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♪霧に想いを    1964.02放送
   作詞:安井かずみ 作・編曲:宮川泰
   演奏:シックス・ジョーズ
   

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★ ★★★

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この曲も生まれた背景などについては、こちら↓を先にご覧下さい。
http://peanutsfan.net/KICS1408.html

この歌も聴いたことがないか忘れたのか初対面という感じです。
それでいて、メロディーは初めて聴いたようじゃないのは面白い現象です。
耳馴染んだ旋律の断片が組合わさったような不思議感覚です。
曲の構成もよくあるパターン。類型化しているようにも思えます。
いわば平凡なんだけど、一旦聴くと忘れられない面があるんです。
買い物なんかに出かけると歩いていて、ついこれが浮かんでくるんですよ。
こういう感覚が宮川節の魅力の秘密なんでしょうか。

ザ・ピーナッツがまた、何を歌ってもザ・ピーナッツになるんですねえ。
ずっとこれを歌い込んだかのように極めて自然で安定している。
放送のための録音の音質面での悪条件であってもザ・ピーナッツの歌声には
ちゃんと魅力を醸し出しているのはさすがだと称すると的外れな感想かな。
なんとなくですが、ステレオなどで聴くよりも5球スーパーラジオなんかで
聴いたら味が出るような気もします。

昨夜のテレビ放送で映画「東京タワー/オカンとボクと、時々、オトン」を
見たが、劇場で見た時も同じ感覚で、ザ・ピーナッツの「キサス・キサス」が
クライマックス的な回想場面で使われるのだが、モノラル録音での古い感じが
とても映像とシンクロしていた。
回想場面なので病室でのトランジスタラジオから最初は流れるのだが、すぐに
昭和34年頃のダンスホールへ想いは跳んで行って、今度はそれなりの音量で
響くのだが、ここに於いては眼の醒めるような高忠実度のハイファイサウンド
は似合わない。モノラルで良いのだ。それで映画が生きていた。

このニッポン放送の録音CDもステレオで鳴らしても問題はないのであるが、
ダイヤトーンのロクハン(6インチ半)スピーカーを大きめの密閉箱に入れて
3ワットくらいしか出力のない真空管アンプで鳴らしたら雰囲気が出そうだ。
周波数レンジ、ダイナミックレンジ、テープヒスなど気にならないだろう。
それでいてザ・ピーナッツがちゃんと聴ける。そんな感じがする。

現時点では音質はプアな代物だが、音楽面でもわりとプアな面もあると感じる。
そんなに肩肘張って取組んでいないような大らかさを感じるんです。
このような場で、一曲だけ取り上げて論評することが無意味にも思えます。
やはり朝ご飯を食べながら茶箪笥の上に乗っているラジオから聴こえて来ると
いった場面にこそ相応しい。
これをヒットさせて一山当てようなんて邪念が入り込む余地がないのです。
コントラストの強くない、ほのぼのとした歌だってあってよい。そういう歌。

(2009.5.9記)


<付録>
短期集中連載シリーズ

ザ・ピーナッツ萌え〜(その8)

先日、こんな文庫本を書店で見つけたので購った。

この著者は大変なオーディオ・マニア(=オタク)として知られている。
同じ性癖の匂いがすることもあり、面白そうだと買ってみたが、案の定、面白い。
書いてある内容で意味が判らないような箇所は全く無い。私に向けて書いたかの
ようにフィットし、堪能し、一気に読んでしまった。
そもそも秋葉原の進化について眉をしかめる向きもあるようだが、自然の流れだ。
あんなにスムーズに、かつ、昔のままをも残す街はないのではないだろうか。

私流の流れはこうだ。
●特撮映画好き→モスラ→小美人→ザ・ピーナッツ→レコード→オーディオ
●お仕事での職種異動→汎用コンピュータに精通→ほぼパソコン自由自在
●手塚治虫のマンガ好き→この間の繋ぎは説明不要だろう→二次元美少女好き
人生そのものの流れが、秋葉原の変遷とも合致しているのだ。

この本の解説に書かれていることを一部引用してみます。
 「しばしば誤解されているが、秋葉原がおたくの街へと変貌した裏には、
  どこかの大企業が広告代理店と画策し、専門店やおたくの人たちを誘致
  したというような、バブルの頃に流行った商業開発的な仕込みはない」
これなんですよ。自然発生的に変化してるんです。
そして流行性のオタクモドキ族は毀誉褒貶するが、真のオタクは変らないのだ。
今でもオーディオ・マニアのあらゆる要求に耐えられる多くの店鋪が生存する。
あらゆる真空管、トランス、線材、基板、ケース、スピーカーユニットetc.が
僅か0.5キロ平方メートルの中で調達可能な世界最高の奇跡の密集地なのだ。
オーディオ用途の品物なら買うだけじゃなく、なんでも作れるのです。

だから、私と完全に趣向が一致しないとしても似た者が居るに違いないと思う。
綾波レイの等身大フィギュアが作れるのなら、小美人の実物大は苦もなく作る
ことが出来ると思う。30センチで良いのだから。
衣装も何種類か必要だと思うが、それ以上に、馬車のミニチュアが必須だろう。
そして、檻も2種類。地球最大の決戦での豪華な携帯ケースも要るはずだ。
ジオラマとしては「聖なる泉」の足下の岩石群やら、インファント島の密林。
モスゴジでの部屋の調度品。インファント島の神殿。中央劇場の舞台。etc.
海洋堂なら出来るだろう。やってくれないかな。(作るわけないだろ/笑)

メイド喫茶があるのなら、小美人喫茶もあってよい。
身長30センチは無理だから、店内の内装は5倍の大きさにすればよいのだ。
コスチュームは、
61型原住民オリジナル、61型ステージタイプ、61型振り袖タイプ、
61型馬車内レビュータイプ、モスゴジ帽子付きタイプ、なんてね。
モーニングセットは、トマトジュースに迷彩模様の茹で卵、碑文焼きトースト。
お昼メニューは、東宝撮影所仕様(レシピ)伝説のモスラランチ。
コスプレタイムもあり、女性客には小美人、男性客には原住民酋長衣装がある。
その他、セルビア国のサルノ王女の衣装、探検隊、新聞記者などの用意もある。
ショータイムは神殿前の踊りを再現、これは61年と64年バージョンがある。
とまあ……妄想は果てしなく続くのでした。

<以下>ザ・ピーナッツ萌え〜(その9)へつづく。