■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

♪二つの言葉    1964.02放送
   作詞:安井かずみ 作・編曲:宮川泰
   演奏:シックス・ジョーズ
   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★ ★★★★

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

この曲も生まれた背景などについては、こちら↓を先にご覧下さい。
http://peanutsfan.net/KICS1408.html

このCDアルバムが出るまで知らなかったのですが、安井かずみさんもこの番組の
今月の歌の作詞を担当されていたんですね。岩谷時子さんだけだと思っていました。
訳詞でも作詞でも、安井かずみさんはザ・ピーナッツの作品で世に出たという感が
するのですが、それはザ・ピーナッツ・ファン目線だからそう感じるのかも。
ちなみに、訳詞では、レモンのキッスが最初で、1962年(昭和37年)11月。
この時代はみナみ・カズみというペンネームを使っておりました。
オリジナル作詞は、この「二つの言葉」が最初ではなかろうかと思います。
こういうタイミングから考えると、やっぱりザ・ピーナッツ作品が起源なのかも?

安井かずみさんについては後年、大変な有名人になってしまったし、皆さんの方が
今じゃ詳しいんじゃないかと思うので、これ以上は割愛します。
詳しく知りたい方は「安井かずみ」でネット検索すれば情報はザクザク得られます。
ファッション的にもザ・ピーナッツと競ってたようなところもあったりして。
時代最先端というイメージですが、私的にはザ・ピーナッツの作詞家として先取り
感覚で堪能した面があります。ああ、あの人ね、なんてね。
 ♪タバコの煙りで あの人を想う
なんていうのはタバコ吸わない人には伝わらない面もあることは事実だと思うけど、
こんなこと書くと、嫌煙家から叱られそう。
でも、炊飯器の湯気で、あの人を想うじゃ、健康的だけど絵にならないだろう。

こうやって正直な心情を書くと、世間一般からは、すぐに嫌われる。
安井かずみさんも愛煙家だったけど、肺ガンで亡くなった。
ほらみろ、と、喫煙者撲滅を願う圧倒的多数の方は喝采を叫ぶのでしょう。
いいじゃんか、命がけで吸ってたんでしょ。私もそうだ。
 ♪明日になれば、あの人に逢える
肺ガンで死んだら明日は無いけど、あの世のあの人には逢えるのかも。
この歌はいい歌なんだけど、今じゃ喫煙奨励ソングとして放送禁止になるかもね。
今はそういう気持ちの悪い時代だ。不誠実に自分を隠すことが美徳と思われている。

そういう淀んだ鬱屈した現代とは違う明るさをこの歌には感じる。歌は時代の鏡だ。
仄暗い曲も宮川さんに無いわけじゃないが、せいぜい黄昏れ程度であって、本質の
宮川ソングは悲観的にならない明るさがあると思う。
暗い歌はあまり好きではないのでしょう。
悲しいことも辛いことも人生だからあるに決まってるけど、歌だけでも明るい気分に
なるようにしたい、思いつめないで、パーッと行きましょうという感じかな。
その点、この歌などは、暗さは微塵もありません。脳天気なラブソング。

それとこの歌はホームソングを少しばかり飛び出してチャールストンのように軽快な
曲となっており、宮川さんが作曲センスに相当の自信を持ってオレ流を発揮し出した。
そんな感じも私は抱きます。ジャズっぽいんです。
宮川さんは服部良一の作風に憧れていたそうですが、やはり明治生まれのモダン曲と
昭和生まれの昭和モダンはかなりニュアンスが違い、宮川さんの方が垢抜けている。
それでも当時、無国籍歌謡とか言われたのは現時点で俯瞰すると面白いような感じだ。
確かに古臭い演歌の世界じゃないけど今聴いたら明らかに国産品でしょう。

安井かずみさんの歌詞はもうベタベタの恋する乙女の心情そのままであっけらかんと
臆面も無くスキスキと連呼する。照れ屋の日本人らしからぬというところもある。
大恋愛で結ばれても逆に大失望になってしまうこともありスキスキがいつまで続くか
神ぞのみ知るというところだけど、活き活きと生きるという面も大切だろうからね。
夢中熱中という人生のステップがあってもいいんじゃなかろうか。失敗してもね。
こういう歌を聴くと恋愛自体に恋をするという気持もわかります。
♪恋をするって素敵じゃない、なんて歌もありました。若い人の特権です。
若い人というのは精神年令のことだから、恋をすればみんな若い人かも。

早朝のラジオ番組としても明るい恋愛ソングは気持良い朝を迎えられる。
朝っぱらから悲恋の歌じゃ気が滅入ります、とにかく、とっても楽しい歌です。
曲が似ているわけじゃありませんが、NHKの朝ドラ「てるてる家族」のテーマ、
「ブルースカイブルー」と聴いた後の爽快感が似てるように感じます。
さあ、スキップを踏んで、学校へ、お仕事へと向かいましょう。てな感じかな。
(2009.01.17記)


<付録>
短期集中連載シリーズ

ザ・ピーナッツ萌え〜(その5)

今日(1月17日)から大学入試センター試験というものが実施される。
独立行政法人大学入試センターによって行われる日本の大学の共通入学試験である。
なんて皆が知ってることを書いてどうするんだと言われそうだが、私が無知なので
自分用に書いているようなものであります。(笑)
大学入試に私の人生で何も縁がないんです。娘も行きたがらなかったからなおさら。
きっと今日に備えて本人もご両親も大変なんだろうなと思います。
例年はニュースで雪とかで電車が止まったとか開始時刻をずらしたとか騒いでました。
他人事ながら今日は好天気で良かったように思います。せっかく勉強したんだからね。

私の両親は長男ということもあって、何とか大学くらいは行かせてあげたいと思って
頑張って働いて資金面ではなんとかなったらしいのですが、ご本人が暇さえあれば
ザ・ピーナッツのレコードばかり聴いていて高校での進級さえ危ないという状態。
もう全然、進学なんていう状況とはかけ離れていたのです。卒業〜就職がやっと。
そういう点で、いやはや、本当に死んだ両親には期待に添えなくてごめんなさいです。
しかし、親には申し訳ないけども当人は全く後悔などいたしておりません。

とにかく勉強というのが嫌いで、特に興味のないことを覚えなくてはならないことが
気が狂いそうになるほど嫌で、特に英語は吐き気がしてきます。
英語が嫌いでもノーベル賞とったりする人も居ないわけじゃないけれど、それはそれ、
人間としての資質が違います。凡人は凡人。天才は天才。
思うに、夢中になっているのが歌手だから良かったので、身近にいる女性だとしたら、
今でいうストーカーみたいになって警察につかまってしまったでしょう。
「好き」という動機は凄まじいエネルギーを生み出します。そのように出来ている。

「萌え」という感覚は、ちょっと覚めていて、どうにもならぬ対象への愛しさです。
ニュータイプの愛情のような感じですが、けっして新しいわけじゃなく表現するキー
ワードが今までなかったように思います。日本語の進化じゃないかしら。(まさか)
このサイトは、100パーセント萌え感覚で運営しています。
何の見返りも求めません。無用の長物であることが、むしろ誇りです。

「無用の長物」という言葉が適切なのか心配になってしらべました。(笑)
「あっても益にならないもの」これは良いとして……。
「あっても役に立たないどころか、却って邪魔になるもの」これは余りにみじめです。
こりゃマズイ使い方だ、ということで、他に良い言葉がないか探しました。
「無用の用」これはどうだろ。
「一見、役に立たないように見えるものが、却って非常に大切な役を果たしていると
いうこと」おお、これはいい。こうありたいものです。

萌え感覚も無用の用じゃないかな。
鉄腕アトムに萌えた人がロボット開発の最先端を担っていたりするように、萌え心情
が多くの有意義な成果になってくることも知られています。
もちろん、どこまでも無意味に終わってしまうことが多いでしょう。歩留まりです。
ノーベル賞も結果として頂いたのだろうと思います。
ザ・ピーナッツに萌えても、今まで何も御利益はありませんでした。
今後もないと思うけど、それでいいのだ。

<以下>ザ・ピーナッツ萌え〜(その6)へつづく。