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♪可愛い花 1959.04(再録音盤:1967.12)
PETITE FLEUR
作詞:音羽たかし 作曲:Sindney Bechet 編曲:宮川泰
演奏:シックス・ジョーズ
録音:1959.03.30
一般知名度 | 私的愛好度 | 音楽的評価 | 音響的美感 |
★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★モノ |
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「可愛い花」1967年ステレオ再録盤の随想はこちら
http://peanutsfan.net/334.html
作曲者のシドニー・ベシエはニューオリンズ生まれの、ソプラノ・サックス奏者。
黒人ジャズマンの彼は人種偏見の少ないヨーロッパに新天地を求めてそこに移住。
この曲は彼の再婚相手のドイツ人女性に捧げて作曲。1952年にパリから出版。
有名になったのは、イギリスやアメリカでは、クリス・バーバー楽団のレコードが
ヒットしたからであったが、我が国では、ピーナッツ・ハッコーがクラリネットを
吹いたボブ・クロスビー楽団の演奏が大ヒットした。
奇しくも同じ名前のピーナッツであることも何かの因縁を思わせるが、この曲の
登場を待ってピーナッツがデビューしたかのような絶妙のタイミングである。
しかし、日本語になったこの歌を作曲者が耳にすることが出来たかわからない。
作曲したのが55歳。この年の5月14日にシドニー・ベシエは世を去っている。
作曲家というのは素晴らしい仕事である。この名旋律は不朽であろう。
一般的には「小さな花」と曲名が付けられている。
ザ・ピーナッツが歌うと「可愛い花」となるのが楽しい命名であり良く似合う。
彼女らの名刺代わりといってもよい代表的な歌であるが初出場のNHK紅白では
最新ヒット中の「情熱の花」を歌っている。
「小さな花」はシャンソン歌手の石井好子さんが歌ったが、ザ・ピーナッツの歌で
あることは周知の事実であり、これは損な役回りであったことだろう。
記念すべきデビュー盤については以前にも書きましたが、こちらへ転載します。
デビュー曲でもあり、ザ・ピーナッツの代名詞とも言うべき佳曲です。
ザ・ピーナッツのデビューは周到な計画性をもって行われたという記事を見ますが、
私は人為的な戦略だけではなく、奇跡の重なり合いのような神秘性を感じます。
「プティット・フルール」「ザ・ピーナッツ・ベンダー」こんな名曲が両面に収録さ
れたカバーレコードなど、この世に有り得ないであろう見事なスタートダッシュです。
第一弾から素晴らしいハーモニーを聴かせてはいるのですが、何と緊張感を聴く人に
与える歌唱なのでしょう。私は無意識に正座し握り拳になり汗が滲んでしまいます。
頑張れ!と言いたくなってしまいます。聴き終えると、ほっとしてしまいます。
他に類を見ない見事な歌唱力なのですが、達者な、という感じでは全然ないのです。
はい、一丁上がりです。というプロっぽい馴れ合いの雰囲気がないのですね。
こんな真剣に、慎重に、誠実に、精魂こめてといった健気さではこれからの厳しい
芸 能人としての活動が続けられるのだろうか?(続けられたのですが)と余計な心配
まで聴く人に抱かせるほど彼女達の懸命さが伝わってくる記念碑的な録音だと思います。
BGM的に聞き流せないのですね。
そこへいくと再録音ソースの方はこれは安心して聴いていられるし、これも大変見事な
アレンジで、いいな〜と思います。
本命盤はボブ・クロスビー楽団でしょうが、ピーナッツ・ハッコーの哀愁のクラリネ ットを
フィーチャーした演奏を聴いていて、ザ・ピーナッツのさよなら公演まで思い浮かべてしまう
切ない思いのピーナッツファンは他にもいらっしゃるでしょうね。
<2001年2月24日記載>
<追記>
ミュージック・ライフ/1959.5月号に、新人ザ・ピーナッツの
インタビュー記事が載っております。
☆アガったレコーディング
記者:昨日初めてのレコードをキングで吹き込んだんだけれども、どうでした?
エミ:(顔を見合わせながら)なにかすごくあがっちゃってね。
ユミ:うん。なんだか今日になってから昨日のことを考えると、一日がアッと
いう間に終わっちゃったみたいで、エミちゃんも少し固くなっていたわね。
エミ:そう、二曲吹き込んだけど、二曲共よく出来たとは思えないんじゃない?
エミ:どこかトチってるみたい。
ユミ:「可愛い花」はトチったところがある。「ピーナッツ・ベンダー」は
まァまァね。
エミ:♪小鳩のような....というところが?
ユミ:そう、あそこのところで二人がハミングしたところがパッと離れたところが
あったわ。
エミ:やっぱりはじめてのレコーディングだし、気楽に練習のつもりでと、と
思っても、どうしてもあのスタジオの雰囲気にのまれるみたい。
ユミ:雰囲気にのまれたといえば、この間のテレビでダーク・ダックスと共演した時。
エミちゃんも私もずい分ノビたわね。
エミ:(ノビたという言葉が余程おかしいらしく、笑いながら)そうよ、あの時は
もう逃げ出したくなっちゃった。
ユミ:ダーク・ダックスの人達はうまいし、私達がうまくノレないので....
エミ:あのハーモニーがむずかしかった。
ユミ:そう、いままでは、私たち二人でやっていたから、六人もの大勢でやると
音がとりにくいのよ。
エミ:それというのも私達にやっぱり力がないからよ。
ユミ:それはそうよ。私達ももっと勉強しなければいけないなと思ったの。
記者:勉強は誰についているの?
ユミ:シックス・ジョーズの宮川さん。
(中略)
記者:今、一番好きな歌はなに?
ユミ・エミ:(即座に)可愛い花。
記者:キングで吹き込んだデビュー盤ね。
エミ:「可愛い花」が売れないといやね。
ユミ:でも、三枚は確実に売れる.....。
エミ:どうして。
ユミ:だって名古屋のお父さんが一枚。私達が一枚。
エミ:ああそれに美佐さんが一枚ね。(顔を見合わせて笑う)
記者:ともかく「可愛い花」のタイトルにピッタリのお二人が、このデビュー盤と
共に今年はレコードにテレビにステージに活躍することを期待します。
2003年5月28日記載
ネット・オークションで入手したヒット・ソング・ピース。(2007.05.31)
追記2 擬似ステレオ再挑戦
このデビュー盤は年代的にモノラル録音で、その後のアルバムでも
当然モノラルで収録されております。
ただし、モノラル盤の制作時のカッテイングヘッドはステレオ盤と
構造が異なり、モノラル盤の再生はステレオ用のカートリッジでは
理論上は不適合なので、一般の人は、私も含めて正しい聴き方は
出来ていないのです。下のリンクが参考になります。
http://www.stereosound.co.jp/review/article/2018/05/21/67768.html
上記の珍しいレコードはモノラル曲のカッテイング部分とステレオの
曲とは溝が連続していません。
モノラル再生はモノラル専用のカートリッジで(理想をいえばトーン
アームもモノラル専用が望ましい)聴いて下さいということです。
すなわち、モノラルレコードというものは上下方向への振幅は無く、
モノラルヘッドは水平にしか振れないようにカッテイングされます。
モノラル専用カートリッジは上下方向への振れを横方向の一割程度に
抑えるように設計されています。
しかしながら、接続するアンプの回路がステレオを主体にしており、
モノラルカートリッジの接続は思いのほか困難でノイズが起きます。
説明がややこしいので省きますが、素人ではまず無理です。
現在は余程のマニアでない限り普通に入手出来るオーディオ機器では
本当に純正・純粋なモノラル再生は諦めざるを得ません。
ところが、元々45/45方式のステレオ盤の再生はモノラル盤と
互換性があることが最終的に選ばれた方式なのであり、殆ど問題なく
モノラル盤も同じように扱えるのです。殆どというところがミソ。
実際、モノラル盤をステレオカートリッジ、トーンアームでかけても
盤面や針先に何もダメージは起きません。不具合はないのです。
音質上の影響は皆無というわけにはいかないのですが、私の聴感では
音質が悪いとは感じられません。というか純粋なモノラル再生音など
ラジオくらいしか知らないので比較が出来ず、不満も生じません。
実際にモノラル盤に最適化された装置を持つことが出来たとしたら、
間違ってそれでステレオ盤を再生したら取り返しのつかない惨状となり
レコード盤に酷いダメージを与え、覆水盆に返らずで音溝が潰れます。
モノラルだステレオだというテーマで思い浮かぶのが疑似ステレオ。
以前からザ・ピーナッツのレコードでも稀にそれが存在することは
分かっていました。
http://peanutsfan.net/302.html
上記で書いたのは「悲しき16才」の再発シングル盤での例でしたが、
どうも「可愛い花」「南京玉売り」「情熱の花」も疑似ステレオ盤が
あるようです。
あるようです、なんて書いてないで手持ちのそれらしいレコード盤で
早速、耳で聴いて確認してみました。
やはり上記の曲がシングル盤でアンコール発売?されたタイミングで
疑似ステレオで収録されたようです。
お前、今頃何言ってるんだ、とお思いでしょうねえ。
そうなんです。ボーっと生きてきちゃったんですね〜。
キングレコードが疑似ステレオなんかにチャレンジしたのかって?
はい、ここに確かな証拠があるんです。
そこで「南京豆売り」の随想で紹介した疑似ステレオを再考。
http://peanutsfan.net/302.html
つまり、こちらのLPレコードはアルバムごとCD化されていますよね。
http://peanutsfan.net/SKA74.html
http://peanutsfan.net/KICS-1451.html
ここに収録されている「可愛い花」と「情熱の花」は疑似ステレオで
あることがCDのオビに明記されているんです。
だから、わざわざ自分でトライしなくても良いわけですよ。
ボーっと生きてきちゃったんで気づかなかった。お馬鹿さんなの私。
更に「南京豆売り」と「悲しき16才」はシングル盤から板起こしを
した方がキングレコードの技術での疑似ステレオなので塩梅が良い。
ということで全部見直して、作り直してみました。
01可愛い花ーーーーー上記CDアルバムからコピー
02南京豆売りーーーー疑似ステレオシングル盤から板起こし
03キサスキサス
04チャッキリ・チャチャチャ
05情熱の花ーーーーー上記CDアルバムからコピー
06米山さんから
07キエンセラ
08コメプリマ
09ある恋の物語
10乙女の祈り
11ばってんばってんばってんてん
12ずいずいずっころばし
13五木の子守唄
14よさこいマンボ
15金比羅船々
16通りゃんせ
17会津磐梯山
18そうらん節
19悲しき16才ーーーー疑似ステレオシングル盤から板起こし
20心の窓にともし灯を
21恋のバルカローレ
22今池音頭
23聖なる泉
24マハラモスラ
25幸せを呼ぼう
注釈無しの他の曲については疑似ステレオ化のパラメータを小さくし、
自然な感じにし、左右の音量レベルバランスを5%ほど調整しました。
普通、左右バランスなど調整不要だし、邪道なんですが疑似ステレオが
邪道そのものなので耳で聴いて感覚的に良ければ採用です。
相変わらず、モスラ音源の疑似ステレオ化が抜群の効果です。
こんなに熱心に疑似ステレオにチャレンジしている意味は普通に
スピーカーで聴く場合にはあまり関係がありません。
ところが、ヘッドフォンでモノラルを聴くと頭内定位/脳内再生と
いう感じで頭の芯にピーナッツの声が聴こえてしまうんです。
これって私はとても違和感があって嫌なんです。
疑似ステレオでも何でも良いのでとにかく周囲で鳴っているように
したいのです。同じ感覚の方が居られたらお薦めです。
決して音質が向上するとか新しい音が聴けるとかではありません。
(2019.02.12追記)