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♪ルナ・ナポリターナ 　　　　1960.12
　　LUNA NAPOLETANA （夢のナポリターナ）
　　　原曲：Donpa-Gautschy　作詞：音羽たかし　編曲：宮川泰
　　　演奏：シックスジョーズ
　　　

一般知名度	私的愛好度	音楽的評価	音響的美感
★★★	★★★★★	★★★★★	★★★★★

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この曲についての解説がレコードジャケットの裏面に載っています。
　題名が示す通り“ナポリの月”を舞台に甘い恋の涙を流す少女の
　感傷を描いた佳曲です。
実にあっさりとした記述ですが、たしかにそれに尽きる感じですね。

Ｂ面の曲が同じく恋の歌なのですが、キューバの寒村を舞台にしているのに
たいそう賑やかな町中のカーニバルのような伴奏が付いているのに対して、
こちらの方がむしろ寒村じゃないのかと思われるような小さな編成の演奏。
たぶん、バイアの小道はお祭りの夕暮時で、こちらは真夜中なのでしょう。
もう本当に月明かりしかなく、その月の光に切ない乙女の恋心が映える。

シックス・ジョーズ・ウイズ・ストリングスと表記されていたのですが
ストリングスというのはバイオリンなどの弦楽器群であり、この録音では
そういう音は入っていないので、これは誤りです。なので省きました。

この曲には「夢のナポリターナ」という副タイトルが付いております。
それは原曲のレコードの日本での発売タイトルだからだと思います。
これがそうです↓　ザ・ピーナッツ以外の盤は全てこのタイトル。
https://www.youtube.com/watch?v=1zTcgqCZH6Y
他にも日本の歌手がカバーしていますが聞き惚れるような出来ではない。
基本的に大袈裟な歌ではなく、インパクトはない淡々とした歌なんです。

ザ・ピーナッツの歌も華麗ではなく清楚で可愛らしい。
　♪お月様　その胸の悲しみを知りつつ
　　なぜ今宵も　冷たく　ナポリの空に……
　　初めてのくちづけを　そっと見てた　お月様なのに
　　いまいちど　やさしく　愛のその光を……
短い歌詞です。でもこれで十分思いは伝わってきます。
気持は熱いけど、空気は冷たく、そして静寂に包まれているようです。
そうなんです、静かなんです。

バックに何もない、静寂の中からギターが一人ぽっちで弾き始めます。
心細い感じが出ています。柔らかい音色が暗い空に消えて行く感じ。

松宮庄一郎さんのフルアコースティック（電気）ギターがイントロ。
それにマンドリンが歌に寄り添います。ビブラフォンの和音も鳴ってます。
ウッドベースもソフトにリズムを刻みます。そしてドラム。

このドラムはきっとワイヤーブラシを使っています。あくまで弱音で。
編成はたったのこれだけ。静かな静かな音楽です。だけど美しい！
こういう演奏や歌唱は難しいかもしれません。ごまかしようがない。

しかしこの頃の歌は世界旅行みたいにあちこちを題材にしているが
月影のナポリに始まり、ルナ・ナポリターナ、ナポリは恋人と歌ってて
よほどナポリが行ってみたい観光地だったのでしょう。
私は昭和４０年にスパゲティ・ナポリタンというのを喫茶店で食べた。
あら、これ旨いと思った。それからは良く食べた。
これってそんなに以前からあったとも思えないのでナポリへの憧れが
そういうネーミングになったんじゃんないかしら？

それとなんでスパゲティ・ナポリターナとは言わなかったのか不思議。
ナポリターナはナポリのとか、ナポリ風とかいうことでしょう。
ナポリタンじゃナポリの人みたいじゃない。よくわかりません。
どうやら適当な名付け方らしくナポリ料理でもないようです。
こっちはそう思って食べてたんですけど。まあ美味しければいいや。
ザ・ピーナッツさんだってこの頃ヨーロッパにはまだ行ってないしね。

先程の「夢のナポリターナ」という一般使用題名には疑問が残りますね。
ルナというのは月のことですから、夢じゃないでしょう。謎が残ります。
ムーンとルナは何が違うのか？

もっと脱線するけど、ちょっとおつき合い下さい。
美少女戦士セーラームーンというのをご存知だと思います。
元は少女雑誌の連載漫画でテレビアニメや映画にもなりました。
主役は月野うさぎことセーラームーンですが、猫の相棒がルナなんです。

このルナも太陽系外の人形生命体なんですが猫は世をしのぶ仮の姿です。
一度だけ番外映画で人間の男性に片思いしてある時空の狭間で一日だけ
人間の姿になれたことがあるんですが、所詮猫なので思いは叶いません。
（ここはけっこう泣けるとこなんです）
このようにルナは特殊な存在なのです。ムーンとルナは違うんです。

ルナというとどこか実体が違い、現身と幻身のような対比があるのかも？
「夢の月のナポリターナ」と考えるとファンタジックで納得です。
アニメ美少女戦士セーラームーンの次回予告の決めセリフ。
「月の光は愛のメッセージ」
これこそが、この歌にぴったりの感覚だと思います。凄い考察でした。
（６８歳の爺さんが書く内容じゃないよな／笑）

（2015.07.19記）