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六月の花嫁   1964.03.13録音
 (未発表曲)
   作詞:岩谷時子 作曲・編曲:宮川 泰
   演奏:レオン・サンフォニエット
   録音:1964.03.13 イイノホール

  

一般知名度 私的愛好度 音楽的評価 音響的美感
★★★★ ★★★★ ★★★★★

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この「六月の花嫁」という曲はレコードが発売された「ジューン・ブライド」と
同じコンセプトの曲でありまして、録音を聴くと完全にキング・レコードの正規
収録であって何故リリースされることにならなかったのかは謎です。
謎というほどの深刻な問題じゃなく、恐らく渡辺晋社長のGOが出なかったと
思います。マーケティングの感覚が当時抜群でしたので見送ったのでしょう。
また「ジューン・ブライド」も残念ながらヒット曲とはなりませんでした。

ジューン・ブライトの随想
http://peanutsfan.net/214.html

昭和39年の3月13日に両方の曲が同日録音されていますので、これは推測ですが、
「ジューン・ブライト」と「六月の花嫁」をカップリングしたシングル盤を発売
しようと当初は計画されたのではないかしら?
実際にカップリングされたのは「ほほにかかる涙」でしたが、これは失恋の歌で
お目出度い歌と組み合わせるのは「となりのトトロ」と「火垂るの墓」を同時に
子供に観せるセンスと一緒で、ちょっとどうかな〜と思います。
それに両面ブライダルであればジャケット写真とも相性が大変よろしいかと。

「六月の花嫁」「ジューン・ブライト」ともに、岩谷時子作詞・宮川泰作曲で
アレンジも宮川さんです。デビュー曲以来、編曲の殆どは宮川さんでしたが、
宮川先生がザ・ピーナッツに提供したオリジナル曲の系譜はこちらのCDで
俯瞰することが出来ます。
http://peanutsfan.net/KICS1258-59.html

このCDは現時点では更に内容を強化することが可能でしょう。
・レコーディング版「インファントの娘」を追加する。
・ニッポン放送だよピーナッツの収録曲を追加する。
・「恋のオフェリア」をシングル盤バージョンにする。
どういうわけか「恋のオフェリア」だけがLP用の録音が使われています。
CDアルバムの製作者の個人的趣向でチョイスしたとしか考えられません。
そっちが好きなんだろうと思いますが仕事なのでそりゃマズイでしょう。

脱線しましたが、この六月の花嫁、六月の結婚は大変お目出度いとして
ヨーロッパ由来の験担ぎで日本にも伝わったそうです。
ローマ神話と関連がある。ヨーロッパは6月は農閑期になる。あちらでは
6月は一年間で最も雨が少なく結婚シーズンとして最適という説がある。
どれも日本の環境とは大違いでジューンブライド定着には無理がありそう。
私の結婚式は4月だったし、この時期なら4月か5月がいいと思うよね。

6月といえば真っ先に思い浮かぶのが、日劇「ピーナッツ・ホリデー」。
ニッパチといって2月8月はイベントにお客様がこないのと同様であって
6月は梅雨シーズンなので「ピーナッツ・ホリデー」上演は東宝にとって
得難い出し物であったろうと思います。
一週間公演で立ち見まで満杯で4000人以上入っていましたからね。

さてこの「六月の花嫁」ですが、岩谷時子、宮川泰、ザ・ピーナッツの
黄金チームであり、つまらない作品になるわけがありません。
浮き浮き弾むような屈託のない楽しい歌謡曲に仕上がっています。
「ジューン・ブライド」の同趣向曲とは書きましたが、詩も曲も全く別物。
楽曲に品質があるのか疑問ですが、いわゆるクオリティ面でも秀逸であり、
「ジューン・ブライド」に劣る要素は何も見当たりません。
メロディーにメンデルスゾーンの結婚行進曲が混じり合って愉快です。
結婚行進曲は著作権がとっくに切れているので、そういう心配は不要。
宮川先生らしい遊び心で私はこういうの大好きです。

ザ・ピーナッツの歌唱も素敵。明るく、とてもいい歌だと思います。

(2019.02.03投稿)