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♪ある愛の詩 1971.10
LOVE STORY
作詞:岩谷時子 作曲:Francis Lai 編曲:宮川泰
演奏:宮川泰とルーパス・グランドオーケストラ
録音:1971.06.09 キングレコード音羽スタジオ
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
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フル・オーケストラをバックにした豪華絢爛、大スペクタル音楽絵巻であります。
投資対利益を度外視しているとしか思えません。お聴き得の見本のようなものです。
コマーシャルイベントなんか何もしなかったので、もちろん買う人は買うのですが
もっと多くの人に耳にしてもらいたいものだと思います。
別室で、「華麗なるフランシス・レイ・サウンド」に4チャンネル盤あり!」と
紹介しています通り、私の買ったLPはマトリックス4チャンネル盤でした。
これを聴く為に、真空管アンプを2セット、TANNOYの10吋スピーカー4台を
用意してチャレンジしました。ところが....
結果は惨澹たるものでした。肝心の音質が悪すぎるんです。
音場の感じは確かに面白いんです。後ろからも横からも聴こえますからね。
♪夢のカリフォルニアなんか、ザ・ピーナッツさんが私の周り取り囲みます。(笑)
しかしながら音の密度が粗いんです。ボヤーとしちゃうんです。
2チャンネルに戻すと途端にピシッとピントが合った鮮明な美しさに復帰します。
デコーダーをサンスイからダイヤトーンに変えてみましたがやはり同じでした。
これは完全に当時のブームに騙されました。人をバカにしやがって!
それからはこれがトラウマになって、音場再生=詐欺、と思い込んでおりまして、
現代の5.1チャンネル再生は原理的に異なるので同じに考えてはいけないのですが、
どうも疑り深くなって買いたいとは思いません。
デジタル・ディレイ方式も興味が湧きません。
当時のマトリックスやディスクリート4チャンネルでもライブものやテレビ音声の
再生では楽しい効果があって、客席の拍手や野球場の応援なんかは臨場感ありました。
だけど、こういうものが音楽観賞に必要なものかというと沢山の???が付きます。
それだけの投資を2チャンネルステレオ再生に回した方が絶対にいいと確信します。
ザ・ピーナッツの歌声は耳にきついという説を聞いたことがありませんか?
確かにそういう面はあるのです。そういう盤も現実にありますね。
人間の耳で一番感度が良い周波数が、3千〜7千ヘルツ位なのだそうです。
これは丁度、赤ちゃんの泣く声なんだそうです。気づき易いんです。
言い換えれば耳障りということでもあり、感度良く聴こえ過ぎてしまうんです。
赤ちゃんの声は男女とも高さは一緒です。声変わりする時期にはもう親が面倒を
みなくても良いのだから、人間の動物としての仕組みは巧みなものですね。
ピーナッツの歌声も高い声を張り上げると、この辺の音が響くのではないかしら?
(赤ちゃんとピーナッツを一緒に論じてしまうのは失礼かもしれないけど:笑)
だからといって高音を落としたりすると演奏の音色に精彩がなくなります。
どうすれば良いかというと中高音スピーカーに磁気回路の強力なものを選ぶんです。
強力に余計な慣性振動を、響き過ぎを抑えるんです。これが正攻法です。
シングルコーンでは高域は分割振動してしまいますので聴きづらいことになります。
ホーン型のスピーカーなどは、さぞかしきつい音がするのではと思い込み勝ちですが、
事実は逆で、歯切れが良いと、きつかったり喧しかったりはしないものなのです。
一番はっきり判るのは、針音の違いです。プッツという音が、フッと瞬間音になり、
耳障りではなくなります。高級カートリッジでも同じことが言えます。
でもこれにはお金がかかるので、まあまあのところで我慢するしかありませんね。
ヘッドホンのいいやつは歯切れがいいので、費用対効果ではこれがお薦めです。
今でも私の家の装置では、このレコードの音を充分に堪能出来ているとは思えません。
現存していないかも知れないけど、英バイタボックス社のクリプッシュホーンなどで
鳴らしてみたいなあ。コンデンサースピーカーも声には向いているかもしれないなあ。
でも家がウサギ小屋だもんな〜。ああ夢だな。夢だ。
各レコード会社のノウハウらしいのですが、カッテイング時に5千〜7千Hzは
下げて、逆に、1万以上をちょいと上げると聴き易くてメリハリも出てくる...
といった商品化テクニックがあるのだそうです。
もしかすると、そういうことは邪道だとキングレコードはやらなかったのかも?
色々考えながら聴いてると、ありゃ、終わってしまった。もう一回かけようっと。
良い子は真似しないで下さい(しないか)。音響ノイローゼになりますよ。(笑)
2002/06/10(Mon)投稿
わたしはまだ子供で(多くを経験していないという意味で)あまり感動せず、
後日テレビ放映の際、声の吹き替えが三浦友和・山口百恵の両氏だと知り観たけれども
「赤いシリーズ」の方が泣けたし好きでした(*^_^*)
しかしザ・ピーナッツが熱唱するこの「ある愛の詩」は
本当に素晴らしい!
オーケストラに負けない歌唱は本物です。
ハモってなく歌い上げるピーナッツもいいなと思うもの。
間奏のピアノの演奏が「羽田健太郎さん」をイメージしてしまうわたしです。
ザ・ピーナッツのレコードだけに限ったことではないと思いますが、名人クラスとも
思えるようなソロ演奏が伴奏陣に加わっていることがあるように感じるんです。
宮川先生はレコーディング時の音楽総監督でもあるわけですから、ここはアイツに..
と友人関係でスペシャルゲストを迎えることだって十分に想定出来ます。
しかし、お礼金のことやスケジュールの調整なんかで難しいとは思うのですが...
もうひとつ手がかりになることは、私のレコードにはピアノソロが入っていない事実。
これは何を意味するかというと、ピアノだけは別に録ったということだと思うのです。
ねえ、ハネケンちゃんちょこっとでいいから頼むよ。聴かせ所なんだからさ。とか、
宮ちゃんが自分でやればいいじゃない。とか、断るのを口説いて、何時でもいいから、
と別の機会に羽田健太郎さんがヘッドフォン被って弾き足したのかも知れません?
そのテープのそのトラックはだからソロ演奏の所までは無音だったのではないか?
だからミックスダウンする時に、これは予備トラックだったのだろうとボリュームを
ゼロにしてしまったので、ピアノソロが抜けてしまった。
4チャンエル盤と通常盤はカッティングマスターが別であって当然なので、そちらは
別のエンジニアがやったので、その方はちゃんとピアノソロも混ぜたのではないか?
私のレコードではピアノのメロディーの部分は、朗々とバックの弦の裏旋律と分厚い
金管楽器のハーモニーが流れているので、とても重厚に聴こえてしまいます。(笑)
これは演奏の厚みを前面に押し出そうとして、わざとこのような編曲をしたのか?
これは随分思いきった試みだなあ、と当時は妙な感心をしていたのでした。
エンジニアの人も宮川先生のやることは自分にはわからねえなと思ってたりして。
だって、そこだけこころもち演奏が強くなるし、裏方の土台を支えるメロディーが
表へ飛び出すので、編曲の仕掛けがわかるような..これは珍盤かな?
この曲、最後の「ジャン!!」が凄いですね。(笑)