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♪別れのワルツ(螢の光)  1960.10
AULD LANG SYNE(Old long ago)
   原曲:スコットランド民謡 作詞:稻垣千穎
  編曲:宮川 泰(Vocal parts)、石川皓也
  演奏:キング・シンフォネット
   

   翌年発売の新ジャケット

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★★★ ★★★★★ ★★★★★

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もうクリスマスは終わったよ〜と言われそうですが、クリスマス曲としてでなく、
ゆく年にお別れをするという意図で、また特別跳び番です。
キングレコードで「螢の光のすべて」とかいう同じ曲を30曲も収録したものを
出したことがあったらしいですが、ピーナッツのは入ってませんでした。(笑)

♪螢の光 窓の雪 書(ふみ)よむ月日 重ねつゝ
 いつしか年も すぎの戸を 明けてぞ今朝は 別れゆく
♪とまるも行くも 限りとて かたみに思ふ 千萬(ちよろづ)の
 心のはしを 一言に 幸(さき)くとばかり 歌ふなり

なんでいきなり歌詞を書いたのかといいますと、子供の頃から何気なく歌っていた
歌詞って、意味がわからなくて歌っていたことが多かったような気がするんです。
「赤とんぼ」なんかでも、「おわれてみたのは」という歌詞は、漠然と、とんぼを
追いかけているように感じたけど、そうじゃなくて「おんぶされて見た」ことが
後でわかって、じゃ、誰におんぶしてもらっていたのだろう? と思い至って、
「十五でねえやは嫁に行き」だから、子守り奉公にでも来ていた少女をお姉さんと
慕っていたのかな、便りも絶えはてた、というのは淋しいな〜とか思うと、ああ、
この歌は単に赤とんぼを歌ってるんじゃないんだとか思いました。(遅過ぎる:笑)

歌詞をじっくり見ますと、小学生の時に先生からこの歌詞の意味を教えてもらった
ことを思い出します。たしかに解説がないと、子供には意味がわかりませんよね。
螢の光や窓の雪の明るさで本当に本が読めるのか疑問ですが、明かりさえもない、
それでも勉強しようとする、そういう向学心が日本を支えて来たのだと感じます。
学校では、日本は資源が何もない国なんだから、他の国の人よりうんと勉強して、
勤勉に働かなくては食べていけないのだ、と、よく教わりました。

一番の歌詞は、過ぎを杉に引っ掛けているだけですから、まあ、わかります。
問題は、二番の歌詞、かたみに思う、です。これは教えてもらってない?
「かたみ」には、種類があります。
 片身=半分の身だから、これは違うと思いますね。
 形見=居なくなった人を思いだす品物だから、これも違うなあ。
 肩身=肩身が狭い、という風に、面目、体面だから、これも違うかな?
 互 =たがいに、という意味だから、これが当選のようです。
二番の歌詞の意訳(笑)は、
「ここでお別れをしなければならないのだけれども、お互いに幸せに暮らして欲しい
という万感の思いを、この歌にこめて歌いましょう」ということでしょうか?
いやあ、いい歌詞ですね。(今頃感心してどうする:笑)

なんで急に文学青年になってしまったのかといいますと、ザ・ピーナッツの歌声が、
あまりにも可憐で清々しいからです。美中の美とでもいいましょうか。
商品としてのレコードを作るのだし、流行歌手としてのアイデンティを確立させる
ためにも、普通なら、もっと媚びた歌い方になるであろうに、童謡歌手よりも更に
何の邪念も感じられないこの歌唱には心底感心し、感動さえ覚えてしまいます。
「清しこの夜」のB面ですが、この一枚のレコードは正に天使の歌声としか思えない。
数々のヒット曲もザ・ピーナッツの魅力には違いありませんが、このような地味な
カバー曲にこそ、その真価が発揮されているという見方も的外れではないと思います。

編曲はA面と同じ石川皓也さん。餅は餅屋といいますが宮川先生ではこうはいかない
であろうという実に生真面目な誠実そのものの普遍的なアレンジです。
演奏も必要充分な編成の弦を主体として大変に丁寧に歌を支えていて、間奏部分では
爽やかな転調が技ありで決まっています。歌唱へ戻るところが、またこれがいい。
実に倍音豊かな録音です。きめ細かい音を大事に大切に収録しています。
ピーナッツの声も、バイオリンもチェロもフルートも儚げで神秘的に甘美であります。
どんなに録音機材が革新され性能が向上しても録音するのは人間です。録音技師です。
技が決め手なのであるし、当時の12.5ミリ幅テープへの38センチ/秒の録音でも
その品質は本格的ステレオ再生装置での鑑賞に耐える素晴らしいクオリティなのです。
私は何の躊躇いもなく、これぞ録音芸術の粋と言えると思います。

今年の連載犬は今日でお終いです。レスをお寄せ頂いた方、感想をメールでくれた方、
そっと愛読してくれている方、一年間ありがとうございました!!
みなさま良いお年をお迎えください。

投稿日:2002/12/28



<アンカーさんよりレス> 2002/12/29


“清しこの夜”と“別れのワルツ”は聴いていると本当に心が洗われるようです。
なんだか自分の邪念をピーナッツの歌声が清めてくれる、そんな感じでしょうか。
美しすぎます。

インファントさん、
今年一年連載ありがとうございました。
とても楽しかったです。
特に編曲、演奏、オーケストラのことなど勉強になりました。
これからもいろいろ教えてくださいね。