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♪レモンのキッス    1962.11.20
   作詞:B.Manning
   作曲:A.Ponchielli
   訳詞:みナみカズみ
   編曲:宮川 泰
   演奏:オールスターズ・レオン
    

   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★★

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フランク・シナトラの娘さんナンシー・シナトラが歌って
日本では昭和37年9月に発売された。ザ・ピーナッツは二ヶ月
遅れでのカバー盤となります。ピーナッツ以外にも多くの
若手ポピュラー女性歌手が競って歌い、ビジュアル的には
ベニ・シスターズが良い感じだったが、ピーナッツ盤が最も
売れ行きが良かったようです。でも、データは見たことなし。

原曲は明らかにポンキエッリ作曲による歌劇ジョコンダの
劇中歌「時の踊り」であり、ディズニー映画ファンタジアで
古くから日本でもお馴染みなのだが、それからの引用だとは
正式に表明されていない。まあ、違うといえば違う(笑)
「情熱の花」でもベートーヴェン作曲とは書いてないしね。

オリジナルのナンシー・シナトラ盤とは伴奏がかなり違う。
なんの根拠もない私の推察ですが、これは編曲作業の合理化、
効率化を宮川さんが試みたのではないでしょうか?
どういう意味? と不審に思われるでしょうね。

ザ・ピーナッツに限らずポップス関係のレコード録音って
ステージやテレビ番組で歌う時の伴奏とは違ってますよね。
グループサウンズやキャンディーズの時代でもそうでしょ。
レコーディング用の楽器編成はその曲のレコードとしての
楽曲の良さを100%活かすようにバックコーラスなども付く。
でもステージ、TVスタジオでは他の曲や他ジャンルとの
演奏陣の共有となり、殆どがビックバンドになっちゃう。

だから、今までもこれからも宮川さんは最低限二通りの
編曲をしなけりゃならなかった。
レコードの録音は直ぐだし、ザ・ヒットパレードの放送に
間に合わせるようにスカイ・ライナーズが演奏する譜面も
書かなきゃいけない。ハッスルコピーの方も待ってる……
そうだ! ビッグバンドでレコードも録音しちゃおう!
これだ!俺って天才……と宮川先生は思いましたとさ。??
ウソですよ。勿論ぜーんぶフィクションですよ(笑)。

ナンシー・シナトラの方がいいというご意見が当時も多く、
まあオリジナルだからね。と言っても本国じゃ空振りとか。
可愛いらしく歌ってるけど、ネバネ〜バとネバネバ粘着質。
私、英語がとんでもなく苦手なので何歌ってるかわかんない。
ネットの翻訳見るとジャニーという彼氏にもう一人彼女が
いるので、私の方がいいのに、私を気に入って〜と迫る。
そういう歌らしい。しょーもない歌だ。(笑)

日本でだけ流行った、というポップスが結構な数あるようだ。
やっぱりそれは日本語の歌詞書いた人が素晴らしいからだ!
元の歌詞にはレモンなんて言葉は出てこない。これですよ。
「ミルキーはママの味」「初恋の味・カルピス」この類い。
カルピスの味って乳酸菌飲料だから甘酸っぱい。初恋も
胸がキューンとして甘酸っぱいような想いを抱きますよね。
レモンは酸っぱいだけじゃないの?
でもね〜カップルでレモンスカッシュ飲んだら甘いんでしょ。

そういえば昔、大阪に出張した時、あっちの人、レスカって
注文してたね。おお、省略形か、ま、それはありだね。
わかんないのは、レイコだよ。玲子、麗子、彼女の名??
これアイスコーヒーの事なんだ。冷コ。吃驚したなあもう。

脱線しましたが、とにかくみナみカズみさんの詞がいいの。
訳詞じゃない作詞だ。この歌は詞で売れたんじゃないかしら?
タイトルも詞から生まれたのでしょうね。きっと。
みナみカズみさんは後年の安井かずみさん。
安井かずみさんのこと、余り知らないのでネットで調べた。
横浜市南区のアパートに住んでいたのでみナみカズみとか。
色々分かったんだけど、安井かずみさんのことを中傷する
グダグダなことを書いてる人がいるのでビックリした。

大ヒット曲の「私の城下町」の最初の歌詞……
 ♪格子戸をくぐり抜け 見上げる夕焼けの空に
ここ、格子戸をくぐり抜けられるのはモグラか鼠だけだろ。
格子戸を開けて門をくぐり抜けるのであって格子戸を潜る
わけじゃない、デタラメな歌詞だというわけだ。
まあそう言われてみればそうだが、気づかなかったなあ。
だからといって才能なんか無い、とか、性格が悪いとか、
素行がとか人間性が云々……なんでそういうことになるの?

安井さんは感覚的で情緒的なんだと思う。鋭敏なんですね。
だからレモンのキッスという不思議な組み合わせを生み出した。
「明日になれば」は、タバコのけむりであの人を想う……です。
煙で……彼のことを想う……どういうことでしょう。
おそらく買い置きで彼の吸っている銘柄のタバコがあって、
ふとそれをくゆらせてみた……その香りで彼の居ない寂しさを
感じたんじゃないかしら。勝手に行間を読んでしまった。

ビッグバンドの響きが好きな私にはこの伴奏カッコいい。
でもちょっと抑制を効かせちゃったかな? という感じも。
レコードへの録音だからフォルテシモはレベル超え懸念。
日劇のステージでスマイリー小原とスカイライナーズが
バックで演った時は凄い迫力でブラスがバリバリ鳴ってた。
ドラムのダンスカタンタンで始まる間奏、あそこが凄エ〜。
スマイリーさんが前方へしゃしゃり出て、それ行け〜と
バンドを鼓舞しながらステップを踏む指揮。良かったな〜。
これって自分の楽団を指揮するペレスプラードさんと一緒。
行け行け〜と気合をかけまくってる。舞台だとそうやってた。

ところで、ザ・ピーナッツや植木等さんは評価が高いけど、
スマイリー小原さんは後年余り話題になったりしないよね。
ザ・ピーナッツと植木等の歌は誰がやってもあのレベルに
達するのが無理なようにスマイリー小原さんのスマートな
踊る指揮姿は誰も真似出来ない。やろうとしないけど(笑)。
日劇のショーではオーケストラピットに入っていて指揮を
踊らずにやっていたのですが、前の方の座席で注目してると
凄く真剣にやってる。色々目配りしている様子でした。
私が思うに日劇ステージのパンフレットを見ると進行という
スタッフが居ない。実際の現場第一線の進行は音楽なのだ。
だからスマイリーさんが実質的に進行責任者ではないか?
ステージでの景・場面切り替えは間髪を入れずだ。
和やかに微笑んでる写真が多いが、怖い面も……そんな気が。

蛇足:
日劇のオーケストラピットはこんな感じ……(笑)


日劇オーケストラは多分フルバンド構成だと思うのだけど、
これとスカイライナーズが共演とは贅沢すぎるよな〜。
あの時代、NHK紅白歌合戦で紅組白組でビックバンド二組。
第20回では前半後半でバンド入れ替えでなんとまあ四組!
更にオーケストラピットに東京放送管弦楽団が常在。
音楽イベントはこういう豪華さがあってもいいよね〜。

蛇足の蛇足:
(紅白歌合戦の演奏楽団/初回登場順)
NHK東京放送管弦楽団
NHKオールスターズ
渡辺弘とスター・ダスターズ
原信夫とシャープス&フラッツ
有馬徹とノーチェ・クバーナ
宮間利之とニュー・ハード
小野満とスイング・ビーバーズ
ダン池田とニューブリード(バンマスはその後 小田啓義)
三原綱木とザ・ニューブリード(楽団名変更/以後常演)
豊岡豊とスイング・フェイス
岡本章生とゲイスターズ

(2018.03.03記)