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♪初恋のところ    1962.6.10
  E' QUI(エ・クイ)
   作詞:A.Amurri 作曲:G.Ferrio
   訳詞:あらかはひろし 編曲:宮川 泰
   演奏:アンサンブル・レオン
      コーラス:ブライト・リズム・ボーイズ
    

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★ ★★★★ ★★★★

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典型的なカンツォーネ風のドラマチックな歌で、いかにも
サンレモ音楽祭あたりで歌われたような感じですが……
そういう記録はありません。いいメロディーだな~とは
思いますし、ピーナッツも懸命に熱唱してて、この歌のこの
歌唱だけの味わいは勿論あるのですが私の愛聴曲ではない。

この歌、当時はもちろん、現在でもどういう素姓の曲なのか
さっぱりわかりませんでした。
レコード随想を書くのに何もわかんな~い、じゃマズイかな。
そう思って怠け者の私にしては珍しく凄く懸命にネット検索。
まず、ヒントが非常に少ない。
レコードジャケットに作詞・作曲者の名前が出ていない。
CDの解説コメントも一切見当たらない。スルーしちゃってる。
おいおい、ふつう何か書いておくべきものじゃないの?

紙媒体やネット情報じゃない何か……昔から刑事ドラマで
「捜査に行き詰まったら現場に戻るんだ」とベテラン刑事が
言いますよね。現場百回……現場にこそ解決の糸口がある。
この場合の現場とは半世紀前に買ったレコード盤なのでした。
レコード盤には存在しててCDやネット配信で失われた情報。
それはレコード盤のラベルのみに印刷された謎の文字列……
「Amuli,Ferrio」これは作詞・作曲者じゃないのかな~?

Amuliの方はなんにも引っ掛からなかったのですが、Ferrioは
ジャンニ・フェッリオという著名な音楽家ではないのかしら。
(Amuliは綴りが違っていたようで、Amurriらしい)
更に「E,QUI」との関連を調べたら、遂に繋がったのです。
ベティー・クルティス(Betty Curtis)という伊・女性歌手が
1962年3月に「初恋のところ」をキングレコード洋楽レーベルで
リリースしておりました。ザ・ピーナッツはこれのカバーか?
また、この曲はイタリア映画「豊かなる成熟」というなにやら
エッチそうな題名で、実際そうらしい(笑)のですが、この
映画は音楽がジャンニ・フェッリオでテーマの一つが「E'QUI」。

さて「E'QUI(エ・クイ)」とはどういう意味なのでしょう?
それは歌詞の中にあったのです。

♪あなたに逢い くちづけした 思い出の道 それはここ

そうなんです「ここ」なんです。たぶん合ってると思います。
ここ→初恋のところ
日本語タイトルが「ここ」じゃ、ニワトリみたいなので……。
さあ~すべて繋がりました。右京さんの得意セリフ(笑)。

ところで、また音楽とは関係ない疑問がレコード盤にあった。
それはお値段。ずっと300円だったのに、この盤から290円。
なんで10円安くなったのだろう?
13%だった筈だが……物品税の税率でも下がったのだろうか?
歌謡曲・ポップスのレコードは贅沢品の扱いだったからな~。
その後、330円、370円、400円と物価に比例して値上がりし、
引退時のシングル盤は500円でしたね。

わけがわからないのがデビュー盤「可愛い花」の350円。
私が買ったのはデビュー直後ではなく昭和36年でした。
他のシングル盤と一緒に買ったのに300円の倍数と違った。
お店の人が一枚だけ値段が違うと言ってた。
「可愛い花」だけが青いジャケットだった。青いのが特別?
アンコール盤という妙な枠付けのキングレコードのズルイ商法?
他の歌手の78回転SP盤用録音を45回転EP盤で再リリースする
アンコール盤というシリーズに特別な高価格を付けたのだと
いうことが複数のネット情報に記録されているのだが……

事実とするとこんなの随分と異様なボッタクリ商法である。
旧録音を新しい媒体で再発売するのに何故コストがかかる?
第一「可愛い花」の78回転SP盤など存在したのだろうか?
デビュー盤が即アンコール盤とは??????????
矛盾だらけで疑問符が幾つあっても足りないくらいだ。
ザ・ピーナッツは……このデビュー盤は……絶対に売れるはず。
そういう確信があったのだろう。凄い歌手だ。凄い会社だ。

ついでにズルい価格付け例を取り上げると、モノラル盤と
ステレオ盤の価格差。ステレオはEP盤で50円、LP盤で200円
モノラル盤より高価であった。これは小賢しい企みであった。
機材、技術、製造、人件費、材料費などなどステレオ盤化で
増えるコストなど一円も無い筈である。実に汚ない商売。
やがてステレオ化は順調に進みモノラル盤と同価格に(怒)。

最近ではCDとSACDの価格差が問題だと思う。
CD製造よりもあのような価格差のコストがかかるのだろうか?
DVDとBlu-rayもしかり、実際には製造コストなんて同程度の
ものなのではないのか?
知識はないので裏付けもできないが、折角良い規格なのだから
どんどん普及するような値付けも考慮した方が良いと思う。
(2018.2.18投稿)