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♪浮気なあいつ     1975.03
    作詩:山口洋子 作曲:宮川泰 編曲:宮川泰
    演奏:オールスターズ・レオン
    

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★

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ザ・ピーナッツ最後のシングル・レコードは「モスラの歌/サウンド・トラック」。
しかし、現役最後のレコードといえばこれです。A面です。
思えば、ザ・ピーナッツはテレビ歌手というイメージが強く残ってます。
ワイド画面のテレビならば、キャンディーズがぴったりかもしれませんが、標準の
画面にはピーナッツは実に居住まい良く収まりました。
シャボン玉ホリデーのオープニングでのしゃぼん玉の飛び交う中で歌う彼女たちは
フレームにフィットしていてとても絵になり、それだけで名場面でした。

民放は日本テレビ(NTV)とラジオ東京テレビ(TBS)しかなかった所へフジテレビ参入。
まだ昼間休みとか終日放送じゃなかったと思うこの時期にザ・ピーナッツ・デビュー。
日本全国津々浦々までテレビ電波が届く限り、ザ・ピーナッツを知らぬ人は居ない。
抜群の知名度とともにレギュラー番組では2曲は歌うので、これだけで約2000曲。
その他、単発でも17年歌っていれば軽く1000曲、合わせて、のべ3000曲。
そういう統計は無いと思うけど、テレビで歌った曲数で世界一じゃなかろうか?

レコードの歴史で見ると、丁度、SP78回転盤からEPドーナッツ盤45回転への
切り替え時期にデビューしており、その後、更にステレオ録音盤へと変化しました。
SP盤は今でも愛好家はいらっしゃいますが、率直に言って高音域雑音の巣です。
木製などのホーンや箱鳴り付加音を活かした芸術的再生装置なくては聴けません。
ただし、楽器的な音色の良さを楽しむ粋な面があって趣味性があります。
しかし、何といっても塩化ビニール素材とRIAAカーブで初めてHiFiが実現。
ですから、ザ・ピーナッツはハイファイレコード歌手の先駆者でもあります。

40年も昔の録音ではね〜酷いんじゃないの? と考えるのは早トチリ。
40年前のプロ御用達の欧米製のテープレコーダーの性能はミニ・コンポなんかは
問題にしないハイレベルです。もちろん、CDラジカセなんて問題外なのです。
現在の最新の録音と当時のピーナッツの録音の差を玩具みたいな装置で比べるなんて
ちゃんちゃらオカシイのです。
最近のものが良く聴こえるならばそれは騙しのテクニックだと思います。
CDには盛大に好きなだけ低音も高音も強調して収録出来ますし、レベルも極度に
高くしても全然OKです。これなら、ド派手な音が鳴らせます。

音は世につれ、世は音につれ、ですから(ちょっと違うかな?)流行りの音響が
あっても良いでしょうが、昔の録音がお粗末なのではなく、今風ではないのです。
ザ・ピーナッツは17年の歌手活動で色んなチャレンジをしてきました。
しかし、売らんかなというような下媚たイメージチェンジというのはしなかった。
一本筋の通ったまっすぐな芸歴だったと感じます。
最後の最後に吹き込んだこの曲はそんなピーナッツに相応しく原点復帰したような
ブギウギの曲調の歌です。宮川先生も尊敬する服部良一さんの世界に戻ったようで
あって、これが偶然としたらなんとも不思議な一致です。

宮川先生はピーナッツさんとはプライベートな話はしなかったらしくて、引退とか
全く知らずにこの曲を書いていたというのに、いい曲が最後となりましたね。
引退しようか、この気に入った歌でもっと頑張るか気持ちが揺れ動いたらしいけど、
結果は皆さんご存知の通り。宮川先生は寝耳に水の知らせに呆然としたとか...

 「コレをぜひ歌わせよう、とかさ。二人から『先生、これすごい良い歌』
 『良いアレンジ』とかって言われるのが、この世の中で一番嬉しかったんですよ。
 ピーナッツが喜んでくれるってのがネ。当時は....」
 「でも、ピーナッツが最後に引退しちゃった瞬間。もうフヌケのようになってね」

この宮川先生の言葉は痛切にこちらにも伝わってきます。残念だったでしょうね。

 引退という形は形でいいから、年に一回はザ・ピーナッツらしい素敵なステージを
 やろう。小さくてもいいから、音楽を本当に愛する者同志が集まって。
 僕はそれが実現したら寝なくたって書くよ!....とも先生は言っていましたが、

♪バイバイブギウギまたね の「またね」は二度とありませんでした。
だから、この曲は先生からピーナッツに贈ったお別れの花束となってしまいました。
感無量。

                 2002/11/05投稿



<ウシオさんよりレス> - 2002/11/10
ラスト・シングルなのに、全然「お別れ感」を感じないのは
それと意識せずに作ったからなんですね。
そのほうが彼女達らしいエンディング?
引退コンサートこそ大掛りでしたが、あえて
ラストシングル曲の記念曲は作らずに。

ジャケット写真の衣装は、前年の紅白で
「ブギ・ウギ・ビューグル・ボーイ」のヤツでしょうか。