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トンボラ    1963.02.20
  TOMBOLA
   訳詞:岩谷時子 作詩:A.Guijarro 作曲:A.Alguero 編曲:宮川泰
   演奏:オールスターズ・レオン

  

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★ ★★★★ ★★★★*

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この歌のオリジナルはこちら。モナ・ベルが歌っています。
モナ・ベルってノラ・エスコバルという別名もあるようです。
(YouTubeは何時消えるかわからないので二つ貼ります)
https://m.youtube.com/watch?v=ez4sE8lldMU
https://m.youtube.com/watch?v=KnbWhSOIGJ0

特に上の映像がトンボラそのものも説明出来てるようです。
つまり、あのビンゴゲームに似たようなものらしいのです。
岩谷時子さんの訳詞では、廻るルーレット、楽しいルーレット
となってますが、そのカジノゲームとは明らかに違います。
トンボラというイタリアのゲームのビジュアル的なイメージが
伝わりにくいと考えて、ルーレットに置き換えているのではと
私は推察します。廻るという感覚は一緒ですからね。
そもそも似ている「ビンゴ」自体、私が勤め人になってから
宴会ゲームでお目にかかったものなので、トンボラの意味は
昭和38年時点では日本では全然わからなかった筈です。

歌詞はシングル盤のジャケット裏画像でご覧頂けますが、
印刷原稿のミスと思われる箇所がありますね。
初っ端の「ひとの夜はトンボラ」は「人の世はトンボラ」が
正しいと思います。人生はゲームのように流転する意味で。
それから、レコードの発売日は、昭和38年2月20日となって
おりますが、実際には1月にレコード店に出ていた筈です。
高校時代は帰路に駅から商店街のレコード店に毎日のように
立ち寄ってました。もちろん、ザ・ピーナッツのレコードが
お目当てです。新譜情報なんかより現物が先に店頭に出るから。
ザ・ピーナッツのレコード以外はどうなのか知りません。

レコード買うと来月発売予定の載った小冊子を袋に入れて
くれるのですが、そこにはもう買った盤が掲載されてて、
レコードの発売日とは雑誌の何月号と同じことをやってい
るのだな、と私は理解しておりました。
ですから、現在正式記録とされている発売日データは実は
もっと早く売られていたと思われた方が良いと思います。
この年のお正月の「初笑い・無責任だよピーナッツ」という
日劇公演はお正月の第二週ですが「トンボラ」を歌ってます。
http://peanuts2.sakura.ne.jp/omotya/38hatu.html
翌月の20日発売の歌をこのタイミングでは歌わないでしょ。

さて、曲と歌の話に進みましょう。
曲のアレンジはオリジナルの持ち味そのままという感じです。
但しデッドコピーじゃなく再構築しております。
クラシックじゃないので演奏楽譜が入手不可能ということも
あるのでしょうが、宮川さんがレコードをフムフムと聴いて
自分流儀で伴奏を作ったのでしょう。
オリジナルはビッグバンド構成で軽快にカッコ良くやってる。
そのまんまでも十二分にグッドですが、サックス隊を外して
弦楽器を入れてちょっと違う味付けに変えています。
バックの旋律はある意味ダサいかもしれないけど分り易い
スタイルに単純化した感じで耳馴染み良く変えています。
カウベルで、コ・コ・コ・コと番号玉やらサイコロが廻って
いる感じを付加してるのが良いアイディアです。やるなあ。

モナ・ベルさんは歌が相当上手いですねえ。ノリがいいです。
チリ出身でラテン世界で大評判らしいのですが、私は無知なので
全くと言ってよいほど知りません。ま、そういうのが殆どですが。
この歌ってなんか急がしくて音符が隙間なく並んでいる感じで
息継ぎするのが大変そうですが、モナ・ベルは一人なんだけど
ザ・ピーナッツは二人でソロのバトルタッチでその点は楽ちん。

リズムをちょっと動かすような高度なノリを生むテクニックで
天性の個人技で歌うモナ・ベルに対しチームワークで強弱の
多彩さを付加し、ダイナミックな楽しさを活かすザ・ピーナッツ。
カバーポップスならお任せという面が大いに発揮されて、さすが。
深刻な悲恋のバラードも上手に歌うザ・ピーナッツなのですが
やっぱり弾けるような明るく愉快な歌を歌うと素晴らしいです。
もう、ヒットするとかしないとか、そういうのどうでもよい事。
特に半世紀以上も過ぎた今、聴くとこういうのはご馳走ですよ。

さて、このトンボラのステージでのお披露目ですが、前述した
日劇のお正月公演の第一景「私と私」で歌われました。
映画の私と私でこの歌は綺麗なドレス姿で歌われたのですが、
ステージでもドレッシーな衣装でした。そこからトンボラへと
切り替わる際に、歌舞伎でいう「引き抜き」が行われました。
つまり、着替えるのではなく、上の衣装をさっと剥がすのです。
これはね、ちょっとビックリしましたよ。
中にキンキラキンの衣装を着込んでいたんですねえ。
なんか胸の辺りが膨らんでいて、ちょっと盛り上げ過ぎだなと
思ってたんですが(どういう観察をしてるんだ/笑)。
そういう仕掛けだったとは。これ、カッコ良かったなあ。
スマイリー小原とスカイライナーズの演奏もいつも書くけど
もう最高でね〜。スマイリーさんのダンス指揮もこの曲だと
ピッタリはまってステージ効果抜群。夢のようでした。

(2019.03.10投稿)