福音電気(現パイオニア)のアンプ・カタログ。 ご提供=リンタロウ様。感謝!!(2009.01.14更新)

パイオニア株式会社がまだ福音電気の社名であった頃の製品カタログです。
何時頃の物だろうということになりますが、これは容易に推定出来るのです。
ザ・ピーナッツのデビューが昭和34年で、福音電気の社名変更が昭和36年。
つまり、この期間内であることに間違いありません。

キリスト教関係が語源に決まっていますが、福音という社名は素敵ですね。
福音双生児歌手というイメージがザ・ピーナッツに合ってると私は思いますし。
後年は、キングレコード→講談社→日立、という資本関係からだと思いますが
日立のステレオのCMキャラとしての登場機会が多くなったと思いますが、
パイオニアの宣伝にザ・ピーナッツが使われたことが、なんとなく誇らし気な
感じを持つ私は変でしょうか?

時代が時代なので、現時点では魅力を感じない構成のアンプです。
当時は、レシーバーと呼称する代物です。受信機付きのアンプという意味。
AM放送しか受信出来ないのにダブルチューナーになっていますが、当時は
NHK第1と第2で立体音楽堂という番組があり、また文化放送とニッポン放送で
キング・ステレオアワー(だったと思う)という日曜日午後の1時間番組もあり、
こういう放送でステレオを楽しめたのです。

このアンプでは本格的なレコード鑑賞は無理ですね。
クリスタルとかセラミック発電の低性能のフォノカートリッジしか使えません。
フォノというポジションがカタログにはありますが、回路上はAUXと同じです。
これでは、まともなレコード対応とは言えません。
したがって、トランジスタ・ヘッドアンプのカタログが付録のように載っています。
しかし、これを購入しても、MM形式のカートリッジしか使えません。
現代はこれはイコライザーアンプと称する類のアンプで、ヘッドアンプというなら
MCカートリッジのためのゲイン増幅アンプのことを指します。

出力は5極管プッシュプルです。これはかなり歪みが多いので、現代的じゃない。
5極管であってもウルトラリニア接続というダイナコ社の特許回路を使うならば
3極管同等の奇数次歪みの少ない快適な音を得られるのだが、使っていない。
とにかく効率良く出力を得たい、そういう時代だったわけです。
後世に残す名器じゃなく過渡期の製品という感じは否めませんが、一生懸命さが
滲み出ているような、けなげなアンプという感じが愛おしい。

スーパーヘテロダイン方式高忠実度回路とか、CPS(サイクルパーセコンド)
とか懐かしいキーワードが出てくるし、センターチャンネルなんてどっきりする
言葉もあって(今の使い方とは意味合いが違うけど)面白いですねえ。
説明書ご入用の方はハガキで、という下りには泣かせます。
「廉価」なんて言葉も死語かなあ。(笑)
それでも、この当時の23000円は、けっこう高価なんだと思います。
昭和35年の大学出初任給=12190円だから、簡単には買えませんねえ。

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