残っている。多少は
日本的アレンジがあるのだろうが基本的に遣唐使が伝えたり唐の工人を
直に招いて作って頂いたりもしている。メンテナンスも継承してる。


島国なので他民族が押し寄せて破壊されたり革命で根絶やしにされたり
しなかったので温存されているらしい。

ザ・ピーナッツはバタ臭い歌手との認識が現役当時は一般的であった。
しかし、現時点で遡及して観察すればそれは一面に過ぎないと分かる。
ザ・ピーナッツは典型的な日本文化の化身であろう。
日本は西洋と東洋から伝わった文化を吸収し「和魂洋才」の考え方で
思想と技術をバランス良く涵養してきた国家である。
これがそのままザ・ピーナッツの芸能活動にも当てはまるのだ。

ポップスカバーから和製ポップス、民謡や童謡・唱歌、賛美歌も歌う。
日本調のオリジナルもあれば演歌風もある。国民歌謡風も社会派風も。
ラテンも歌えばC/Wもシャンソンもスクリーン音楽もロックもある。
どのジャンルかもわからないモスラの歌もあればプログレまで歌う。
また踊りも凄く上手い。歌手のレベルではないと賞賛されている。
更にファッションセンスが抜群である。その衣装は現時点でも見事だ。
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。(褒め過ぎ?/笑)
そうなのだ。ザ・ピーナッツの歩く姿はそれだけで洗練されていた。

これらは一日にして成ったわけじゃない。修行の賜物である筈だ。
スタイルだって最初は太っちょの少女だった。(それも可愛いけど)
この曲にはたどたどしいセリフが入っている。
これがまた小学生が作文を読んでいるみたいな危なっかしい感じだ。
だけど私はここがたまらなく愛おしいのです。
ニッポン放送「ザ・ピーナッツ」のトーク。本当に下手だったんだ。
ザ・ピーナッツにはスピーチが向かないなあ、と思った。
多分、常滑、名古屋のアクセント・イントネーションが抜けないで
凄く困ってたのではないかと思う。話すことに自信がなかったのか?

だが、そういう面も時間がかかったかも知れないが克服しちゃった。
映画にも出たし、京都言葉まで使ったし、コントも出来るのだった。
ザ・ヒット・パレードでは決まりきったセリフしか言わなかったが、
シャボン玉ホリデーではバッチリ東京の人らしくなっていたのだ。
というわけで、この歌の聞き所はセリフなのでもあります。
なんだこれ要らないじゃないか、なんて思わないで聞いてください。
もう本当に健気で可愛らしくって、自信たっぷりの歌声との対比が
切ないくらいに、よし私が応援しちゃおうという気持にさせます。

まだ19歳のザ・ピーナッツ。一生懸命頑張ってるんです!

(2015.07.17記)